ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」はなぜ傑作なのか?―聖書の物語と美術 | とんとん・にっき

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ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」はなぜ傑作なのか?―聖書の物語と美術(小学館101ビジュアル新書:2014年8月6日初版第1刷発行)、を読みました。


僕はミラノには3度、行ってますが、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂にある壁画、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」は、2度観ました。最初は1990年夏、2度目は2004年冬です。最初に観た時は、たしか絵の前に足場があって、修復中だったように思います。2度目は入るのにもしっかりガードされて、見学時間が限られていました。1943年に連合軍の爆撃に会い、建物が半壊し、3年間にわたって雨ざらしになっていたという、始めてその写真を観た時には驚き心が痛みました。


といっても、この本は、ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」について触れているのは最終章である第7章でのみで、他は下の「目次」にも書いたとおり、一つの絵画とその作者にそれぞれ章を設けて解説しているものです。高階は「聖書の世界の代表的な物語を通して、読み解きの実例を示そうとしたものです」と解説しています。


順序は逆になってしまいましたが、高階の最近の著作、「ミロのヴィーナスはなぜ傑作か?―ギリシャ・ローマの神話と美術」(小学館101ビジュアル新書:2014年2月8日初版第1刷発行)や、「誰も知らない名画の見方」(小学館101ビジュアル新書:2010年10月6日初版第1刷発行)も購入して読んでいます。後日、このブログに書く予定です。ふと考えてみたら、高階秀爾の著作は、美術館の大御所であるにもかかわらず、僕はほとんど読んでいないことがわかりました。過去に読んだのは、バイブルのように使っている(と、いつも書いている)「近代絵画史(上・下)」(中公新書:昭和50年2月25日初版)と、「増補 日本美術を見る眼 東と西の出会い」(岩波現代文庫:2009年12月16日第1刷発行)だけでした。


本のカバーには、以下のようにあります。

ヨーロッパ社会において2000年以上にわたり、人々に日常生活や精神活動の礎となってきたキリスト教は、多くの名画を生み出す源泉となってきた。ヨーロッパ美術の歴史の中で、聖書の物語がどのように描かれてきたか、名画のなかに聖書が息づいているのかを読み解き、数多くの美麗な図版とともに、わかりやすく解説。「ミロのヴィーナスはなぜ傑作か?―ギリシャ・ローマの神話と美術」姉妹編。


高階秀爾:

1932年東京都生まれ。美術史家。東京大学名誉教授。大原美術館館長。東京大学教養学部卒業。2012年文化勲章受章。著書に「名画を見る眼」(岩波新書)、「誰も知らない「名画の見方」」「ミロのヴィーナスはなぜ傑作か?」(小学館)、編著に「ルネサンスの名画101」(新書館)「美人画の系譜」(小学館)他多数。


目次

はじめに

第一章 天地創造―ミケランジェロ

第二章 アダムとエヴァ―マザッチョ

第三章 水浴のスザンナ―ティントレット

第四章 バテシバの不倫―レンブラント

第五章 「雅歌」とサロメの踊り―モロー

第六章 受胎告知―フラ・アンジェリコ

第七章 「最後の晩餐」はなぜ傑作か?

      ―レオナルド・ダ・ヴィンチ

あとがき


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