もはや旧聞に属する話ではありますが、「備忘録」として残しておきます。
国立西洋美術館で「新収蔵作品」および「常設展」を観てきました。美術館のホームページには「常設展」については、以下のようにあります。
国立西洋美術館は、松方コレクションが核となって1959年に設立した、西洋の美術作品を専門とする美術館です。中世末期から20世紀初頭にかけての西洋絵画と、ロダンを中心とするフランス近代彫刻を本館、新館、前庭で年間を通じて展示しています。
国立西洋美術館の最近の「新収蔵作品」といえば話題性のあるものとしては、2013年にはセザンヌの「ポントワーズの箸と堰」(1881年)があげられます。そして2015年にはフェルメール()に帰属の「聖プラクセディス」がありました。
いずれにせよ、国立西洋美術館の「企画展」、最近では「グエルチーノ展」や「ボルドー展」などを観た時には、ほとんど必ず「常設展」を観るようにしています。
新収蔵作品
アンドレア・デル・サルト「聖母子」1516年頃
アンドレア・デル・サルトは、ミケランジェロとラファエロがローマに活動の場を移した後、フィレンツェの盛期ルネサンスを牽引した画家です。その工房からは、次代を担う多くの画家が羽ばたきました。彼の作品は16世紀を通じ、この町の美術に絶大な影響を与えることになります。これはサルトの成熟期の作品です。聖母と幼児キリストは身振りによってリズミカルにつながり、幅広い陰影のなかで親密さが醸し出されます。聖母のモデルはおそらく後にサルトの妻となった女性で、ほかの作品にもしばしば登場します。一方、幼児キリストのやや筋肉質の肉体は、同時代の彫刻の表現と共通します。もっとも、表情や巻き毛を描写する際は、実際の子供をモデルにしたことでしょう。背後のカーテンは最近の補筆です。本作と同構図の作品がカナダのオタワにあります。二つの作品は図柄の寸法が同一で、赤外線写真に見られる下書きの線が重なるため、同じカルトーネ(原寸大下絵)を写し取って、ほぼ同時期に制作されたものと推定されます。
ドメニコ・プーリゴ「アレクサンドリアの聖カタリナを装う婦人の肖像」1520年頃
プーリ後は16世紀初頭にフィレンツェで、とりわけアンドレア・デル・サルトの工房において活躍したと伝えられる画家です。彼は聖母像や肖像画などを得意としました。本作は四分の三面の女性の腰から上を描いた肖像画であり、その形式はラファエロが得意としたものを踏襲しています。女性は刃のついた車輪と檸檬の葉を持ち、これは3世紀の聖人、アレクサンドリアの聖カタリナの極めて一般的なアトリビュート(持物)であることから、像主の女性の名前はカタリナであったと考えられます。しかし人物を特定するには至っていません。
アンドリアン・イーゼンブラント(に帰属)「王座の聖母子」16世紀、2005年度寄贈
常設作品
以下の作品は今までも何回となく観ていますが、今回たまたま撮影したので、ここで取り上げただけで、深い意味はありません。いずれにせよ、「名作」であることには変わりはありません。
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