INAXギャラリーで「桝本佳子」展、「今野朋子」展を観た! | とんとん・にっき

INAXギャラリーで「桝本佳子」展、「今野朋子」展を観た!

INAXギャラリーは、東京メトロ銀座線京橋駅を出て、銀座方向にちょっと戻ったところにあります。銀座方面へ行く時には必ず立ち寄るギャラリーです。元々INAXはタイル屋なので、かつてはタイルの見本を見に行くときに、よく行ってました。INAXギャラリーは今は、3つの展示室があり、それぞれ様々な企画展示がなされています。いずれも無料なので、気楽に立ち寄れます。INAXギャラリーを観た後は、近くのドトールでコーヒーを飲んで一休みします。時には、路地を入ったところにある美々卯で食事をしたりもします。一休みしたら銀座方向に向かい、ポーラミュージアムアネックスに立ち寄ります。あるいは京橋駅から逆方向に歩いて、ブリヂストン美術館へ行くこともあります。


INAXギャラリーには、3つの展示室があります。ギャラリー1は、今回は「種子のデザイン展 旅するかたち」という展覧会が催されていました。種子の詰まった標本箱がいくつも展示されていました。ここではギャラリー2と、ガレリアセラミカに展示されていたものを、以下に載せておきます。ギャラリー2では、「桝本佳子展 パノラマのうつわ」が、ガレリアセラミカでは、「今野朋子展―陶 夢想のいきものたち―」が展示されていました。珍しく共に、陶芸作品です。が、しかし、とても陶器、つまり土を使ったやきものに見えない作品なので、驚かされます。


面白かったのは桝本佳子の過去の作品、一つの作品に二重のかたちが入り込んでいます。「大根と壺」とか、「壺と壺」とか、他には「蛸と壺」や「山と壺」などの作品もあります。組み合わせた関係が1対1の関係ですが、今回は規模が大きく、「町/壺/皿」のようなイメージで、観光地の立体パノラマのような作品でした。一方、今野朋子の作品は、動物なのか植物なのか、内臓なのか、えもいわれぬグロテスクな感じ、ですがただグロテスクなだけではなく、けっこう美しいものに仕上がっています。今野はそれをイメージとしては「グロチック」なもので、「想像上のいきもの」と表現しています。


桝本佳子展 パノラマのうつわ





桝本佳子の過去の作品


桝本佳子展:展覧会詳細
見上げるような高さ1.65mの陶大壺の天地をつらぬくように、等身大の仔馬が半身飛び出しています。白土に赤絵の艶やかな、まるで絵付け模様から飛び出してきたかのような幻想性とダイナミズムに圧倒される作品です。(「馬/壺」(2011))。また「兵庫県/皿」(2011)は、兵庫県の立体的な地形の上に古地図の絵皿が乗り、グーグルマップのようにポップアップした地名が読み取れる楽しさに、思わず微笑んでしまいます。桝本佳子は、「日本の陶芸」をテーマに誰もが知っているモチーフや、焼成方法、釉薬などの要素をベースに、独特の現代的発想を組み合わせて作品をつくります。青磁の壺に船、備前焼の壺に五重の塔など、いずれもダイナミックでユーモアがあり、凝視したくなるような精緻な美しさを備えています。壺や皿だと思ったかたちの意外な展開に驚きと感嘆の声が上がる展覧会です。 桝本佳子は2006年京都市立芸術大学大学院を修了後、ミッドタウン アワード アートコンペ準グランプリ受賞(2008)、国立近代美術館工芸館「装飾の力」展(2010)、豊田市美術館「新・陶・宣言」展(2011)、兵庫県立美術館「美術の中のかたちー手でみる造形 やきもの変化」(2011)と活躍を続けています。作品は幼少より親しんだ茶道に端を発し、道具立てや見立ての考え方、長じては宮川香山や真葛焼きなど日本近代輸出陶器にそのイメージの源泉があります。各種陶芸技法を駆使してつくるマチエールやディティール、取り合わせ、組み合わせの妙味には、若い作家の等身大のセンスやユーモアが溢れ、見る者を魅了します。今展では、観光地に設置してある、部分的にデフォルメされた立体パノラマ地図をモチーフにした新作「町/壺、皿」を中心に展示いたします。どうぞ会場でお楽しみください。


