韓国メタファー満載ザワザワが止まらない”パラサイト 半地下の家族” | 東京ハヌルStyle

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こんにちは。

 

 

東京ハヌルです。

 

 

第72回カンヌ国際映画祭での

 

最高賞パルムドールを受賞した

 

ポン・ジュノ監督

 

"パラサイト・半地下の家族"

 

第92回アカデミー賞で純粋なアジア映画として

 

史上初、外国語映画賞だけでなく、

 

作品賞にノミネートされました。

(ここ大事)

 

また、監督賞、脚本賞、美術賞、編集賞、

 

国際長編映画賞(外国語映画賞)の6部門に

 

ノミネートされるという大快挙で、

 

世界にコリアパワーを見せつけました。

 

左側下側から出ている”足”と

その上方テーブル上の石、その奥階段

大事な意味があります

階段上の絵画の意味は知れば背筋がこおります

 


アカデミー賞は外国語映画であっても

 

ルール的には本賞でのノミネートや受賞は可能。

 

しかし、非英語映画が選ばれるのは

 

無理だという定説がありました。

 

また、作品の質重視のカンヌ映画祭とは違い、

 

”白すぎるオスカー”や”Me too"などの

 

アメリカ独特の社会問題に振り回され

 

作品の質だけで選考できない訳あり賞レース。

 

少し前まではザ・ハリウッド的大作、

 

最近は世論におもねり、

 

黒人寄りの社会派ばかりが注目され、

 

基本アジア人は蚊帳の外の

 

内輪意識強め映画祭。

 

しかしそんなハンディをぶっ壊したのは

 

やっぱり韓国映画でした。

 

今まで

 

”アカデミー会員は見識狭いボンクラばっかりで

あんな内輪向き映画祭、見るに値しないわっ💢”

(あくまでも個人的意見です)

 

とアメリカ人のオットに向かい

 

ディスりまくっていたのですが、

 

まともな映画人もいた事が証明され嬉しい限りです。

 

1月16日、LAで開催された全米俳優組合(SAG) 賞受賞式

韓国人軍団がこの舞台に立つ日が来るとは・・・

アカデミー賞でもこの絵見たいです

てかチェ・ウシクめっちゃ小顔♡

(Yahoo US Newsより)

 

 

さて、当のポン・ジュノ監督は

 

貧富の差、学歴差別、若者の失業といった

 

韓国社会が抱える問題に焦点を当て、

 

韓国独特の社会背景や表現が多いこの映画が

 

外国でヒットしたのは意外だったそうですが、

 

やはり資本主義社会の格差からくる

 

ひずみはどの国にもあるので

 

韓国色強めのディテールまでは理解できなくとも

 

保守派の朴槿恵政権下で、

 

”文化人ブラックリスト”にも載った

 

ゴリゴリ左派系の監督が描く、

 

痛烈な資本主義批判は

 

他の国の方々にも十分響いたのでしょう。

 

余談ですが、ポン・ジュノ監督は

 

386世代と呼ばれる民主化運動の流れに入った

 

1980年頃に学生時代を過ごした

 

左派の比率が高い世代生まれ。

 

この386世代が円熟した年齢になり、

 

数々の名作映画を生み出しております。

 

弱者が痛めつけられる韓国暗黒時代を描いた

ポン・ジュノの傑作”殺人の追憶”

凄惨な実話、華城連続殺人事件を描いたもの

パラサイトとは違いエンタメ要素が無く

ひたすら暗く、心が荒む映画ですが

この映画でポン・ジュノ監督のファンになりました

ポン・ジュノ組ソン・ガンホ出演しています

 

 

しかし、パラサイトは

 

単なる資本主義批判の社会派映画ではなく

 

そこにユーモアーやミステリー要素も入れた

 

極上のエンターテインメントに仕上げているのも

 

ヒットの理由の一つでしょう。

 

そして、ストーリーに説得力、奥行きを持たせる

 

セットも語らずにはいられません。

 

なんとキム一家の臭そうな半地下住宅や

 

パク家のスタイリッシュ豪邸もセットだそうです。

 

金持ちと貧乏を象徴するような

 

細かい小道具やディテールへのこだわりも見事。

 

こういうところは韓国人の粘着質が

 

良い方に作用した一例じゃないかと思います。

 

そして特にこだわったのは

 

高台にあるパク家の邸宅と、 

 

