国立新美術館で「ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の神髄」を観た! | とんとん・にっき

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国立新美術館で「ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の神髄」を観てきました。観に行ったのは2月23日のことです。


昨年のフランス8日間の旅行中、4月28日にルーヴル美術館を訪れました。その時のことをブログを二つ書いたところで、パソコンが壊れて、撮ってきた画像がすべて飛んでしまいました。

ルーヴル美術館を観た:レオナルド・ダ・ヴィンチ編

ルーヴル美術館を観た・ラファエルロ・サンティ編


「ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の神髄」、今回のテーマは 「風俗画」です。「風俗画」とは、人々の日常生活の情景を描いた絵画です。ルーヴル美術館が所蔵する16世紀から19世紀半ばまでのヨーロッパ風俗画が集められました。目玉は、オランダの風俗画の巨匠、フェルメールの「天文学者」です。ルーヴル美術館は、フェルメールの作品をもう一つ所蔵しています。「レースを編む女」です。この作品は、2009年に国立西洋美術館で開催された、「ルーヴル美術館展―17世紀ヨーロッパ絵画」の目玉として来日しました。


その時の図録を見ると、ル・ナン兄弟の「農民の家族」が目に入りました。今回、ル・ナン兄弟の「農民の食事」が出されていました。図録には、これらの二作品は「ル・ナン兄弟が描いたすべての農民のいる室内画の中で最も評価が高いと同時に、とりわけ野心的な作品でもある」とし、「作品の大きさと描かれた人物像の多さ、また質の高さは、この作品が物語画のひとつとして構想され、制作されたことを推測させる」と書かれています。


ヨハネス・フェルメール「天文学者」

天体望遠鏡が傍らに置かれた天球儀とその傍らの天体望遠鏡は、描写された人物が天体観察者であることを表している。窓から差し込む微妙な光、天文学者の仕草に呼応した対角線の影、寒色系と混ざり合った繊細な色には、静かで瞑想的雰囲気を創り上げる芸術を極めたフェルメールの手法が特徴的である。40点にも満たない彼の作品では、男性が主題になることは稀であるが、18世紀に営利目的で「天文学者」と連作の「地理学者」(フランクフルト私立美術研究所)も制作している。


ティツィアーノ・ヴェチェルリオ 通称、ティツィアーノ「鏡の前の女」

男性の差し出す鏡の前で夢中で髪を結う、若く美しい女性の背中が凹面鏡に映っている。穏やかなエロチシズムが漂う、当時のティツィアーノの画風を代表する作品である。調和に富んだヴェネツィア古典主義の完璧な表現を、頂点の極みへと導いた。


バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「虱をとる少年」

ぼろをまとった 衝撃的なこの鮮烈画像は、ムリーリョが生涯にわたって制作した大衆場面作品集の糸口となる1点である。テネブリズム伝統の名残が見られ、地味な色調が主で、強い光のコントラストが劇的効果を導いている。この様式は黄金時代のスペイン人画家たちの十八番であり、19世紀のフランス人画家たちの注目を浴びた。


クエンティン・マセイス「両替商とその妻」

17世紀にこの作品の縁に刻まれていた、レビ記から引用されたラテン碑文"自ら秤においても升においても公正なれ"は、この場面の教訓的な意図を示している。また、祈りの本から目を上げ、夫の行為を観察しながら、この世の財宝について思いをめぐらしているような女性の思わしげな視線でも強調されている。技巧を極め、オランダ風俗画の始まりと考えられているこの作品は、ヤン・ファン・エイクの損失した作品から着想を得ていると思われる。彼の有名な「アルノルフィーニ夫妻の像」(ロンドン、ナショナル・ギャラリー)を想起させる前景の凸面鏡が、その志向を確かなものとしている。


ジャン=アントワーヌ・ヴァトー「二人の従姉妹」

愛の喜び、会話、音楽、木陰の公園が、ヴァトーの雅宴画のテーマ体系を巧みに構成した小さなカンヴァスに描かれている。彼の作品にしばしば登場するように、ほっそりとした上品な首の上に髪を結い上げ、背中を向けた女性が現れている。柔らかいひだのドレスをまとい、傍らでふざけあっているカップルに無関心に、夢想しているかのようだ。輪郭の気品、些細な仕草の迫真性をとらえる能力において、ヴァトーと肩を並べる者はいない。


トマス・ゲインズバラ「公園での語らい」

トマス・ゲインズバラが20歳前に描いたこの作品は、イギリス社会で18世紀に大流行したカンヴァセーション・ピースの中の美しい1点で、フランス・ロココの影響が明らかな、洗練された流儀で制作された。小さな建物が見える装飾豊かな公園は、ゲインズバラの風景に対する愛着を喚起する。十分な収入を得るために社交肖像画を描く必要に迫られたという事情があり、風景画への興味を満たすことは不本意ながらできなかった。


展覧会の構成は以下の通りです。

プロローグ1 「すでに、古代において…」風俗画の起源
プロローグ2 絵画のジャンル
第1章 「労働と日々」―商人、働く人々、農民
第2章 日常生活の寓意―風俗描写を超えて
第3章 雅なる情景―日常生活における恋愛遊戯
第4章 日常生活における自然―田園的・牧歌的風景と風俗的情景
第5章 室内の女性―日常生活における女性
第6章 アトリエの芸術家



プロローグ1 「すでに、古代において…」風俗画の起源


プロローグ2 絵画のジャンル


第1章 「労働と日々」―商人、働く人々、農民



第2章 日常生活の寓意―風俗描写を超えて



第3章 雅なる情景―日常生活における恋愛遊戯




第4章 日常生活における自然―田園的・牧歌的風景と風俗的情景



第5章 室内の女性―日常生活における女性


第6章 アトリエの芸術家


「ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の神髄」

この度、パリのルーヴル美術館のコレクションから厳選された83点を通して、16 世紀から19 世紀半ばまでのヨーロッパ風俗画の展開をたどる「ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄」を開催いたします。 「風俗画」とは、人々の日常生活の情景を描いた絵画です。そこには、家事にいそしむ召使い、物乞いの少年、つましい食卓につく農民の家族、庭園に集う貴族の男女など、身分や職業を異にする様々な人々の日常がいきいきと描写されています。一方で、風俗画には必ずしもありのままの現実が描かれているわけではありません。日常の装いのなかに、複雑な道徳的・教訓的な意味が込められていることもあります。これらを読み解いていくことも、風俗画ならではの楽しみといえます。 本展には、17世紀オランダを代表する画家、フェルメールの傑作《天文学者》が初来日するほか、ティツィアーノ、レンブラント、ルーベンス、ムリーリョ、ル・ナン兄弟、ヴァトー、ブーシェ、シャルダン、ドラクロワ、ミレーなど、各国・各時代を代表する巨匠たちの名画が一堂に会します。 膨大なコレクションを誇るルーヴル美術館だからこそ実現できる、時代と地域を横断する、かつて例を見ない大規模な風俗画展。ヨーロッパ風俗画の多彩な魅力を、是非ご堪能ください。


「国立新美術館」ホームページ


zuro

「ルーヴルガイド」(日本語版)

600点のコレクションを掲載

ルーヴル美術館の公式ガイドブック

(去年の春に購入したもの)









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