私の万葉歌 - 戀歌 第六話 | TOSHI‘s diary

TOSHI‘s diary

Feel this moment...

第四話と第五話は二度に分けて、教師に恋をしてしまうメリットとデメリットを書きましたので、

今回より物語の進行を再開したいと思います。実質第三話の続きになりますね。

先生に恋をしてしまって、それからの話ということになります。

 

過去回の第一話~第五話までのリンクを貼っておきます。

私の万葉歌 - 戀歌 第一話 | TOSHI's diary (ameblo.jp)

私の万葉歌 - 戀歌 第二話 | TOSHI's diary (ameblo.jp)

私の万葉歌 - 戀歌 第三話 | TOSHI's diary (ameblo.jp)

私の万葉歌 - 戀歌 第四話 | TOSHI's diary (ameblo.jp)

私の万葉歌 - 戀歌 第五話 | TOSHI's diary (ameblo.jp)

 

 

【ご注意】

物語の性質上、登場人物による差別的かつ過激な表現が含まれる場合がございます。

また、未成年者による喫煙などといった違法行為の描写が多分に含まれております。

私自身には差別や暴力、違法行為を助長あるいは誘導する意図はございません。

物語の構成上やむを得ない部分もありますので、ご理解くだされば幸いです。

可能な限りで表現には細心の注意を払って書こうとは考えております。

 

それと長いので、無理のない範囲でお読みいただければと思います。

 

 

補習と先生の特訓がお休みのある日の放課後。

私は一年生の時に仲良くなって、二年生から別々のクラスになっていた女子"L"と、

自転車で二人乗りをして遊びにいく約束をしていました。

どこに行くというわけでもなかったのですが、大まかに繁華街へ繰り出す予定を立てていました。

普段、補習や特訓がない日は、いつも仲良しグループと遊んでいたのですが、

この日だけはLと二人きりで出かけるということで、さっそく彼らにからかわれたのを覚えています。

こいつらは男子と女子が一緒に遊ぶというだけで何かとおちょくってきます。

 

Lと遊ぶというのは私にとって、一年生の頃から男友達と遊んでいる感覚でした。

というのも、行動がいろいろと男にしか見えなかったからです。

前に書き忘れていましたが、この子はボーイッシュなヘアスタイルでした。

眉毛は剃りすぎてほとんどなくなっており、なぜかいつも両腕の袖を捲っていて、

煙草は私よりきついものを吸い、蹴る力が半端なく強い――。

喧嘩をしたことはありませんが、もしそうなったら私は一発でノックアウトでしょう。

このようにとても女子高生とは思えないような行動と見た目をしていました。

こんなことを書いて良いのかわかりませんが、正直なところ中身は男だと思っていました。

もちろん怖ろしいので本人には言いませんでしたが。

 

私は校門の前に自転車を置いて、生垣の隣に座り込んで、Lが来るのを待ちます。

他の児童が次々と校門を過ぎていく光景を眺めながら、ふと妙なことを思いついてしまいました。

それはいっそのことLと付き合っている設定にしてしまって、

「私の恋心は先生に向いていませんよ。」的なアピールにならないかという妙案でした。

そうすれば先生には余計な不安や迷惑をかけずに済むかもしれません。

いくらボーイッシュで喧嘩が強そうな女子だとはいえ、よくよく思い返せば、

元はそこそこの美人のような気がしないでもありませんでした。

これは書き忘れていたというよりは、どのように書くか迷っていたのですが、

彼女はいわゆるハーフ顔という目鼻立ちでした。

実際にどうなのかは知りませんので、あくまで顔の見た目の話です。

ちゃんと女の子らしくすればかなりの美少女になると想像できます。

とはいえ、それはそれでLを利用しているようで、どうにも悪い気がしてしまうのです。

万が一でもLが私に好意を持っていれば、それも考えに入れておこう。それならば問題はないはずです。

まあ、Lに比べたらもやしのような私にそんな気があるとも思えませんが……。

 

L「よお。」

クズらしい妄想をしている最中に突然当人が現れ、私は慌てふためいてしまいます。

私「!? あ、ああ。よお。」

L「待ったか?」

私「いや、そんなに待ってないよ。」

L「トシローお前さ、何か顔がマジになってたな。」

私「え? そうなの?」

L「おう。渋い顔ってやつ。考えごとでもしてたか?」

私「いやあ、もうすぐLが来るかなって。」

L「へえ。」

私「とにかく行こっか。ここじゃあれだし。」

L「そうだな。」

私たちは並んで歩きながら日頃のことを話していました。

学校からそこそこ離れたところで、自転車に二人乗りをして進むようになります。

私が漕ぐ自転車の後輪には左右にハブステップが装着されており、

後ろに乗る人間が両足を乗せられる仕様でした。

それでLが立った姿勢で自転車の二人乗りができるわけです。

 

第一話では身元が割れることへの配慮からぼかしていましたが、

舞台は夏目漱石の『坊っちゃん』でおなじみの道後です。

熟田津の道を東へと進んでいくと、その先に『坊っちゃん』で有名な道後があります。

ちなみに熟田津(にぎたつ、にきたつなど諸説あり)は、私のリスペクトする『万葉集』にも詠まれた、

あの熟田津がそのまま地名として残されています。

夏目漱石や正岡子規といった近代文学のイメージが強いですが、

実は奈良時代から文学と結びつきがあった土地でもあるのです。

 

【『万葉集』 巻一 八より抜粋】

𤎼田津爾 船乗世武登 月待者 潮毛可奈比沼 今者許藝乞菜

熟田津に 船乗りせむと 月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな

 