坂下、半地下のギテクの家族の家のコントラストだそうで、

 

そこで両家格差を表現。

 

そして、色々なパターンで

 

しつこいほど登場する階段も階層の象徴だそうです。

 

特にキム家の住む半地下住宅の意味は深く。

 

”半地下は半地上でもある。やり方によっては上にも行けるが失敗すれば地下に落ちてしまう不安定さや恐怖がある”

 

中途半端な半地下という事がキム家を表しており、

 

この言葉、後に大きな意味を持つので

 

これから映画を観に行く方は

 

この言葉を忘れないでいてください。

 

パク家の豪邸

 

キム家の半地下の住宅

 

 

ストーリーはその”半地下住宅”で暮らす

 

全員無職のキム家が

 

高台の大豪邸に住む

 

金持ちパク家に

 

寄生(パラサイト)しはじめる事から

 

両家族の間に起こるありえないドラマを

 

ユーモアや皮肉を含め描いています。

 

前半はその貧乏っぷりを笑えるタッチで描き

 

愛すべきキム家といった感じですが、

 

だんだんザワザワ感が強くなり、

 

ある事をきっかけに

 

悲劇の方向へ進みだし、

 

アッという間にありえない世界に引きずり込まれる

 

心臓バクバクするヤバイ映画。

 

監督が強くネタバレ厳禁だと

 

おっしゃっている意味がよくわかりました。

 

監督の言いつけを守り、

 

これ以上ストーリーには触れませんが、

 

ただ、今まで観た映画の中でも

 

トップクラスに予想不可能な結末という事は

 

断言しておきます。

 

 

 

それにしてもお金も学歴もないキム家、

 

怠惰でこすっからいのですが、

 

全員器用で有能。

 

生きていくためにそれぞれが秀でた才能を発揮、

 

頭の回転も早いので嘘もすらすらと出てきて、

 

金持ち特有の素直さと単純さを持つ

 

パク家は簡単に騙されてしまいます。

 

キム家、犯罪スレスレの事をしているのですが、

 

さほど罪の意識はない様子で、

 

飄々としているざまが

 

貧乏人の逞しさを感じさせます。


しかし、表面的には上手く騙せたように思えても

 

”ジメジメした半地下に住む貧乏人特有のニオイ”

 

だけはどうしても隠すことができないキム家。

 

この”ニオイ”が追々とんでもない事になる

 

トリガーとなります。

 

哀しいかなそのニオイを放つ本人たちは

 

自分たちのニオイには全く気づきませんが、

 

そんなニオイを嗅いだことがない金持ち一家は

 

どうしても気になってしまう。

 

このニオイのギャップが

 

豪邸と半地下住宅以上に

 

両家の格差をあぶり出します。

 

映像には映らないそのニオイの表現も素晴らしく、

 

キム家の家のジメジメしたカビ臭さや

 

トイレの不潔さ、外のゴミから

 

本当にニオイが漂ってくるような錯覚に陥ります。

 

タイルのシミや汚れた便器などの演出すごい

ガチャガチャとたガラクタも貧乏要素

(パラサイトより)

 

 

最後にキャストについて。

 

全員素晴らしかったのですが、

 

今回は私が特に気になった方々をフューチャー。

 

まず金持ちのパク家ですが、

 

夫は良い人の役が多い、

 

声がステキなイ・ソンギュン。

 

一見、礼儀正しくはあるが、

 

ところどころで金持ち独特の

 

鼻につく感じ悪さがにじみ出るさすがの演技。

 

そして、妻役のチョ・ヨジョン。

 

”春香秘伝 The Servant 房子伝”や”後宮の秘密”では

 

全裸で体当たり演技。

 

ビックリするほどすごいので

 

絶対ご家族では観てはいけない映画です。

 

そんな彼女、

 

そのダイナマイトボディばかりが

 

フォーカスされますが、

 

エロいシーンの色っぽい演技は職人の域。

 

今回パラサイトでもその職人技のエロい演技が拝めます。

(得意の全裸はありません)

 

また愛らしい童顔も

 

金持ちの能天気奥さんという役柄にぴったり。

 

無垢さが漂う、

 

クリっとした黒目がちな瞳はまるで子鹿のよう。

 

底辺で生きてきた爬虫類系細目キム家面々の

 

したたかさにまったく太刀打ちできず、

 

