あけましておめでとうございます。

 

ついに2024年になりましたね。

 

今年も元気よく、楽しく、自分の人生を生きましょう!

 

それでは、週刊「さとりをひらいた犬」です

 

この連載も今回を入れて残りあと2話となりました。

 

ラストスパート!

(本篇)

第1章「旅の始まり」

第2章「三つの存在」

第3章「恐れ」

第4章「エゴ」

第5章レグードゥの森

第6章女神シャーレーン

第7章最後のたたかい

 

 

前回は…

 

 

(65)存在理由を探して

 

「お前は、自分がとった行動を後悔しているか?」ゾバックがシーザーに聞いた。

 

「後悔? いや後悔は全くない」

 

「では、今、どのような気分だ?」

 

「とても気分がいい。すっきりした気分だ」

 

「『魂の声』に従って生きるということは、そういう気分で生きるということだ。

 

そういう存在(Being)で生きるということだ。

 

どうだ、気持ちが良かろう」

 

 

「ああ、確かに。とても気分がいい。こんなスッキリした気持ちは初めてかもしれない」

 

「それがエゴの声ではなく、魂の声で生きるということだ」

 

「エゴの声でなく、魂の声…」

 

 

 

「エゴの声はおのれを駆り立てる。

 

不安や恐れ、怒りや執着、優越感や劣等感にしがみつく。

 

しかし、魂は違う。魂の本質は、自由なのだ」

 

 

 

 

シーザーは、シャーレーンに言った。

 

「お前は以前、私のことを傷ついている、と言ったな」

 

 

 

(ええ、言いました。私たちを攻撃し、傷つけ、殺さなければ癒されないほど、あなたは傷ついている、と)

 

 

 

「私はいま、それが少し分かったような気がする。私は傷ついていたのかもしれない」

 

「言ってみろ」ゾバックが聞いた。

 

 

 

「私は、自分の存在理由が分からなかった。

 

生きている意味が、生まれた理由が分からなかった。

 

子供の頃はそんなことばかり考える変わった子供だった。

 

しかし、あるとき私は決心した。この迷い、いや、苦しみだったかもしれない。

 

これを払拭するには最強の称号を得ることだ、それしかない、と。

 

私は最強になるために生まれた、と生きる目的を定めたのだ。

 

最強になったら、この迷いや苦しみから逃れることが出来るかもしれない、と。

 

自分を最強だと感じ、そして周囲からも最強だと認められること、伝説になること、そこに私に欠落していた存在理由を求めてしまったのかもしれない。

 

最強になること、それで存在理由を埋めようとしていたのかもしれない。

 

あの片眼の狼の言っていた通りに」

 

「黒い犬よ、本当はどうしたいのだ?」

 

 

「…わからない。今の私にはわからない」

 

 

 

ヴェルキンが言った。

 

 

「わからぬなら、見つければよい」

 

 

(あなたの好きなようにしてください。まずは役割から離れて魂を自由にしてあげることです)

 

 

「しかし…」

シーザーは心配そうに自分を見ている部下達をチラッと見た。

 

 

「しかし、何だ?」

 

「私は部隊の司令官として、部下達を導く責任がある」

 

 

(彼らには彼らの進む道があるのです。

 

あなたが『魂の声』を聞いたように、彼らも自らの『魂の声』を聞き、成長していくのです。

 

彼らの魂を信じましょう)

 

 

 

「シーザー、こういう時こそ、自分の魂に聴くんだよ。

 

目をつぶって、自分の魂に問いかけるんだ。

 

『魂よ、本当はどうしたいんだ?』って」

 

 

僕は我慢しきれずにシーザーに話しかけた。

 

シーザーはうなずくと、静かに目をつぶった。

 

 

 

しばらくじっと目を閉じていたシーザーは、おもむろに目を開け、言った。

 

 

「私はここに残りたい。

 

私はあなた達の言っていることが、まだよく理解できない。

 

しかし、おそらく私の『魂の声』というヤツが、ここに残ってもっと理解を深めたいとつぶやいていることは分かる。

 

片眼の狼の代わりとして、あなたの守護をやらせてもらえないだろうか。

 

彼を殺した責任もある」

 

 

「他の奴らはどうする? 