桝本佳子略歴
1982年 生まれ
2007年 京都市立芸術大学大学院 修士課程 陶磁器専攻 修了
2011年 University of the Arts(米 フィラデルフィア)ゲストアーティスト

award
2005年 京都市立芸術大学 制作展 同窓会賞
2006年 国民文化祭やまぐち陶芸展 文部科学大臣賞
2007年 京都市立芸術大学大学院修了制作展 大学院市長賞
2008年 東京ミッドタウンアワード アートコンペ 準グランプリ
2009年 京展 彫刻部門 館長奨励賞
トーキョーワンダーウォール 立体・インスタレーション部門 大賞


今野朋子展―陶 夢想のいきものたち―





今野朋子展:展覧会詳細

今野朋子の作品は、練り込み技法などで様々な色土を混ぜ合わせてつくったパーツを、花びらや花芯状に重ね、想像上の生物のようなかたちをつくるオブジェです。ピンクやグリーンが艶かしい巨大な南洋の花や、柔らかな外殻を持つ生物が、さわさわと起毛を揺らしているような迫力で、一瞬グロテスクさも感じさせます。一方で、釉薬を用いない磁土の乾いた質感が過剰な色と造形を抑制し、奇妙なコントラストを生み出しています。今年2011年国際陶磁器展美濃で入賞した『creature「core」』では、中にびっしりと針状のピンクの起毛を持つ.直径20センチのお椀型の周りを、グリーンとグレーを基調としたマーブル模様の様々な大きさの葉で包み込み、尾のように高く捩り上げました。高さ1.Oメートルほどの大きなオブジェですが、繊細なパーツと混合する色の奥へ凝縮する見えない密度が、圧倒的です。今野朋子は、大学ではファッションデザインを学び、卒業後1994年に夫の赴任先の香港で初めて陶芸に出会います。器をつくろうと軽い気持ちで始めた陶芸の奥深さにのめりこみ、日本で本格的に学ぶため、窯業地である常滑に家族で移住しました。器からもっと自由にものをつくりたいとオブジェの制作に取り掛かり、技術の向上につれて小品から徐々に大きなものを生み出しています。2009年長三賞奨励賞、2010年菊池ビエンナーレ奨励賞、2011年国際陶磁器展美濃入賞、長三賞グランプリと、近年大きく活躍の場を広げています。とにかくものをつくりたくて仕方がなかったという今野の自由な創造の源は、「その時々に気になるもの。例えば内臓のような中身」で、最近では「細かく振動するように響く音」を表現したいと精力的に制作をしています。今展では、壁から床まで使ったインスタレーションを展示予定です。受賞の続いた今年最後の個展、華やかな作品をぜひ会場でご覧ください。


今野朋子略歴:
1967年 秋田県由利本荘市に生まれる
1989年 文化女子大学 ファッションデザイン学科卒業
1992年 結婚後、香港へ渡港
1994年 テレンス・リー、ジョンソン・ツァンに陶芸を学ぶ
1996年 ジョンソン・ツァンの通訳兼技術アシスタント
1999年 愛知県常滑市に工房を構える
2001年 チェコにて開催されたマグシンポジウムに参加
2009年 韓国京幾道世界陶磁ビエンナーレ ワークショップ参加
受賞
2007年 第41回 女流陶芸展 京都市長賞
2009年 第29回 長三賞現代陶芸展 奨励賞
2010年 第04回 菊池ビエンナーレ 奨励賞
2011年 第09回 国際陶磁器展美濃 銅賞
神戸ビエンナーレ2011 現代陶芸コンペ 入選
第30回 長三賞常滑陶芸展 大賞


「INAXギャラリー」ホームページ

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