さとりをひらいた犬、翻訳動画

 

「身体・エゴ・魂」についてコウザが語る。

 

 

 

「ワシらは三つの存在が、一つに合わさっている存在じゃ」

 

「三つ?」

 

「そう、三つじゃ。三つが一つになった存在。三位一体、それがわしらじゃ。

 

 

その一つ目は身体、肉体、じゃ。

 

ワシらは身体で生きている。

 

身体があることで、この世界に存在しておる。

 

身体はこの世界を生きるための乗り物じゃ。

 

 

だからこの世界にいるときは、この身体を養っていかねばならん。

 

大事に面倒を見、世話をしてやらねばならん。

 

食事をし、睡眠を取り、疲れを取り、身体が快適に動くようにしなければならん」

 

 

僕は、自分の食物にするために狩ったウサギを思い出した。

 

 

「身体の声を聴き、身体の声に従わないと、身体は滅びる。

 

身体を粗末に扱うと、身体は故障する。

 

それが病気じゃ。

 

そうなったら、ワシらも滅びる。つまり死じゃ」

 

 

そう言うと、コウザは念を押すように僕の目を見た。

 

 「これは、分かるな」

 

僕が小さくうなずくと、コウザは話を続けた。

 

 「二つ目は自我、エゴじゃ」

 

 「自我? エゴ?」

 

 「例えば狩りじゃ。

 

どこに行けば獲物がいるか、どうやって獲物を追い込むか、あるいはどうやって敵から身を守るか…。

 

あるいは仲間と良い関係を作っていくため、どうやってお互いに協力関係を作っていくのか。

 

エゴは重要じゃ。

 

エゴはこの世界を生き残るための機能じゃ。

 

身体の声だけでは、とうてい生き残ることは出来ない。

 

身体を管理し、自分にとってよりよい状況を作り出すような行動をする。

 

あるいは計画していく。

 

 

この厳しい世界を生き残っていくために考え、行動するという機能、これが自我、エゴじゃ」

 

そう言うと、コウザはまた僕の目を覗き込んだ。

 

 「これも、分かるな」

 

僕はまた小さくうなずいた。

 

 「最後の三つ目は…魂、スピリットじゃ」

 

 「魂…」 

 

 「三つの中で、一番理解しづらく、一番忘れてしまいがちなもの、それが魂じゃ」

 

コウザは僕の目を見ながら、一つ一つ言葉を確認するように語り掛けた。

 

 「身体とエゴだけでも“生存”していくことはできる。

 

多くの人間たちはこれじゃ。この二つしか機能しておらず、魂が死んでおる」

 

「魂が、死んでいる?」

 

 「そう、死んでおる。肉体は魂の乗り物なのじゃ。エゴは御者にすぎぬ。魂こそがわしらの本質なのじゃ」

 

 「…」

 

 

 

「人間…やつらは大切なものを忘れてしまったのじゃ。

 

だから多くの命を平気で奪う。

 

自分や自分たちの仲間のことしか考えない。

 

いのちや全体のことわりを見ることは出来んのじゃ。

 

エゴの特徴じゃな。目の前と自分しか見えん。

 

全体の中の自分が分からない。愚かなことじゃ。

 

これは“ほんとうに生きている”こととは違うんじゃ。悲しい事じゃ」

 

そこまで言うと、コウザは僕をじっと見ながら言った。

 

 「そうじゃ。“生存している”と“ほんとうに生きている”は違うんじゃ」

 

 

 

 ダルシャも、同じことを言っていた…

 

 「ワシらが人間たちと決定的に違うのは、『魂の声』を聴くことが出来る、と言うことなんじゃ」

 

 「『魂の声』…」

 

「身体の声を聴くことは簡単じゃ。腹が減る、眠い…。エゴの声も簡単じゃ。

 

どうすれば得をする、どうすれば他の連中を出し抜ける、どうすれば優位に立てる、

 

どうすれば楽をして望みを叶えられる…どうすれば嫌なことから逃れられる…

 

自分、自分、自分、そればっかりじゃ」

 

僕も…僕もそうだったかもしれない…

 

 「人間に狩られた動物たちは、人間が食料として狩ったのか…? 

 

自分たちの身体を養うために殺したのか…? 

 

動物たちは、いのちの循環の輪に入れたのか?」

 

僕は、剥製になったダルシャや他の動物たちの姿を思い浮かべた。

 

 「いいえ…違います…」

 

 「人間は己のエゴを満足させるために殺すのだ。

 

自分が殺した動物をお互いに自慢し合い、自分がいかに強く、優れているかを競い合っているのだ。

 

殺される動物たちは人間のエゴの生け贄なのだ。

 

人間のエゴのエサになってしまったのだ」

 

僕は何も言えなかった。その人間たちの手先となり、ご主人様から撫ぜられたり、干し肉をもらって喜んでいた僕は、なんて愚かだったんだろう。

 

 「僕は、愚かでした…」

 

「はじめは誰でもそうじゃ。『魂の声』は簡単には聞こえん。

 

いろいろな経験を積み重ね、初めて聞こえるようになるんじゃ。

 

ま、アンガスは…アンガスにはまだ少々早いようじゃがの」

 

 「ガルドスには…ガルドスにはすまないことをしました」

 

 「ガルドスはおのれの魂の声にしがたって戦ったのじゃ。

 

やつはこの谷の長(おさ)として、この谷を守るために、そのために自らの命を差し出すことが必要だということを分かっておった。

 

ワシらはどうがんばっても、人間たちの武器には敵わん。

 

おぬしのような優れた犬たちもおるでの」

 

 

 「それじゃ…」

 

 「そうじゃ。ガルドスは自分が人間たちに討たれることで、この谷を守ったのじゃよ。

 

ガルドスは、自分のいのちをこの谷に捧げたのじゃ」

 

 

 僕は、何も言えなかった。

 

 

 「ガルドスが身体とエゴの声しか聴いていなければ、逃げ出していたことじゃろう。

 

あの闘いに行くということは“死”を意味しておった。

 

ワシらも死にたくはない。

 

一日でも長くこの身体と共に、生きていたい。

 

しかしガルドスの『魂の声』は、そうささやかなかった。

 

そして、ガルドスはその声に従ったのじゃ」

 

 

コウザは僕の目を、しっかりと見つめた。

 

 「じゃからこそ、おぬしには責任がある」

 

 「責任…? 僕に、責任…ですか?」

 

 「そうじゃ。おぬしにはガルドスを殺した責任、ダルシャの最後の聞き手としての責任がある。

 

そう、つまり、おぬしは自らの『魂の声』に従って生きていく、という重大な責任がある」

 

 

 コウザは強い視線で僕を見た。

 

「ジョンよ、覚悟せい」

 

コウザはゆっくりと立ち上がり、奥の部屋に消えていった。

 

 

 

 

 

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