私が漕いでいるのは自転車なわけですが、Lサイズの子が後ろに乗っていると心なしか重く感じます。

私は会話をしながらも、息切れし汗だくになって自転車を前進させていました。

そんな時、後ろからプップッと自動車のクラクションの音が聞こえてくるのです。

私たちは始めこそは気に留めていませんでしたが、それが何度も鳴るので、ついにLが声を荒げます。

L「何だ、やかましい。」

私「はあ、はあ……。誰?」

L「知らん。車が追っかけてくる。」

私「……どんなの?」

L「シルバーの箱バン。邪魔ならとっとと抜かせよ。」

私「……もしかして、煽られてる?」

L「しばいて追っ払うか。」

私「はあ、はあ……。問題になるよ。」

L「グラサンかけたロン毛の女だな。」

私「……とにかく、喧嘩はやめとけ。」

L「なら逃げるしかないな。」

私「……ええ?」

L「邪魔されてたまるかよ。トシロー、左だ。」

私「俺は馬車馬か!」

いったん熟田津の道を迂回し、適当な小路を入っていきました。

ところが一方通行の道ではなかったためか、例の箱バンはまだ追ってきているようです。

L「おい、あの女まだ追ってきやがるぞ。トシローの知り合いか?」

私「はあはあ……知らないよ。」

L「通りに出たら右行け。そのまま突っ切ったら商店街に入れる。」

私「はあはあ……。結構あるよ……。」

L「あの箱バン後ろにもう一人乗ってやがるな。」

私「もう、それどころじゃないよ……。」

そしてついに例の箱バンに並ばれてしまいました。

後ろに座っていたというもう一人の人間が、後部座席の窓を開けて顔を覗かせます。

聞き覚えのある女性の声が何かを言っているのですが、この時の私に聞き取る余裕はありません。

するとLが私の肩を激しく叩いて言います。

L「先公だ。逃げろ。」

私「ひい、ひい……。マジか……。」

L「このまま突っ切れ。」

私は立ち上がって必死に自転車を前進させました。

「こら! 待て!」という声に聞き覚えがあるような気がするも、もはやそれどころではありません。

人通りを避けながら、私たちは商店街の中に突撃します。

この先は自動車が通過できないため、これ以上追ってくることはありません。

ある程度振り切ったところで私とLは自転車から降りました。

私は息切れと動悸のあまり、自転車を置くなり、その場に座り込んでしまいます。

L「やったな。」

私「はあはあ……。死ぬかと思った……。」

L「大丈夫か?」

私「大丈夫じゃない……。俺そのうち病気になるかも……。」

L「家庭科のエプロンだ。運転してたグラサンは知らん。」

私「……明日学校で何か言われるかな?」

L「さあ。煙草も見られたかもな。」

私「マジか……。謹慎なったらどうしよう。」

L「お前はチャリ漕いでただけだろ。」

私「Lが謹慎になったらどうすんだよ。」

L「謹慎とかどうでもいい。とにかく今は邪魔されたくなかった。」

私「とりあえず一服しに行こ。俺もう疲れたよ……。」

L「ああ。」

家庭科のエプロンというのは、私たちの家庭科を担当する二十代の若い女性教師のことです。

授業中でもないのに、なぜか常時エプロンを装着していたため、

生徒たちからは実際にエプロンというあだ名を付けられていました。

なのでこの物語においてもエプロンという呼称を用いることにいたしましょう。

私と同じように先生を慕っていたので、今後も少しばかり登場することになります。

 

私たちは少し歩いたところにある喫茶店で一休みをすることにしました。

私の体調も落ち着いてきたところで、ティータイムを楽しみながら日常の話の続きをしていました。

その中で今後の展開に関係がありそうなものをこちらに書き残しておこうと思います。

L「そういやトシロー。チャラ子にしばかれたんだってな。」

私「知ってたの?」

L「トシローが意地汚いこと言ってきたからしばいたんだってよ。噂ではな。」

私「話がいろいろと違うような……。」

L「そういう時はな、ケツでもおもいっきり蹴飛ばしてやれ。」

私「いやいや、一応相手は女子なんだしさ。泣かしたりなんかしたら絶対俺が悪者になるでしょ。」

L「ふっ。お前ってそういうとこあるよな。」

私「いくら凶暴で性格悪いっつっても、一応は生物学上メスだからなあ。」

L「変に優しいから舐められるんだろ。」

私「別にいいよ。舐められても。」

L「私も一応生物学上メスだからな。お前に代わっておしおきしてやるよ。それなら問題ないよな?」

私「よせよ。何か巻き込んだみたいであれだし。」

L「そうか。ま、お前がそう言うんならほっとくか。」

私には一つ気になることがありました。

それはチャラ子が言い放った「BBA好きなんだ。」「言いふらすから。」などの言葉です。

私が懸念するような噂は流れていないのでしょうか。

私「ん? チャラ子の奴、他に何か言ってなかった? 俺のこと。」

L「さあ。本人から聞いたわけじゃないしな。」

 

夕刻になった頃には商店街を歩きながら話していました。

久しぶりに二人で晩ご飯を食べて帰ろうという話になって、どこか食事処を探します。

あれこれと探しながら歩き回るも、結局は商店街から出てきてしまいました。

まばらな観光客に混じって、商店街の入口を二人で振り返ります。

商店街の入り口には"道後"と書かれた看板とハイカラなデザインの屋根が飾られています。

それを見上げる私をじっと見据えてLが静かに言いました。

L「もうちょっと歩き回るか。」

私「うん。」

 

