高階秀爾の「誰も知らない「名画の味方」」を読んだ! | とんとん・にっき

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高階秀爾の「誰も知らない「名画の味方」」(小学館101ビジュアル新書:2010年10月6日初版第一刷発行)を読みました。同じシリーズで「ミロのヴィーナスはなぜ傑作か?―ギリシャ・ローマの神話と美術」(2014年2月8日初版第一刷発行)と、「ダ・ヴィンチの最後の晩餐はなぜ傑作か?―聖書の物語と美術」(2014年8月6日初版第一作発行)は、前に読んでいます。つまり、新しい方から高階秀爾のこのシリーズ3冊を読んだ、というわけです。


小学館101ビジュアル新書でもう一冊、読んでいたのを思い出しました。宮下規久朗の「フェルメールの光とラ・トゥールの焰」(小学館新書:2011年4月6日初版第1刷発行)です。シリーズの「誰も知らない「名画の味方」」に次いで二番目の本です。

宮下規久朗の「フェルメールの光とラ・トゥールの焰」を読んだ!


それはそれとして、シリーズ一番目の「誰も知らない「名画の味方」」、もし10年前に読んでいたらほとんど知らない画家ばかりだったと思いますが、いまはもう僕は、この本に取り上げられた24人の画家全部を知っています。もちろん入門書でもあるので、これから美術を勉強しようと思う人向けにも書かれていますが、それぞれの画家のことを知ってからでも、読んでいて腑に落ちることがたくさん書かれています。


高階は「はじめに」のなかで、以下のように書いています。


「わからない」と言えば、美術の専門家にとっても、わからないことはいっぱいある。画家について、作品について、調べれば調べるほどわからないことばかりと言ってもいい。だがそのようにして多くの作品に接し、互いに比較し、また歴史や背景を探っていくうちに、まるで山道で突然、眺望が開けるように、今まで気づかなかった新しい視点が浮かび上がってくる。それは思いがけない細部の特質であったり、歴史とのつながりや、あるいは画家の仕掛けた密やかな企みなど、さまざまだが、そのことに気づいて改めて絵を見直してみると、そこに新たな発見があり、理解が深まり、喜びと感動は倍加する。「絵の見方」というようなものがあるとすれば、そのような視点を見出すことにほかならないだろう。


この本の「内容」は、以下の通りです。


24人の巨匠とその名画に秘められた謎が解ける

西洋美術史研究の第一人者による、新しいタイプの絵画鑑賞の入門書。「名画」には、絵画鑑賞をより楽しく充実させるための、「見方」があります。本書では、八つのテーマに分類された「名画の見方」に基づき、日本を代表する美術史家である著者が、巨匠たちの手になる名画の数々を例に、具体的にわかりやすく解説。《モナ・リザ》の美貌の秘訣は「水」にある?フェルメールはグラビア写真家の元祖だった? ルノワールの絵には「嘘」が塗ってある? 24人の巨匠とその名画に秘められた謎が解ける。「名画」は、なぜ「名画」と呼ばれるのか? 「巨匠」は、いかにして「巨匠」になったのか? 本書を読めば、名画と巨匠にまつわるそれらの疑問が、目から鱗が落ちるように、解決します。美麗な図版満載。


高階秀爾:

1932年東京都生まれ。美術史家。東京大学教養学部卒業。東京大学教授、国立西洋美術館館長などを経て、現在は大原美術館館長。東京大学名誉教授。著書に「名画を見る眼」「続名画を見る眼」(以上 岩波新書)、「ルネサンスの光と闇」(中公文庫)、「世紀末芸術」(ちくま学術文庫)、他多数。

誰も知らない「名画の見方」 目次


第一章 「もっともらしさ」の秘訣

  白い点ひとつで生命感を表現したフェルメール

  見る者を引き込むファン・エイクの「仕掛け」

  影だけで奥行きを表したベラスケス

第二章 時代の流れと向き合う

  激動の時代を生き抜いた宮廷画家ゴヤ

  時代に抗った「革新的な農民画家」ミレー

  時代を代弁する告発者ボス

第三章 「代表作」の舞台裏

  いくつもの「代表作」を描いたピカソ

  タヒチでなければ描けなかったゴーガンの「代表作」

  二種類の「代表作」をもつボッティチェリ

第四章 見えないものを描く

  科学者の目で美を見出したレオナルド・ダ・ヴィンチ

  人を物のように描いたセザンヌの革新的な絵画

  音楽を表現したクリムトの装飾的な絵画

第五章 名演出家としての画家

  依頼主を喜ばせたルーベンスの脚色

  演出した「一瞬」を描いたドガ

  絵画の職人ルノワールの計算

第六章 枠を越えた美の探究者

  女性の「優美な曲線」に魅せられたアングル

  見えない不安を象徴したムンクの「魔性の女性像」

  イギリス絵画の伝統を受け継いだミレイ

第七章 受け継がれるイメージ

  カラヴァッジョのドラマチックな絵画

  働く人々を描いた色彩画家ゴッホ

  西洋絵画の歴史を塗り替えたマネ

第八章 新しい時代を描き出す

  人間味あふれる農民生活を描いたブリューゲル

  新しい女性像を描いたモリゾ

  20世紀絵画の預言者モロー

あとがき

西洋絵画略年表


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