今日は、まさかの第4文型が取れる動詞が目に入ったので、一緒に考えてみましょう。
その目に入った英文は(ちょっと単純化しましたが)
I envy her her knitting. でした。
「私は彼女が編み物をするのが羨ましい。」となります。herが2つあるのはtypoではありません。
これって慣れていない受験生は多いのではないかと思うんですね(勝手に)。それは中学とかで(これも私が40年以上前に習ったことだけをもとにしていますが)、第4文型を学ぶときに、「第4文型は、(必ず)「誰々に」「なになにを」「〜してあげる」というかたちなのであーる!」と学ぶんですね(私は当時の先生にそのように教わりました)。だから指導要領的にそうなのかなと推測しています。
だから、たとえば、I taught him English.だと「彼に」「英語を」「教えてあげる」となるんですね。そして、I taught English to him.と第3文型に変換できるよ、その時の前置詞に注意してね、to / for / of で選択できるようにね!なんていう授業になるわけです。
しかし、この I envy her her knitting.はそのタイプではありません。(I envy her knitting to her.って正しい気がしませんね。)結局は、目的語偶然2つとれるだけで、I envy her knitting. あるいは、I envy her. 単独で大丈夫です。
後者の場合には、I envy her because of her knitting. として、どうして envy her なのか述べることになります。
こうして、envyの第4文型は「誰々になになにをしてあげる」という意味ではないことがわかります。
ではこの "her her" の構造を持つ動詞をいくつかご紹介します。
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I refused her her request. (彼女の要求を拒絶した。)
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I denied him his rights. (彼の権利を否定した。)
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I spared her the details. (詳細は割愛しました。)
などです。I taught her English.とは趣が異なりますね。
ではこれを受動態にしてみましょう。
第4文型(目的語あり)だから、受動態にはできそうですね。
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She was refused her request. どうでしょうか?これはいけるヤツです。She was refusedで文が終わっていなくて、もう一つ目的語が取れるんですね、第4文型。でも、こちらの方は?(目的語が二つあるから受動態も2種類できます)Her request was refused her. うわーっ。これは厳しいですね。でも、アリはアリでしょう。ただ、普通は第3文型で、Her request was refused.でしょう。
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He was denied his rights. これも同様に大丈夫ですね。His rights were denied him.もアリといったところでしょうか。
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She was spared the details. も The details were spared her. もできるのは、上の2つと同様です。
これらがI taught her English.と趣きが違うのは受動態でもそうです。
She was taught English.
これは上の3つと同じですが、こちらは、直接目的語を主語にすると、
English was taught to her.
が断然普通ですね。逆に上の3つではこれはできません。(*His rights were denied to him.)
逆に
English was taught her.
とは理屈としてはできるのでしょうけれど、どうでしょう?toがある方がいいんじゃないのかなあ。
で、この違い(さっきから「上の3つは」ってずっと書いていますが)は、まさに最初に書いた「第4文型の基本形の、誰々になになにをしてあげる、という【授与動詞】」であるかどうか、によるわけですね。
授与動詞の場合には to himとか for herみたいにするのですが、そのようなtransferがない動詞(「上の3つ」をはじめとしてたくさんあります)は were denied him.のように前置詞がいらなくなるわけです。
TOEFLのReadingでは、His rights were denied him.のような英文は出ますからわかるようにしておきましょう。ただ、書くとき・話すときには、「上の3つ」のような動詞は第3文型でズバッと表す方がエラーも少ないでしょうね。
最後にまとめておきましょう。
I envy her her knitting.
を基本形にして、
She is envied her knitting. (自然)
Her knitting is envied her. (アリ)
Her knitting is envied to her.(できない)
で、書くときは第3文型で、ということですね。
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