【二十六】

射狭庭之 野邊夏樫母 友與徃 過去之衢 亦還見武

伊佐爾波の 野邊懐かしも 友と行く 過ぎにし衢 また返り見む

いさにはの のへなつかしも ともとゆく すぎにしちまた またかへりみむ

かつて過ごした道後の地を懐かしく思うよ。

友達と通り過ぎたあの街並み、過ぎ去っていったあの日々を、また見るだろうかなあ。

 

※伊佐爾波は奈良時代における道後周辺で、伊佐爾波神社にその名が残されています。

 

 

夕食はどこで何を食べるかということを真剣に話し合うようになった時間帯。

少しばかり商店街や観光地から離れたところを私たちは歩いていました。

するとLは突然「おい。」と言って、自転車を押して歩く私の上着を掴みました。

本人にそういうつもりがなくても、高圧的に感じて一瞬焦ってしまいます。

しかし彼女の目は嬉しそうでした。相変わらず鋭い目つきでしたが、なぜか嬉しさが伝わってくるのです。

彼女が指さす先にはおいしいと評判の洋食レストランがありました。

少しお高そうでしたが、私は導かれるままに店の中へと入っていきました。

テーブル席に着いたところで、店員さんがメニュー表と水を持ってきてくれます。

Lは手渡されたメニュー表を私に渡しました。

L「先に選べよ。」

私「うん。……じゃあ、オムライス。」

L「他は?」

私「そうだなあ。アイスティーください。」

L「同じのを。」

私たちは全く同じものを注文し、オムライスとアイスティーを待ちながら話していました。

この時はお互いに、以前から気になっていたことを訊き合っていました。

私「前から気になってたんだけど、Lってハーフ?」

L「クオーター。」

私「外国語話せるの?」

L「全然。」

私「一年の頃はさ、英語の授業でよく当てられてたね。発音上手そうだって。」

L「見た目で判断しすぎだろ。私的には損してると思う。」

私「もうちょっとかわいくおしゃれしたらモデルとかなれそうだよね。」

L「え?」

私「元々きれいな顔してるしさ、背も高いし。」

L「…………。」

私「俺、デリカシーないこと言っちゃった?」

私はただ単に思った通りに言ったつもりだったのですが、Lの反応は明らかに初めて見るものでした。

彼女は下を向いて黙ってしまったのです。傷つけてしまったのかと思った私は焦ってしまいます。

私「ごめん。気にしてることズバズバ言っちゃったかも。本当にごめん。」

L「……私も前から気になってたことあるんだけど、訊いてもいいか?」

私「はい、どうぞ。」

怒っているのか傷ついているのか、この時の私にはわかりません。

彼女は俯いていた顔を少しだけ上げて、上目遣いで私に目を向けて言いました。

L「何で文学の勉強始めたんだ?」

私「小説家になりたいから……。」

L「それで、ずっと国語の先公に教えてもらってんのか?」

私「うん……。」

L「全然勉強できなかった奴が、そこまで必死になって?」

私「うん……。」

L「本気なんだな。」

私「あの……。さっきはごめん。」

L「まだその話してたのか。」

私「いや、その……。急に何も言わなくなっちゃったから……。」

L「トシロー。私は…………。」

Lは思い出したかのように、再び黙り込んで下を向いてしまいました。

この反応を彼女が見せたのは初めてでしたが、どこかで見覚えがあるような気がしていました。

先生が髪型を変えたあの日「似合う。」と言ってしまったあの時の自分です。

今のL、あの時の自分……。私までつられて恥ずかしくなってきました。

やがて注文したオムライスが私たちの元に届くのですが、

お互い食べる時以外に口を開くことがなくなってしまいました。

その時の私にはそう見えただけかもしれないのですが、

Lの食べ方がいつもよりゆっくりで、スプーンの持ち方までもがおしとやかに見えました。

先に食べ終えた私はごちそうさまをして、食後の紅茶を味わっていました。

L「…………。」

私「ねえ、さっき何か言おうとした?」

L「……別に。」

私「そっか……。何か悩みがあるんなら、何でも聞くよ。」

L「ああ。」

 

