模型づくりとか趣味の日々リターンズ -37ページ目

【映画評】「博士と彼女のセオリー」 ありがちに陥らせない芝居の上手さ

ホーキング博士ことスティーヴン・ホーキングと言えば、ALS患者として車椅子にありながら、理論物理学の天才であり、一般相対性理論やらブラックホールやらで多大なる業績を残した方であります。
 
表立った業績の裏で、実は人間臭いドラマもあって(大抵は男女のもつれだったりする)、そこを赤裸々に描くのは、偉人系のドラマの定番のパターンだったりするわけですが、この映画もそんなありがちなパターンと言われかねない中で、佳作に成り得ているのは、ただただ主人公お二人の演技の素晴らしさによるものでしょう。
 
ホーキング博士を演じるエディ・レッドメンの、刻々と進行する病状に沿って演じ、なおかつ表情や体の動きに制限がある中で感情を表現していく様は実に見事(なんたって後半はセリフすら無い。喋れないんだから!)。奥さん役のフェリシティ・ジョーンズがこれまた、徐々に看病に疲れ倦んで行く、一方で旦那を完全に見限ることも出来ない芝居が上手い。他の男によろめくあたりの芝居がまた真に迫ってる。テントに夜這いに行くシーンの表情の生々しさが…(二人ともオスカーに主演男優、主演女優でノミネートされ、レッドメンは受賞)。
 
ただこの映画、ホーキングを知らない人が観たら、どんだけ偉くて、どんな業績上げた人かまるで分らんですね。これだと『ホーキング宇宙を語る』が売れた人って感じで、カールセーガンみたいに思われる…

模型撮影のテストその2

写真撮影の練習その2です。ライティングは上から一本のみ、左側に銀レフです。

撮影ブースの大きさが縦横高さ各40mm程。ピンが来てない…

↑ベースの幅が160mm、高さ200mm。このブースで撮影出来るギリギリのサイズです。背景のシワは目立たないように出来ましたが、影が…

因みにトリミング前の状態はコレ

【映画評】「JOKER」 華麗なる人生大逆転劇(怖)

じつは映画って、5分か10分も観れば良し悪しが大体分かってくるもので。音楽とか絵作り、役者さんの演技、演出のテンポとか。
 
そこ行くとこの映画は冒頭から、陰鬱な画面に重厚な音楽、凝った書体のオープニングで作品世界に引き込み、ホアキン・フェニックスの芝居で一気に掴んじゃうという…傑作感ありありで、そのテンションで最後まで引っ張ってくれます。

生まれてこの方人生ずっと踏んだり蹴ったりで、いいことなんか一つもなかった主人公が、人を殺めて罪悪感を感じるどころか逆に快感を得てしまう…人生で初めて他人を、世界をコントロールしたのだという実感に捉えられてしまう、この恐ろしさ。この怖さ。まさにDC最悪のヴィラン、ジョーカーの誕生。
 
欠点が無いわけではないですが…たとえば母親の手紙を盗み見て、自分がウェインの私生児であることが分かり激怒、その後程なくそれが母親の妄想であることがわかりまた激怒、という流れ。主人公の心情に大きく影響を与えるシーンだけに、ちょっと観ていて混乱してしまう。あとウェインの息子に簡単に近寄れてしまうところとか…まあそんな些末を吹っ飛ばしてくれるような傑作です。

善悪だの倫理観だのは三度のゴハンが食べられているから語れるのであって、そういう平和で安穏とした世界の外側で生まれるこの脅威に、対抗する術など果たしてあるのか…と考えさせられる作品でありました。
 
評価…☆☆☆☆