山田詠美の「血も涙もある」を読んだ! | とんとん・にっき

山田詠美の「血も涙もある」を読んだ!

 

山田詠美の「血も涙もある」(新潮社:2021年2月25日発行)を読みました。

 

山田詠美の「つみびと」を読んだときに、以下のように書きました。

山田詠美の著作は、初期の「ベッドタイムアイズ」「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」など、ブッ飛んだ作品を読みました。また、「風味絶佳」「無銭優雅」などを読みました。その他、芥川賞の選評は必ず読んでいます。そのような作家が、まったく路線の異なるこのような小説を書くようになるとは、いやはや驚きました。

 

芥川賞選考委員がこんな小説を書くか。怒り心頭です。本の帯には「私の趣味は人の夫を寝取ることです」とあります。出版社が付けたのでしょうが、これじゃまるで三流の通俗小説です。どこがいいのか、僕にはさっぱりわかりません。もうすぐ選評の載った文藝春秋が発売されます。今回の芥川賞受賞作2作への、山田詠美の選評が楽しみです。

 

「血も涙もある」は、

有名料理研究家の妻と、その10歳年下のイラストレーターで「魅力的」な夫。ある日、妻の助手である一人の女が、夫の恋人となる。はじめは、微妙なバランスを保っていた3人の関係は、ユーモラスに残酷に、その味わいを変えていく。「妻」「夫」「恋人」と異なる視点から語られる、意外なその後味とは――。

 

「妻」「夫」「恋人」とは、

「妻」、沢口喜久江、有名料理研究家。そのレシピは、幅広い年齢層の人気を獲得している。料理本や料理教室も人気で、ウェブ連載のエッセイも持ち、スタッフからも慕われている。50歳。
「夫」、沢口太郎、喜久江の夫で、10歳年下。キタロー・サワグチ名義でイラストレーターの仕事をしている。
そして「恋人」、和泉桃子、35歳。短大の食物栄養科を出た後、友人のケータリングサーヴィスの会社を手伝っていたが、喜久江の助手となる。

 

「恋人」「妻」「夫」「恋人」が交互に出てきます。

 

目次

1. lover
2. wife
3. husband
4. lover
5. wife
6. husband
7. lover
8. wife
9. husband
10. people around the people

 

山田詠美:

1959(昭和34)年、東京生れ。明治大学文学部中退。1985年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。1987年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、1989年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、1991年『トラッシュ』で女流文学賞、1996年『アニマル・ロジック』で泉鏡花賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、2005年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、2012年『ジェントルマン』で野間文芸賞、2016年「生鮮てるてる坊主」で川端康成賞受賞。『ぼくは勉強ができない』『学問』等、著書多数。2003年から芥川賞選考委員。

 

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