夕食を食べ終えた私たちは、支払いを済ませて店を出てからも、

再びどこへ向かうともなく歩いていました。相変わらずLの口数は少ないままです。

ちょうど、住宅地の誰もいない公園の前を通りかかった時、Lが私の上着を引っ張りました。

L「そこで一服しよう。」

私「うん。」

私たちは公園のベンチに座って、堂々と煙草を吸い始めました。

吸い終えたと思った矢先、Lは続けざまにもう一本煙草に火を点けるのです。

そんな彼女の様子を見て、落ち着かないその気持ちをそれとなく感じ取りました。

というより、彼女が何を言おうとしていたのか、もう察しがついていたのです。

校門の前でLを待っていた時に考えていたことを思い出しました。

いっそのことLと付き合って、先生への恋心を隠すといういかにもクズらしい自分の発想です。

が、この時の私の中に、もはやその選択肢はありませんでした。もうこれ以上はLを傷つけられない。

彼女を気にしながらそうこう考えていると、彼女は突然ベンチから立ち上がり私の前に立ちました。

L「トシロー。」

私「!? どうしたの?」

L「私が何言おうとしてたか、もうわかってんだろ?」

私「何となく……。」

L「それでも言う。トシロー、お前のことが好きだ。」

私「マジか……。」

予想していた言葉でしたが、いざ言われてみると、すぐには現実だと受け入れられません。

ずっと中身が男だと思い込んでいて、そんな気持ちを微塵も見せなかったからです。

私は照れくさくなって顔が真っ赤になっていたことでしょう。

幸い公園の電灯はそれほど明るくないので、私の赤面は見られていないと思いたいところです。

電灯を背にしたLの表情はあまり読めませんでしたが、きっと切ないまなざしなのでしょう。

L「何で……。言おうって思っちまったんだろう……。」

私「大丈夫?」

L「ああ……。」

私「…………。」

先生への恋心を隠し続けて生きている私には、Lが今まで思いを明かさなかったことや、

彼女の後悔しているかのような言葉が身に沁みるように理解できました。

L「トシローの答えもわかってたのに……。」

私「俺はまだ何も――。」

L「国語の先公と一緒に、夢追いかけたいんだろ?」

私「いや、俺は――。」

L「私は、トシローの邪魔したくなかった。」

私「じゃあ、何で気持ちを明かしてくれたの?」

L「さあ……。『きれい。』だって言ってくれたから?」

私「率直に思ったことだったけど、軽々しく言うべきじゃなかったね。ごめん。」

L「違う。私は嬉しかった。お前が悪いんじゃない。悪いのは私。」

私「Lは悪くないよ。俺は『好きだ。』って言ってもらえて嬉しかったよ。けど……。」

L「トシロー。答えて。」

男みたいで、蹴る力が強くても、そんなLの乙女心がストレートに伝わってきました。

私の夢も理解してくれている。彼女ならば、私をたくさん助けてくれることでしょう。

断るのがこんなに惜しい気持ちになるとは思いませんでした。

もう何日かLの告白が早ければ――先生に恋をしてしまったと自覚するまでの私であれば、

間違いなくLの恋心を受け入れたに違いありません。

それでも、今の私には恋をしてしまった人がいます。

もはやどんな美女に言い寄られても、先生に恋する気持ちを上回ることはできません。

そんな状態で承諾しても、後ろめたさが残るだろうと想像していました。

私もベンチから立ち上がり、Lの目をじっと見つめて答えました。

私「ごめんなさい……。今の俺には……。」

L「ありがとう……。」

私「傷ついてない?」

L「ああ。最初から諦めてたようなもんだから……。」

私「俺も言われ慣れてるわけじゃなくて、こんな返し方で良かったのかって……。」

L「もうお前のこと、無理に追わない。その代わり絶対夢諦めんなよ。」

私「うん……。」

L「これからも私と遊んでくれるか?」

私「もちろん。」

L「初恋の相手がお前で良かった……。一生忘れない。」

私「そんな……。俺はそんな良い奴じゃないよ。」

L「私よりひょろひょろだと思ってたけど、優しいとこあるし、二年になってから本当にかっこよかった。」

私「L……。」

L「誰に何言われても、トシローらしくかっこよくやれよ。夢に向かって頑張れ。」

私「ありがとう……。」

L「…………。」

私「…………。」

Lはいつもの鋭い目つきに戻ってはいたものの、切なさはその瞳の奥に残ったままに見えました。

私にはこの子のつらい気持ちが、まるで自分が今まさに経験していることと同じに思えて、

私まで目が潤んでしまいそうになっていました。

しかし断った理由は、夢を言い訳にした嘘でした。吐かなければならなかったとはいえ……。

 

ちょうど先生に恋心を抱くようになった頃から卒業までに、

Lの告白を始め、四人の女の子から本気と思われる恋心を打ち明けられました。

なぜ私がそうなったのかはわかりませんが、いずれも同じような道を辿ってしまうのです。

 

【二十七】

吾乎念 戀情者 左眞蹟 所念故 彌惜鴨

吾を思ひ 戀ふる心は さ眞と 思ほゆる故 彌惜しきかも

あれをもひ こふるこころは さまことと おもほゆるゆゑ いやをしきかも

私を本気で好きになってくれたその気持ちを信じている。だからこそ本当は惜しくて堪らないんだよ。

 

 

