ヒッチハイク、栄光、挫折、そして唯一無二の芸人へ。猿岩石「白い雲のように」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日は猿岩石「白い雲のように」(1996年リリース) です。




猿岩石は有吉弘行さんと森脇和成さんがかつて組んでいたコンビで、オール巨人さんの弟子として芸能界入りしていた有吉さんが、兄弟子を殴ったことで謹慎となり、その謹慎中に広島へ戻り、同級生だった森脇さんを誘って1994年に結成しました。同期は劇団ひとりさん・ビビる大木さん・ふかわりょうさんです。当時は深夜のネタ番組に出演するなど、ネタも一定の評価を得ていました。

そして、1996年4月に転機となる出来事が訪れます。それが当時の人気バラエティ番組、「進め! 電波少年」(日本テレビ系) の「ユーラシア大陸横断ヒッチハイク」に選出され、香港からイギリス・ロンドンまで約半年をかけて旅が行われました。


「ユーラシア大陸横断ヒッチハイク」の時の猿岩石。
左が森脇和成さん、右が有吉弘行さん。

開始当初はそこまで話題になりませんでしたが、インドを訪れた辺りから人気を集めるようになりました。日本では猿岩石人気が出来、また爆風スランプによるこの企画の応援歌「旅人よ ~The Longest Journey」が大ヒットするなど、爆発的な人気となりました。しまいには当時の石原プロモーション社長で俳優の渡哲也さんが、「電波少年」のユーラシア大陸横断ヒッチハイクを見て感銘を受けて、日本テレビを通じて救援物資を送ろうとしていたというエピソードもありました。

1996年10月にロンドンへゴールし、日本に帰国した猿岩石は、その日本での猿岩石ブームにかなり驚いたそうです。そしてバラエティ番組に引っ張りだこになります。ヒッチハイクでの道中を綴った書籍「猿岩石日記」は250万冊以上の大ヒットとなり、そしてこの「白い雲のように」での歌手デビューとなります。

この歌手デビューは、秋元康さんのプロデュースで大々的に行われました。さらに「白い雲のように」の作詞を藤井フミヤさん、作曲を弟の藤井尚之さんによる「F-BLOOD」が楽曲提供するなど、お笑いコンビの歌手デビューとしてはかなり豪華な面々が揃うなど、まさに至れり尽くせりの状態でした。

作詞を担当したフミヤさんは、猿岩石のヒッチハイクの道中をイメージして作ったと言われています。

遠ざかる雲を見つめて まるで僕たちのようだねと 君がつぶやく
見えない未来を 夢みて

ここでの「僕たち」は猿岩石の2人のことを指すのでしょう。どんどんと遠ざかる雲は、まるでゴールの見えない果てしない旅を続ける「僕たち」のような雲だと呟いています。

ポケットのコインを集めて 行けるところまで行こうかと 君がつぶやく
見えない地図を広げて

ポケットに入っているお金は少し。それならば果てしない旅の終点を少しでも近づけられるように進もうと呟いています。

くやしくてこぼれ落ちたあの涙も
瞳の奥へ沈んでいった夕日も
目を閉じると輝く宝物だよ

ヒッチハイクの道中では様々な困難がありました。時には嬉しいこと、時には悔しいこと。それも全てが想い出という宝物に昇華されています。

風に吹かれて 消えてゆくのさ 僕らの足跡
風に吹かれて 歩いてゆくのさ 白い雲のように

それまで辿っていった足跡は消えてしまいますが、めげずに果てしない旅を続けて歩いていきます。

作曲は尚之さんで、編曲はアレンジャーの松浦晃久さんが手掛けています。非常に王道のポップスで作られており、アコースティック・ギターを前面に出したバンドサウンドとなっています。演奏ミュージシャンもかなり豪華で、ドラムは、松任谷由実さん・吉川晃司さん・ASKAさんなどのレコーディング・ライブに参加した江口信夫さん、ベースは、長年山下達郎さん・竹内まりやさんのレコーディング・ライブに参加している伊藤広規さん、ギターはレベッカ・TM NETWORK・矢沢永吉さんなどのレコーディング・ライブに参加した是永巧一さんと、安全地帯のギタリストで井上陽水さん・浜田省吾さんなどのレコーディング・ライブに参加した武沢豊さんが演奏しています。シンセサイザーはアレンジャーの松浦さん自身による演奏です。

この曲はデビューシングルながらミリオンセラーとなり、日本レコード大賞の新人賞を獲得し、猿岩石人気の絶頂期となりましたが、次第に低迷し、2004年に解散します。その後、森脇さんは実業家やサラリーマンなどを経て、2015年に芸能界に復帰します。そして、有吉さんは言うまでもなく、現在は冠レギュラー番組をテレビ・ラジオ合わせて12本持ち、尚且つ全局、全曜日のゴールデン・プライム帯の冠レギュラー番組を持つ、史上初めての快挙を成し遂げるなど、天下を取った大物芸人になりました。

2022年5月26日放送分の「櫻井・有吉 THE 夜会」(TBS系) では、有吉さんの誕生日企画として「F-BLOOD」の2人が出演して「白い雲のように」を歌唱し、櫻井翔さんは感極まって涙を流し、有吉さんも目に涙を溜めていました。若い頃の苦労もあり、多くの波瀾万丈に満ちた有吉さんの芸能活動にも通じる歌にも感じます。

そして、2022年は有吉さんにとってはとても悲しい出来事がありました。恩人とも言える存在を失くした喪失感は計り知れません。そんな中、肥後克広さんと寺門ジモンさんのみになったダチョウ倶楽部は、歌謡グループ「純烈」とコラボレーションし、「純烈♨️ダチョウ」として純烈の代表曲「プロポーズ」を歌った他、テレビ番組でこの「白い雲のように」を歌唱し話題となりました。そして、2022年12月31日、純烈が5回目の出場となる「NHK紅白歌合戦」のステージで純烈とダチョウ倶楽部、そして有吉さんもステージに立って、「白い雲のように」を歌唱しました。この当日は長い間純烈のメンバーとして活躍してきた小田井涼平さんの卒業でもありましたが、小田井さんへの餞、そして亡き恩人へ捧げる歌唱として、多くの視聴者の感動を誘いました。色々な想いが巡る歌。「見えない未来を夢見て」有吉さんはお笑いの第一線を走り続けます。



また、「F-BLOOD」バージョンもありましたので、宜しければこちらもどうぞ。