いやまただいぶご無沙汰になってしまいました。
ということで、前回記事の追記から。
ZOOM MS50G+のMIDIコントロールの件ですが、ファームウェアアップで正式にMIDI対応、ということで記事のFSB周りの記述がなくても動くようになりました。ですので、以前作成したスイッチャーでもパッチチェンジができました。
さて、今回の内容ですが、タイトルのSY55というのは、1990年代のヤマハのシンセサイザーで、TG55はその1Uラック音源ということになります。
ライブの予定が来年4月に決まり、その練習がスタートしたのですが、サブのシンセ奏者はシンセに詳しくなく、私がマニピュレーター役を引き受けて、機材の選定から音作りまでやるという、前回と同じ役回りに。
コロナ前に企画していた段階ではローランドのシンセ D-10とラック音源D-110の組み合わせだったのですが、少し物足りなかった印象があって、少しずつ機材を増やしていました。元々持っていたローランドのU-220という音源に加えてサンプラー音源のS-330まで購入して、ローランドマシン揃い踏みの3Uラックの分厚い音作りを考えていました。しかし、あまりの重量で、本番はともかくスタジオ練習にはとても持っていけないと思い、U-220だけでも使おうかなと思ったら、LCD表示がおかしくなっていて断念。そこで元の構想に戻り、たまたま安価に入手したSY55をメインに、音源のTG55も入手し、そしてメモリーカードもメルカリで手に入れました。
私が音源で音作りしたデータを送って奏者の方はシンセで練習するみたいな方式を考えていたので、データ互換性のある機材を揃えるという訳です。
機材は揃ったのですが、音作りはやはりボタン操作と2行のLCD画面だけでやるのはやはり難業です。残念ながらエディットソフトなども情報は少なく、前回はAppleのMain Stageというソフトを使って、かなり柔軟に音作りや設定ができたのと比べると、マニュアル首っ引きでちまちま設定してゆくのは正直気の重い作業です。そして、最大の問題はそのままの状態ではマルチ機能が活かせず、鍵盤をスプリットして2種の音を出したり、音を重ねたりすることができないことでした。
この手のシンセは演奏用のボイスモードと音源として活用するマルチモードがあるのですが、SY55のマルチモードは16ボイス設定できるもののMIDIチャンネルはそれぞれ固定、というよりMIDIチャンネルの1〜16にそれぞれボイスを割り当てられるというような形式になっていて、これだと複数ボイスを重ねるとか、鍵盤の上下に別なボイスを割り振るみたいなことがSY55の鍵盤ではできないんですね。
ただ、ここで諦めるわけにはいきません。で、登場するのがYAMAHAのMEP4という機材。MIDI EVENT PROCESSORというちょっとレアで、随分古い機種ですが、発売当時のことはよく覚えていました。MIDI信号を色々と加工したりフィルタリングできる機材で、随分前にハードオフで見かけ、何かの時にと購入しておいたのが幸いしました。今回は1曲で使う音色は、鍵盤を上下で分割して別々の音色を設定し、それぞれの音色は2ボイスを重ねるという形を標準にしました。なので鍵盤からのノート信号はMIDIチャンネルを1にして、その信号をチャンネル2〜4でも同時に出力するように設定すればOKです。
これでマルチモードで音色作りをして、スタジオに入ったのですが。
機材としては鍵盤はスタジオでレンタル、TG55、MEP4、フットスイッチのMFC-1を3Uラックケースに詰め込み、カートで運んだのですが、やはりかなり重いのと、セッティングに時間がかかることがネックとなりました。前回の反省で、なるべく機材をシンプルにしようという考えから離れてしまうこともあって、対策を検討。で、MIDIチャンネルの拡張機能を盛り込んだ機材を作ることにしました。
以前作った機材を再利用して、チャンネル拡張を実装。これはArduino NanoにMIDI IN ,OUTの回路を繋げただけのもの。コードも力技的な感じで稼動確認。これだけでも良かったのですが、フットスイッチがあると機材がかさばる上にケーブルの取り回しも面倒なので、新たにMIDIスイッチャー機能も盛り込んだ機材を作ることにしました。
仕様としては、
・10バンクにそれぞれ5パッチを割当てられるスイッチャー機能
・各パッチに任意のプログラムチェンジナンバーを設定
・ノート信号のMIDIチャンネルを1→1〜4に拡張して出力
・設定状況をLCD表示
・9V電池駆動
ということで、Arduino Nanoを核にI2C接続のLCD、MIDIのI/OはケースサイズからTRSを採用、樹脂製の薄型ケースで、LCD保護にはブラウンのアクリル板、枠は3Dプリンターで作成して見た目をよくしました。
MIDIスイッチャーに関しては以前に何度も作っているので、さほど困難はなく、ただ、コードは検証も兼ねて部分部分をChatGPTにご教示願いました。MIDI関連は情報が豊富なのか、ほとんど完璧に問題解決できました。むしろ条件をきちんと記述してコードは全部おまかせした方がいいぐらいの感じです。
今までは、わからないところはネットで情報を探して、英文を読み解きながらコードを作っていたのですが、そんな苦労はもうしなくていいという時代になりましたね。で、無事に稼動。今回はブラザーのテープラベル機で作成したラベルを貼って完成となりました。
これをSY55のMIDI IN、OUTに接続するだけですむので、機材的にはSY55を持っていくだけで済む感じになります。ただ、SY55はそれなりに重いですけど。
音色の方は、ボイスを2つ重ねられるので、バリエーションも増えますし、厚みも出て存在感のある音になっていると思います。最新のシンセや音源ソフトなどにはかなわないかも知れませんが、大体の楽曲が70年代から80年代にかけての曲なので、むしろ違和感がないようにも思います。
U-220修理
LCD表示がおかしくなったU-220は、情報を探すと、LCDを交換して治したという情報があり、その中に記述がある型番のLCDをアリエクで調達。記事にはケーブルも買うように書いてありますが、これは元のケーブルをLCDの基板から外して使うことにしました。ちょっと手間取りましたが、なんとか外せたので新しいLCD基板に半田付け。記事にあるようなフレームの改造の必要もなく交換できました。ついでに容量低下していた内蔵電池も交換して、無事修理完了。LCDの色味は変わりましたが、実用には問題ないです。
使う機会は減っているのですが、これで当分は延命できそうです。
YAMAHAのメモリーカードについて
SY55、TG55共通して使える32Kバイト(!)のメモリーカードですが、中古で入手した状態では内蔵電池が切れていました。市販のボタン電池でいいので交換して無事使えるようになりました。電池交換はネジ止めの蓋を外せばすぐ行えるという仕様は良いですね。
定価9,800円だったものが今だと中古で5,000〜10,000円くらいでしょうか。容量を考えるとなんとも言い難いですが、独自仕様なのでしかたありませんね。
さて、本番に向けてさらに音色のエディットと譜面作りを進めて参ります。






















































