翌日。私はいつものように学校へ行って授業を受けるのですが、

Lと一緒に二人乗りをし、それを教師に見られたことを気にしていました。

ところが日中は、担任の先生からも、目撃者とされる家庭科の教師からも何も言われませんでした。

やがて補習が終わり、先生の特訓のために職員室へと向かいます。

特訓はみんなが帰った後の教室や、職員室、準備室などで受けていました。

この日は先生曰く見せたいものがあるとのことで職員室に呼ばれていました。

むしろ他の教師がいる環境の方が良かったのかもしれません。二人きりだと集中できませんでしたので。

特にこれからは三年生の出題範囲を教えてもらうため、より気合いを入れなければなりません。

職員室に到着した私は学ランのボタンを全て閉じ、身だしなみと髪型を整えてから扉をノックします。

私「失礼します。先生、本日もよろしくお願いします。」

先生「トシロー君。」

にっこりと微笑んで手招きをしてくれる先生の姿に、私は思わずドキドキしてしまうのです。

が、自分は勉強をしに来たのだと心を引き締めるよう努力します。

私が先生の傍に来たところで、用意された丸椅子に座るよう促され、私はそれに従います。

先生「入試の問題もいいけど、今苦手なところ何とかしないとね。」

私「はい!」

先生「と、その前に。年頃の男の子だしデートするのは結構だけど、自転車の二人乗りは良くないね。」

私「っっっ!?」

私は今このタイミングでその話が出てくるとは思わず、椅子から跳ね上がりそうになりました。

家庭科の教師に目撃されたということは、担任の先生に伝わっているのは当然でした。

ただ、この時の私は不意を突かれたようで、驚きのあまり心臓が破裂しそうになっていました。

というよりも、この先生にデートだと認識されていることが、何より誤解だと思えてなりません。

私「えっと、何の話……?」

先生「Lさんと二人乗りしてたんでしょ? ほら、あのスケバンみたいな子。」

私「いやあ……。人違いじゃないっすか?」

先生「ちゃんと私の目を見て答えなさい。」

私「む、無理だ……。だいたい、それって又聞きなんじゃないの……?」

先生「又聞き?」

私「先生あの場にいなかったでしょ?」

先生「ん?」

私「先生ひどいよ。嘘の情報を信じるなんて……。」

先生「さっきから何言ってるの?」

私「先生現場見てないくせに、俺のこと信じてくれないんだもん……。」

先生「Lさんを庇いたいの?」

私「いや、そんなんじゃ……。」

この時の私は混乱のあまり無茶苦茶を言っていたかもしれません。

正直なところ、会話の細かい内容を覚えていられないほど、当時はパニックになっていました。

もう何が目的でこんな嘘を吐いているのかもわからないほどです。

先生「あのね。私はその場にいたんだよ。私がトシロー君を見間違うとでも思って?」

私「ええ? でも先生がいたなんて聞いてないよ……。」

先生「Lさん後ろ見てたんでしょ? Lさんは誰に追いかけられてるって言ってたの?」

私「グラサンの女の人と、家庭科の先生って……。あっ――。」

先生「あっ。ってことは二人乗り認めるのね?」

私「何その誘導尋問みたいなの。まだ認めたわけじゃ――。」

先生「そのサングラスが私です。」

私「……え?」

先生「この大噓吐きっ!!」

私「ひぃっ…………。」

静かな職員室に先生の怒声が響き、私は気が付かないうちに椅子から落ちて尻餅をついていました。

ここまで怒った先生の顔を見たのは初めてのことでした。

どんなにこの先生から叱られるのが好きな私とはいえ、この時ばかりはいつもと違いました。

私は先生に嫌われてしまったと思い、今にも泣き出しそうなほど絶望したのです。

もはや打った尻が痛いなどと考えていられないほどでした。

好きな女性からド直球で嫌われることがこれほどの恐怖だとは思いもしませんでした。

今になって思い返せば、実に異様な光景だったに違いありません。

周りには他の教師たちが何人も残っていたのですが、いったいどんな思いで私を見ていたのでしょう。

図体ばかりの大の男が、か弱い女の先生の一声だけでこんなに怯えて跪いているのですから。

もう自分がカッコ悪いどころの話ではありません。

――先生にバレバレの嘘を吐いてしまった。嫌われてしまった。何もかも終わってもうた……。

先生の顔を見れず表情はわかりませんでしたが、口調はすぐにいつもの優しい声色に戻りました。

先生「大丈夫? そんなに怖がらなくても……。」

私「ごめんなさい……。」

先生「とにかく、椅子に座って。」

私「はい……。」

私は半べそ状態で、言われた通り椅子に座り直します。

先生「落ち着いた?」

私「落ち着いてない……。」

先生「二人乗りはやめなさい。それが言いたかっただけよ。」

私「はい。もうしません……。」

先生「わかればよろしい。」

私「俺、先生に嫌われて、もう教えてもらえなくなるのかと思って……。」

先生「はあ……。嫌いになるわけないでしょ。」

私「先生……。」

先生「私も怒りすぎたけど、自転車の二人乗りは危ないし、歩行者に当たったら責任取れるの?」

私「いえ……。」

先生「それと、もし転んだ時に車が来てたらどうする? 二人同時に轢かれるかもしれないでしょ。」

私「はい。」

先生「そうなったら勉強どころじゃないよ。私は君たちが心配で、二人乗りやめてほしかったの。」

私「もう絶対しません。約束する。」

先生「よし。次から気を付けてくれれば、それでいいんだよ。」

私「先生、嘘吐いてすみませんでした。」

先生「もういいよ。」

この時、先生は微笑んで私を許してくれました。

私は何とか泣くところまでは至らず、これ以上の赤っ恥をかかずに済みました。

とはいえ十分すぎるほどの赤っ恥はすでに晒してしまいましたが。

ただ、私にはどうしても否定したいことがありました。それはデートだと言われた点です。

私「先生。俺とLは一年の頃からの友達なんだ。付き合ってるわけじゃないよ。」

先生「あらそう。」

私「だいたいLは男みたいな奴なんだよ。」

先生「ふーん。そういえば外でトシロー君見かける時って、いつも誰か女の子といるよね。」

私「えっ!? 何で、何でそういうとこばっかり見られるんだよ……。」