 

なんなら、ベレン山に連れて行っても良いぞ」

ゾバックが言った。

 

 

 

「ありがたい。皆に聞いてみる」

 

シーザーは部下達の輪の中に歩いていき、すっくと立って言った。

 

「皆、よく聞け。我が最強部隊は今日で解散する。

 

お前達は自由だ。好きにするがよい。

 

人間の元に戻るもよし、旅に出るのもよし、私と共にこの森に残るもよし、あの大熊と一緒にベレン山に行くもよし。

 

全て自由だ」

 

「司令官、そんなことを言われても…指示を出してください」

 

「いまのが最後の指示だ。これからは私にではなく、自らに従って生きるのだ。

 

しかし一つ言っておく。私はお前達と一緒に過ごせたことを誇りに思う。

 

そしてこれが別れではない。いずれ互いに成長し、ひとりの仲間として再会することを約束しよう。

 

これからは私を『司令官』ではなく、シーザーと呼んでほしい」。

 

 

「わかったシーザー。私は大熊と一緒にベレン山に行く。私と共に来るものはいないか?」

 

マリウスだった。すっかり傷も治っている。

 

 

「俺はいつも弟であるお前を支える役目をしてきた。

 

だからこそ、俺はお前から離れて自分というものを、もう一度見つめ直したい」

 

 

シーザーたちは、シーザーと共に森に残るグループ、マリウスと共にベレン山に行くグループ、行く先を決めずに旅立つグループの大きく3つのグループに分かれた。

 

 

事の成り行きを見ていた僕に、ゾバックがのっしのっしと近づいてきた。

 

「ジョンよ。お前と別れてしばらく後に、ガジョという犬が仲間と共に私のもとを訪ねてきた。

 

みな、私が一度戦った者たちだ」

 

 

「ガジョが!」

 

 

「そうだ」

 

「で、ガジョは?」

 

「ガジョは今、仲間たちと一緒に、私のいない間ベレン山を守ってくれている。

 

しっかりとした良きリーダーだ」

 

「そうか! よかった!」

 

「ガジョからの伝言を預かっているので伝えよう。

 

『ハイランドで再会しよう、魂の友よ』とのことだ」

 

ゾバックはそう言って、またらしくないほどの満面の笑みを浮かべた。

 

 

僕はうれしくてたまらなくなって、思わず遠吠えをした。

 

 

ウォ~ン、ウォ~ン!

 

すると、それに呼応するようにシーザーやその仲間たち、ヴェルキンまでもいっせいに遠吠えを始めた。

 

 

ウォ~ン、ウォ~ン!

 

ウォ~ン、ウォ~ン!

 

 

それはまるで、僕たちみんなが新しい出発を祝い合っているような、陽気で元気な遠吠えだった。

 

 

(66)連載最終回/ウルム山へつづく

 

 

【お知らせ】

●9月末に「ほんものさがし」という YouTube 番組に出演させていただきました。

全部で3回収録をしていただきまして、その第3回目が公開されました。

 

(第1回)

(第2回)

 

●「さとりをひらいた犬」が Audible になりました。

ジョンやゾバック、クーヨやシャーレーンなどのキャラクターたちが、音声になって飛び出してくるということを想像するだけで、言葉にできない思いが湧き上がってきます。

 

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●こちらも素晴らしいです。

ご覧になっていない方は、ぜひ一度ご覧ください。

【動画・英語版/翻訳動画(各回約10分)】

(最新動画)

 

 

(予告編/1分半)

 

(エピソード1)

 

(エピソード2)

 

(エピソード3)

 

エピソード4

 

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よくご質問いただくので、以前書いた記事をリンクしておきます。

おすすめのお茶や飲み物など

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おススメの本②(劇的寛解事例)

おススメ本③(生還者たちの体験記)

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