最近歳のせいか、新しい事は全く覚えられなくて、昔のしょーもない事を思い出すばかり。(長尺注意)
けさのニュースでJackson Hole ジャクソンホールでパウウェル氏が利下げについて語ったニュースを聞いて、30年以上も前の出張を思い出した。
入局から10年も経っていない、30歳ちょっと。社会部の駆け出し記者の頃の古い話だ。私は突然、当時のスター記者だったHキャスターのNHKスペシャルの小間使としてワシントンに出張した。確か「石油は誰のものか」と言うタイトルで、私には複雑難解な長編もののロケだった。
ワシントン支局の机で上院議員のインタビューを申し込むわけだが、アメリカじゃあNHKなんて、極東の何処の📺テレビ?って感じだったのだろう。申し込んでも申し込んでも次々断られ、途方に暮れていたある日、Jackson Hole で、関係者が秘密裏に集まるらしいからお前いけ!と言う指令が東京から来た。
え〜⁈ワイオミング?って何処?つまりロッキー山脈の中のSnow King Resortって場所に1人で行くの⁈
青ざめた。
冬のロッキー山脈は寒そうだ、と言う事で私より4年後輩のワシントン駐在員、田中淳子ちゃん(田中邦衛さんの娘さん)がトレンチコートを貸してくれた。それを着こんで、どこでどう乗り継いだのかも忘れたが、Jackson Hole 行きの飛行機に乗り込んだ。が、セスナだったのか?座席が、10席くらいしかない。途中、窓の外を見たら真っ暗なブリザードの中で翼の赤いランプが点滅していた。赤く照らされると、翼が氷柱で凍っているではないか。私も凍った。見ず知らずのアメリカ人と共に遭難する事を覚悟した。😱
しかしそのフライトは小1時間と意外に短く、私は安堵した。のも束の間、木造のキャビンのような深夜の空港には係員が1人しかいない😱。公衆電話で宿に電話すると、「あーやっと来たあ?」ってな軽いノリで地元の兄さんがでかい四駆でやってきた。後ろの席に座ったが、2人きり。窓の外は大雪。途中、本物のムース🫎と遭遇。ヘッドライトに照らされた目が赤い。もう生きた心地がしなかった。
Snow King Resort と言う名前に相応しく、宿は暖かく快適だった。なるほど、こんな山奥で秘密会議かと納得。そして次の朝、雪の上を鹿達が走るのをみながら朝食。あーなんでこんなところに私はいるの?と嘆きながら😱。
その後アメリカ人カメラクルーとやっと合流、さあ撮影だ。秘密会議が行われているに違いない部屋の前で張り込む。当然、なんでここにアジア人のわっかいねーちゃんが居るの?的な反応。秘密の会議なんてないヨとテキサス訛りのおじちゃん達が笑う。テキサスの油田関係者に違いないっ!でも全く取り合ってもらえない。そこに見覚えのある日本人が!駐米大使だった!大使は「良くこんなところまで来たねえ」と関心してくれた❤️。でもどんな会議か、中身は全く語ってくれず…。放送に使える映像は1秒も撮れていない。私達は建物の外から窓の中を望遠で狙う事にした。
え?でも、アタシ、スーツにハイヒールなんですけど…。と言う訳にも行かず、雪の上を歩いて反対側の小高い場所に移動した。三脚を立てて、窓を撮影していると、気づかれたのだろう。さーっとカーテンを引かれてしまった。雪のロッキーをハイヒールで登った馬鹿はこの世で私くらいだろうな、と悲しくなった。
散々苦労して結局ひと月も出張ロケ。Nスペが完成してみると使われた映像は、このカーテンを閉められたカットの数秒だけだった。😱😱😱
ロッキー山脈を軽装で登って遭難しなかったから、いまこれを書いているのです。笑笑笑