先生「私が行くとこ行くとこにトシロー君がいるからでしょ。女の子連れて。」

私「先生、俺のこと誤解してるんだよ。これでも女子と手つないだことすらないんだから。」

先生「何自信満々に言ってるの? 自転車二人乗りしといて。」

私「うぅ……。」

先生「まあ、君がどういう子かわかってるつもりだよ。」

私「……そうなの?」

先生「あの時ね、エプロン先生の車で温泉行こうとしてて、たまたまあの道通ったのよ。」

私「温泉かあ……。ずいぶんバッドタイミングだこと。」

先生「一緒に泳ごうと思ってね。」

私「何そのどこかで聞いたような話……。」

先生「先生たちもいろいろあるんだよ。」

私「そんなことしてて大丈夫なの?」

先生「冗談よ。今日は私の説教が長くなっちゃったから、これ以上遅くなっても悪いし宿題出しとくね。」

私「宿題?」

先生「『坊っちゃん』貸してあげるから、もう一度読んでおいて。」

私「見せたいって言ってたの、もしかしてこれ……?」

先生は夏目漱石の『坊っちゃん』の古びたハードカバーの本を私に差し出しました。

この時点で私は『坊っちゃん』の文庫本を一冊持っており、自宅の本棚に並んでいました。

もうすでに読んでいたのですが、再度読み返すように促されたのです。

しかし、そのハードカバーの本は少し様子が違いました。

表題『坊つちやん』や著者の名前、出版社名も右から読むように書かれていて、

ページを開けてみると漢字は全て旧字体、仮名も旧仮名遣いなのです。

いくら近代文学や古文に夢中とはいえ、日頃から近代以前の旧字旧仮名で読むわけではありません。

ただ同時に、果てしなくワクワクするような高揚感を覚えました。

これはあの時代にリアルタイムで読まれた本なのではないかと。

先ほどまで悲しくて泣きそうだった私は、逆に嬉しさのあまり泣きそうになっていました。

私「わあ……。先生、ありがとうございます!」

先生「それ貴重品だから大事にしてね。あと絶対返すように。」

私「よくこんなすごいの手に入ったね。」

先生「ふふふっ。文学オタクをなめないで。」

私「さすがは俺の師匠!」

先生「トシロー君もこういうの好きだろうなあと思ってね。」

私「好き! ねえ、先生は夏目漱石に憧れて、愛媛で先生になったの?」

先生「そうかもね。」

私「おお!」

先生「とりあえず宿題としては、その旧漢字と旧仮名遣いでスラスラ読めるようになること。」

私「はい! やってみます!」

先生「『坊っちゃん』を通してもう一つ知っておいてほしいことがあるの。」

私「何でしょうか?」

先生「教師も人間だから二面性がある。誰しも完全じゃない。私を見てて思ったことあるでしょ?」

私「いや、それは昔の話であって……。」

先生「まあ聞きなさい。職業柄、二面性があるとどうしても批判されがちなのよ。私だってね、飲みながら『バカヤロー!』って叫ぶ時があるんだよ。今日みたいに怒鳴ってしまう時だってね。」

私「うわ、イメージが……。」

先生「そんなにがっかりしないでよ。」

私「でも、それはそれで人間臭くて面白い気がします。生真面目すぎたら面白くないですから。」

先生「そういう捉え方もあるよね。今も苦手な先生いるかもしれないけど、その視点を知った上で関わっていけば、新しい見方もできるんじゃないかなあと思ってね。私を教師だと認めてくれた時みたいに。」

私「先生……。やっぱり貴女は、俺の鑑とする方です。へべれけでも怒りんぼでも、貴女ような、そういう文学者に俺はなりたい。」

先生「ふふふっ。何? おだててるの? けなしてるの?」

私「ははっ。褒め言葉に決まってるじゃないですか。」

私は受け取った本に汚れも傷も付けないようにと、ノートに挟んでからカバンに入れました。

改めて実感することは、私は先生から学ぶ時ほど特に成長しているということでした。

先生から怒鳴られて一時は絶望的でしたが、新たな発見がいくつもできたようで嬉しかったのです。

――もっともっと先生のようになりたい。

 

【二十八】

酔毛吉 恚毛吉 妹在者 慕情者 不變鴨

酔ふもよし 憤むもよし 妹なれば 慕ふ心は 變らざるかも

ゑふもよし ふつくむもよし いもなれば したふこころは かはらざるかも

酔っ払いでも怒りんぼでもかまいません。愛する貴女なので、慕う気持ちは変わりませんよ。

 

 

ある日のそうじの時間。

私は別のクラスの教室で、仲の良い友達やそのクラスの男子たちに混じって遊んでいました。

ほうきなどを使ってホッケーをしていると、そのクラスの一人が蛍光灯を割ってしまい焦っていました。

私たちがその様子を見て高笑いをしながら騒いでいると、

そこにチャラ子が腰巾着の女子を二人従えて現れました。

私は嫌な予感を覚えながら、気付いていないふりをして遊び続けようとします。

するとチャラ子の取り巻きで、先生が髪型を変えた時、私にコメントを促した女子が呼んでくるのです。

取り巻き「おい、トシロー。」

友達「おっ!? トシローおめえ、かわいい子に呼ばれてんぞw」

私「げっ……。どうせろくな話じゃないんだろうな……。」

その取り巻き女が教室にドカドカと入り込んできて、私のすぐ傍まで歩み寄ります。

取り巻き「ちょっと来てくんない?」

私「何だよ……。」

取り巻き「話があんの。」

私「ここでも良いでしょ?」

取り巻き「ここでしても良いけど恥かくのあんただよ?」

私「俺は別に、心にやましいことなんかないし。」

取り巻き「ホントかあ?」

そこに仲の良い男友達が次々と割り込んできます。

友達「チャンスだぞおめえ。行ってこいw」

友達B「これ絶対そういう話だなw」

友達C「俺も行きてえ!」

友達D「モテモテじゃんw」

私「お前らな……。」

友達「お前チャラ子に嫌われてんのかと思ったら、実は『トシロー君大好き!』だったりしてw」

私「絶対ない!」

友達「とにかく行ってこい!」

私「他人事だと思って……。」

友達B「行け行け! もう戻ってくんなw」

その場に居合わせた男子たちが揃いも揃って「行け行け。」と言うので、

私は一人でチャラ子たちに付いていくことにしました。

移動中のチャラ子は口を開くこともなく、ずっと鬼のような表情で私を見ていたのです。

 

