【小嶺 忠敏監督語る】 | 【かほり放送局】

『情熱の源は?』

「この子たちをどうにかして育てたい、その一心」

日本一を目指す、日本代表を育てる、そう本気で考えて無我夢中でやってきましたからね。

最初は島原商業でね、こんな田舎でそんなことができるかと信じてもらえなかったけど。

昔は金は無くてもこの子を育ててみたい、子どもの指導のためなら何が何でもっていう

指導者がたくさんいたけど、今は少なくなったねぇ・・・。

目の前にいる子どもをどうにかして育てたい。途中で放り出すことは出来ない。

 

複数のコーチで満遍なく指導しているとお聞きしました。

一人ひとりの事を良く知るために、コーチ達からしっかり話を聞くようにしています。

学校の担任の先生からも話を聞いたりね。

学校での態度とか、提出物をしっかり出しているか、などの普段の生活の事を聞きますね。
サッカーしている時の姿だけを見てたらダメですよ。

普段の生活からしっかり、きちんとやっているかどうかも見ないとね。
サッカーしてる時だけ一生懸命やってる子は、試合の一番大事な時に頑張りきれない。

大事なところで頑張れる奴は、普段の生活からピシっとやるべきことをやっている。

全国優勝したような代を振り返ると、普段の生活からしっかりした選手が多かった。

普段の生活とサッカーは繋がっていますよ。

何年も付き合って初めて「あ、こういう一面があるのか!」と分かる場合もあるよね。
「あいつ、意外にプライドが高いな!」「監督、よくわかりましたね、そうなんですよ!」

なんて話を選手とすることもある。

その子の事が本当に分かって、そこから一人ひとりに合わせた指導ですね。

その子の性格に合わせて、横着な子には多少厳しく接したり、自信がない子には励ましたりね。

接し方や試合前の声掛けなんかも人それぞれだからね。

監督は高校サッカーの指導を始めて今年で52年になるとのこと。

指導する子ども達も時代によって変わって来ているでしょうね。

時代を経て変わってきたもの、変わらないもの

昔は物が無い時代でしたからね、それが今では物があふれて、恵まれすぎた中に育ってきた子ども達です。子ども達だけではありませんね、親世代もそういう時代に育ってきていますから。

豊かな家庭に育っていますね。物の大切さを知らないなと感じますよ、弁当を捨てたりね。

甘えの構造の中にいるというかね、厳しさがあるとギブアップしちゃう面がある。

「なんでうちの子を試合に出してくれないんですか」という

保護者からのクレームも時代と共に増えています。親もチームよりまず「我が子ありき」の考え方です。言ってみれば、「ハウス栽培育ち」の子ども達。こういう子ども達を率いて

日本一になれるような指導をするには、指導者は障害をたくさん乗り越えないといけない時代です。

最近の子はね、平気でウソが言えちゃう子がいる。表面だけ取り繕っていい子でいるような。

それで通用すると思ってしまっている。ある意味可哀そうですよ。

子ども達は周りの大人をよーく見てますよ。しっかり観察している。

自分たちには「時間を守れ」って言ってる大人が練習に遅刻してくるなんていうのは、

本当によく見ていてね「あのコーチは何回遅刻した」とかね。

子ども達にそういう事を課す以上は、絶対に大人もやり抜かないとダメなんだよね。

自分は適当にしておいて、人にやらせるのが一番悪い。そういうところを子どもが見透かして

その場しのぎを言うようになる。これが一番ダメな事だね。

口先だけなのか、本気で身体張ってやってるのか。私はね、今でも可能な日は

週に2~3日寮(サッカー部の寮)に泊まり込んだり、全国自分で運転して遠征も行きます。

本気で身体を張ってやってますよ。

 

いやね、やればやるほど、失敗するんですよ。自分もそうですよ。

でもね、失敗してもいいから、チャレンジしないとね。

こういう時はこうすればいいと分かる。その積み重ねですよ。千里の道も一歩からというでしょ。
私も今でも常にチャレンジですよ、生涯チャレンジし続けます。

小嶺監督を慕って全国から集まる選手、小嶺監督を尊敬する指導者の皆さんを惹きつけるのは、この「子ども達への情熱」なのではないかと感じました。

今は少なくなったねぇ・・・。
もちろん今でも、何人かはいますよ、しっかり身体を張って本気で指導している指導者が。

そういう指導者は間違いなく全国で優勝しますよ、何回も。
若手指導者にも、「こいつはいつか全国を取るな」という本物の指導者がいます。

でも口先だけの指導者は、一回くらいは優勝できたとしても、何回もは難しいねぇ。