食われてしまう子鹿を彷彿させるところが絶妙です。

 

会話の端々にやたら巻き舌の英語を入れ

アホな金持ち妻を演出する細かさ

そーいえば私の周りにもそんなヤツいますわ
(パラサイトより)

 

 

そして愛すべき細目韓国顔のキム家。

 

アボジ役は”韓国の至宝と言われる”

 

ポン・ジュノ作品常連の

 

ソン・ガンホ。

 

言わずと知れた韓国のトップ俳優です。

 

ご自分では左派とか右派とか

 

関係ないと言いながら、

 

”タクシー運転手”や”弁護人”などの

 

政治色強めの映画に出演しまくり

 

ポン・ジュノ監督同様

 

韓国政府の“文化人ブラックリスト”入りした

 

ガッツある役者さん。

 

私は彼出演の作品は絶対ハズさないと信じているので

 

無条件で観ることにしております。

 

韓国民主化運動のきっかけとなった

光州事件を扱った”タクシー運転手”は超オススメ

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BTSホビの故郷光州が送った彼へのオマージュに思うこと

 

 

次は強烈な個性で爪痕を残した

 

長女,ギジョン役のパク・ソダム。

 

トッケビのキム・ゴウンそっくりですが、

 

パク・ソダムの方がエッジィ感があるので

 

彼女で正解。

 

最近彼女のような一重まぶたの女優が

 

注目されていますが、

 

その目の演技が素晴らしい。

 

こういう目は表情が一変通りにならないので

 

作品が味わい深くなります。

 

韓国、若手でこのクラスがいるのが恐ろしいゲッソリ

 

(パラサイトより)

 

 

そして金持ち一家に寄生するきっかけを作る

 

長男ギウを演じたチェ・ウシク。

 

(パラサイトより)
 
 

パラサイトでは貧乏くさい役を演じましたが、

 

イケメンっぷりがダダ漏れでした。

 

チェ・ウシク公式Instagramより

塩系韓国顔、長身、小顔でどストライク

バンタン、テテとは大親友

彼のインスタにはテテもチョイチョイ登場してます

 

 

そして、チェ・ウシクといえば

 

あのユチョン主演の”屋根部屋のプリンス”で

 

世子であるユチョンのお付き、

 

ポンコツ三人組の一人、

 

黄色ジャージの可愛い宦官。

 

最近は”魔女”という映画に出演していた彼を見て

 

”ステキな大人になったなあ〜”

 

と感慨深かったのですが、

 

パラサイトでは演技派俳優の貫禄。

 

これからが楽しみな俳優です。

 

右のギャル男チックな黄色がチェ・ウシク

(SBSより)

 

 

でも、今回の映画で一番印象深かったのは

 

家政婦役を演じたイ・ジョンウン。

 

フツーに有能な家政婦という登場でしたが、

 

後々キーパーソンになっていきます。

 

その怪演ぶりは凄まじく、

 

癖強め役者陣の中でも

 

感情を一番揺さぶられました。


韓国は脇役の力量すごいですが、

 

ここにも凄いのいました。

 

ハヌル2号も彼女の名バイプレイヤーぶりに注目↓

韓流興味なくてもハマる!? パルムドール受賞ブラックコメディあれこれ。

 

パラサイトより)

なんと大泉洋主演の日本映画の

”焼肉ドラゴン”にも出演していました

 

 

単純なハッピーエンドではなく、

 

マジか・・・チーン

 

と絶句するような結末が多い韓国映画。

 

パラサイトもなんとも言えない

 

黒い滲みみたいな得体の知れない恐怖が心に残り

 

”人間何が起こるかわからない”

 

という事を深く考えさせられる映画でしたが、

 

コメディ、エンタメ、ノワール、悲劇と

 

一つの映画に全ての要素を含みながら

 

最後はきっちり着地する手腕はお見事。

 

満足度は超高く、大変コスパ良い映画なので、

 

お金出して観る価値ありです。

 

そして、オスカー取って欲しいと切に願います。

 

大好きな韓国映画、ポン・ジュノ監督

 

そしてこの快挙ということで

 

つい力が入り長くなってしまいましたが、

 

ここまでお付き合いいただき感謝です。

 

カムサハムニダ〜。

 

 

 

最後までお読み頂きありがとうごいます。 

 

 

 

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Cheers!

東京ハヌル