そして校舎の裏に連れ込まれた私は、チャラ子とその取り巻きたちに囲まれます。

私「何? いじめ?」

取り巻き「いじめじゃないし。」

私「じゃあ何だよ。」

取り巻き「あんたさ、まじめ君になったんじゃないの? 何そうじサボって遊んでんの?」

私「絶対そんな話じゃないでしょ。」

取り巻き「うん。直で訊くけど、あんたあのBBA好きってマジ?」

私はすぐに、チャラ子が変なことを言いふらしたのだと読みました。

いつかはこのように疑われるだろうとは思っていましたが、実際に訊かれると少し動揺してしまいます。

私はできるだけ平静を装って、表情を変えないように努めながら答えます。

私「好きってどういう意味の好き?」

取り巻き「そりゃ女の子としてに決まってんじゃん。」

表現が適切かどうかはさておき、その言葉を聞いた私はすぐに、その子の頭が悪いと感じました。

そもそも頭が悪くなければ、この手の変な噂を真に受けたりもしませんし、

何より真っ先にこういった発想を持ちません。

私は嘘を交えながら、ある種の本当の気持ちを毅然とした態度で言い切ることにしました。

彼女たちの固定された視点は変えられなくても、この場は逃げ切れるような気がしたのです。

私「女の子? 先生は"子"じゃないだろ。どう見たっておばさんでしょ。」

取り巻き「うん。」

私「じゃあ逆に訊くけど、君ら自分の親父くらいの先公を男子として見る?」

取り巻き「はあ? キモいこと言うなし。」

私「それと一緒だよ。ちょっと俺が良い子になったからって、どういうつもりで変な噂流してんだか。」

取り巻き「じゃあさじゃあさ、BBAがイメチェンして、あたしが『何か言え。』って言ったの覚えてる?」

私「ああ、言ってたね。」

取り巻き「何でもじもじしながら『似合う~。』とか言ったわけ? 好きだから?」

私「そんな言い方したっけ? そりゃもちろん社交辞令だよ。」

取り巻き「難しい言葉使って誤魔化す気?」

私「先生も言ってたけど、あれはお世辞だよ。」

取り巻き「じゃあ恥ずかしがる必要なくない?」

私「あのね、誰でも言いづらいことってあるよ。」

取り巻き「それって好きだから?」

私「……取り巻きちゃん、そのブロンドの髪似合ってるね。まるでブロンズ像みたいできれいだよ。」

取り巻き「はあ!? いきなり何言ってんの? バカなの?」

私「ほら、そういう反応するでしょ? 相手が誰でも普段言わないことを言うとこうなるもんなんだよ。」

取り巻き「いやいやキモいと思って……。」

私「つまりそういうこと。君みたいな反応が返ってくるかもしれないし、傷つけるかもしれないし。」

取り巻き「へえ……。」

私「先生がおばさんだろうとおっさんだろうと『似合う』なんて言いづらいよ。」

取り巻き「何となくわかったって感じ? もう一個だけ訊いていい?」

私「何?」

取り巻き「何で急に変わったわけ? 最初はBBAの言うこと全然聞かなかったじゃん?」

私「べらべら話すつもりもなかったけど、どの道みんな知るだろうから言うよ。」

取り巻き「うん。」

私「俺は夢を見つけた。俺は小説家になりたい。先生は俺なんかとは比べもんにならないくらい読書をしててね、実際に物書き目指して勉強するようになって、先生がどれだけすごい人かわかったよ。いつかは王朝物の小説も書きたいから、俺は今必死になって先生から古文、漢文、現代文、全部教わってんだよ。俺ん家は貧乏で進学できないから、教師から直に日本語を学べるのはこの高校生活が最後なんだ。俺にはもう後がない。先生だとか女子だとか、好きとか嫌いとか、しょうもないことに現を抜かしてる暇は、俺にはもう一瞬たりともないの。わかる?」

取り巻き「……わかった。」

取り巻きB「これはこれで良いんじゃね?」

私「何がだよ。」

取り巻き「難しいことわかんないけど、まあ頑張れ。」

取り巻きB「いつかさ、高校の思い出とかも小説にすんの?」

私「さあ、予定ないけど。」

取り巻きB「ドラマとか映画になったりすんの?」

私「売れっ子になればあるかもね。」

取り巻きB「ってことはあ? 知り合いに有名人できるかも?」

取り巻き「もしBBA好きだったら応援してやろうと思ったけど、やっぱあり得ないし夢応援してあげる。」

私「ありがとう。頑張るよ。」

取り巻き「だってさチャラ子。もういいじゃん。」

私は上手く切り抜けられたようでホッとした矢先、終始怖い顔で聞いていたチャラ子が口を開きます。

チャラ子「この大嘘吐き。」

私「!?」

その言葉を聞いた瞬間、先日先生から怒鳴られた瞬間を思い出しました。

私は再び身構えるのですが、チャラ子が何かを言う前に取り巻きたちが割り込みます。

取り巻き「はいはい、めでたしめでたし。」

取り巻きB「もうすぐそうじの時間終わりだし帰ろ。」

取り巻き「ってなわけでチャラ子残念でした。」

私は急に態度を変えた取り巻きたちを交互に見ながら、呆気に取られていたのだと思います。

相変わらず鬼の形相のままのチャラ子は、取り巻きたちに促され、

私をにらみつけながらその場を去っていきました。

少し遅れて教室へ向かう私の元に、取り巻きの一人が嬉しそうな様子で戻ってきました。

取り巻き「ねえ、トシロー。」

私「ん?」

取り巻き「あたしも先生とダチになれる?」

私「何だよ急に……。なれるんじゃないの?」

取り巻き「あんたら見てたらさ、何か面白そうだったし。」

私「そっか。今度話しかけてみたら?」

取り巻き「ええ? いきなりはあれだし、あんた間に入って。」

私「あのね。担任なんだから、遠慮せずに相談したいことでも世間話でもしたらいいんだよ。」

取り巻き「うーん……。やってみる。」

私「仲良くなれるといいね。」

取り巻き「でも、チャラ子がなあ……。」

私「それも含めて相談すれば?」

取り巻き「わかった。」

私「よし。じゃあ戻ろう。俺たちの教室に。」

取り巻き「うん。」

また一人ずつクラスの仲間が増えたようで、彼女の言った通り"めでたし"だったのかもしれません。

ただ、チャラ子が放ったたった一言「この大噓吐き。」が全てを物語っていたのは事実でした。

全てが嘘ではないにしても、私は紛れもなく大噓吐きに違いありません。

吐かなければならない嘘とはいえ、先生のことをおばさんだと言ってしまったと……。

 

