モスクワ線の思い出-続きー | 東京Crew倶楽部 ~客室乗務員(CA)の世界~

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フライトにまつわることからCAたちのプライベートまで♪ 元ベテランチーフパーサーが語っています

ソ連時代のモスクワ

 

当時、モスクワに滞在していても

出かけていきたいな、という場所がない

せいぜい赤の広場ぐらい

 

ボリショイサーカスとか

ボリショイ劇場でのクラシックコンサートもあったけど

結局行かずじまい

 

買い物に行きたくなるようなシッピング街も見当たらず

冬になると、外はマイナス10度

寒くて外に出られないというのもあった

 

それ以上に

町中は英語がまったく通じない

 

英語が通じるのはホテルロビーぐらい

各階サービスステーション担当のおばちゃんたちときたらロシア語オンリー

身振り手振りで話すしかない

 

クルールーム暮らし

 

そんなわけでモスクワ滞在中は

もっぱらクルールームで過ごしていた

クルールームに行くと誰かがいる

ときには先輩からクルールーム集合の声がかかる

 

そこで東京で仕入れてきた食料品が活躍

ワイワイ言いながら料理

といってもキッチンがあるわけではない

もっぱらバスルームが台所となる

 

 

乗務も大変

 

なにせモスクワで

機内サービス用の食事を確保するのがむずかしい

欧米風のケータリング会社もない

 

東京-モスクワ折り返し便だと

東京で帰便用の食事も搭載していく

帰り便の食事が痛まないよう保冷

お肉類は冷凍

 

モスクワ経由でヨーロッパまで行く便も同じ

モスクワーヨーロッパ間の食事に差し替え

 

東京行きの便にしろヨーロッパ便にしろ

乗務での最初の仕事は

食事類をギャレー内ですべて差し替え

凍っている肉類を解凍とか

とにかくやることだらけ

 

ひとつだけよいことがあった

当時のモスクワでは

最高級のキャビアが安く手に入った

 

ファーストクラスでは

ベルーガキャビアを惜しげなくサービス

粒の大きさといい、この色合いといい

これぞキャビアの中のキャビア

 

 

 

モスクワには秋がない感じ

 

8月に乗務し、しばらく間があき

9月後半に飛んだ

まだ秋で季節がよい時期だろう

と思って行ったら

秋ってあったのという感じ

もうコートがないとやっていけないくらい寒い

そして冬のモスクワは零下の日々

 

ロシアの若い娘たちは細身で

肌が透き通っていてほんとにかわいいという印象

 

それなのに細身のおばちゃんたちがいない

どのおばちゃんたちも太目で

腰回りに肉がついてしまっている

 

そうか、分かった!

 

あの寒さに耐えていくには

脂っこい料理で

皮下脂肪をためておく必要があるんだ

 

ボルシチなんかも脂っこい

翌日の用足しで落下物をみると

黒ずんでいる

 

 

おいしかったアイスクリーム

 

零下の町中でアイスクリームを売っていた

ちょっとビックリ

でもどんなものか試してみよう

 

冷たくない

それはそうか

アイスクリームより外気のほうが低いんだから

 

零下のモスクワで食べたアイスクリーム

添加物が入っていない

まさにピュアなアイスクリーム

ほんとにおいしかった

 

 

T・K  ♂

 

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「機内にドライアイス?」