【日活ロマンポルノ50周年】 『男に崩されるのではなく、自ら崩れていく』 ロマンポルノは、なんといっても「女優」の存在抜きには語れない 2021年は、日活ロマンポルノが50周年を迎えた節目の年だった。東京・渋谷で開かれた 記念上映イベントには、往年のファンはもちろんのこと、若い世代の姿も多く見られた。 初代SMの女王と呼ばれている谷ナオミだろうか。 代表作『花と蛇』魅力が凝縮されているのは小沼勝監督の『花芯の刺青 熟れた壷』(1976年)だ。 映画では彫師の蟹江敬三がまた、すさまじい演技を見せる。 彫る男と彫られる女。その緊張感が解けたとき、エロスは爆発する。彼女の目線ひとつで、 柔な男はイチコロになるのではないか。畏れ多くて話しかけることもできないかもしれない。 強固な意志が肉体の快楽によって崩れていく。そこに同性としてたまらないエロスを覚える。 男に崩されるのではなく、自ら崩れていくのが谷ナオミ演じる女なのだ。 ロマンポルノの第一作は誰もが聞いたことのあるタイトル『団地妻 昼下がりの情事』 (西村昭五郎監督・白川和子主演)だ。以降の17年間で公開された作品は、約1100本。 50年たった今も色褪せず、旧ファンも新ファンも熱くロマンポルノを語る。 50周年のイベントで4週間にわたってロマンポルノを上映した渋谷の映画館には、 男性のみならず女性ファンの姿も多かった。 ルールさえ守れば、比較的自由に撮れたため、若い監督たちがその才能を遺憾なく発揮、 神代辰巳、小沼勝、加藤彰、田中登、曽根中生などの名監督が生まれた。 ロマンポルノは受けた。10分に1度の濡れ場、作品は70分前後という 映画産業が斜陽となった1971年、日活が社運をかけて路線変更を図ったのが 「日活ロマンポルノ」である。当時は日米安保、学生運動の裏で、 若者たちが虚無的になり「シラケ世代」が台頭してきていた。 一方で高度成長期に突入し、社会は混沌としながらも活気に満ちていった。 そんな時代に、ロマンポルノは封切られたのだ。