【二十九】

皆人者 相知物曾 狂語蹟 念我等曾 相云始

皆人は 相知るものそ 戯言と 思ふ我等そ 相言ひ初むる

みなひとは あひしるものそ たはごとと おもふわれらそ あひいひそむる

「人は皆わかり合える。」性質の悪い冗談だと思っていた私たちは、親しく言葉を交わし始めます。

 

 

ある日の補習前。

私は教室の隅の席で、先生から借りている『坊っちゃん』を読んでいました。

全てを旧字旧仮名で表記されているのですが、慣れてくると少しずつ読めるようになっていきます。

何より現代表記と同じ感覚で読めるということ自体がかなり面白いのですが、

この楽しみ方を理解できる人が全くいないのです。先生以外は。

頭の悪そうな私がこのような状態なので、補習組の生徒たちはなおさら気になっているようでした。

そんな中で、一人のまじめな男子が話しかけてきました。

まじめ「あの、トシロー君。」

私「ん?」

まじめ「この問題、君ならどう答えるかなあと思って。」

私「当たり前のことだけど、俺に訊いても間違ってるかもしれないよ。」

まじめ「教えてくれる?」

私「見せて。」

私はまじめ君からプリントを受け取り、彼が指していた問題の文章を見遣ります。

 

【『古今和歌集』 五一九 より抜粋】

忍ぶれば 苦しきものを 人知れず 思ふてふこと 誰に語らむ

 

私が読んだ率直な感想は「俺か!?」でしたが、当然それを口には出しません。

さて、問いとしては「思ふてふこと」の品詞分解でした。

私は一目見て二通りのパターンを思い浮かべました。

私「これうちの学校で出された問題じゃないでしょ。」

まじめ「うん。品詞分解と理由を説明してくれる?」

私「想像で良いなら答えるよ。」

まじめ「教えて。」

私「"てふ"は"と云ふ"の略"とふ"の変化した形。"こと"はそのまま。」

まじめ「うんうん。」

私「"と云ふ"がつながる場合は名詞か準体言が多いけど、これはどう見ても連体形か終止形のどちらかだし、両方だと仮定して文章をつなげてみるよ。連体形だとすると係り結びの場合が多いよね。でもこの文章に係助詞がない。係り結びじゃないなら"思ふ"の直後に"こと"が隠れてる可能性もある。例えば『其の人応ふる能はざるなり。』の動詞の直後に"こと"が隠れていて、そのまま連体形で読まれるのと同じかな。訳によっては送り仮名に"こと"が付けられてる場合もあるけど。」

まじめ「…………。」

私「じゃあ終止形だと仮定してみるよ。文章全体をちゃんと読むと、二句切れであって三句切れじゃないと考えられるから、文脈的に『人知れず思ふ、ということ』みたいな区切り方もできると思う。それで口語訳すると自然な形になるから、答えは終止形と見た。」

まじめ「おお……。」

私「ふっ。見直したかい? けどもし間違ってたら俺の言ったこと全部忘れてね。」

いつの間にか補習組の何人かが集まっていて、私の話を聞いていました。

何となく憧れの先生の真似をしてみたつもりだったのですが、それが注目される元となったようです。

ドヤ顔で図に乗って格好をつける私に、次の質問が飛んできます。

まじめB「漢文はわかるの?」

私「実は漢字苦手なんだ。訓読だけなら基本的なことだったらわかるかも。」

まじめB「これの書き下し文、何で過去形になるかわかる?」

私「全体をよく読んでみて。ここに"かつて"を意味する言葉があるから過去形になってるんだと思うよ。」

まじめB「じゃあこれは?」

まじめC「じゃあそれは?」

まじめD「あの……ここはどうしてこうなると思う?」

次から次へと私のところに訊きにくるのは気分が良いような気もしましたが、

読書の邪魔をされたところから始まったのと、同時に何人も話すので少し苛立っていました。

こうなった私には、私がおかしな答えを言うのを期待するような粗探しとさえ思えてしまいます。

私「あのね。そういうのは先生に訊きなよ。俺みたいなぺーぺーじゃなくてさ。」

みんな「…………。」

私「先生に訊きなさい、先生に。訊いて学ぶのが生徒たちの仕事。教えるのが先生の仕事。わかる?」

まじめ「でも、先生に質問しづらくて……。」

私「何で? 俺らの国語の先生は訊けば絶対に教えてくれるよ?」

まじめ「補習の後とか、一生懸命な君に教えてるみたいだし、邪魔したら悪いかなって……。」

私「何言ってんの? 先生は俺だけの先生じゃないんだよ。この学校で国語を学ぶみんなの先生なんだから、どんどん訊きにいけばいいんだよ。早いもん勝ちだからね。みんなが質問しにいかないなら、俺が先生独り占めしちゃうよ?」

まじめ「うん。訊きにいくよ……。」

正直なところ、自分の言葉に多少なりとも酔いしれていたような気がします。

カッコいいことを言った自分をカッコいいと思う自分、

きっとみんなも私をカッコいいと思っているような気がする――。

あまり思い出したくはありませんが、顔が少しばかりにやけていたことでしょう。

この際タイトルを『私の暗黒史』に変えてもいいかもしれませんね。

 

集まっていた生徒たちが散り散りになって席に着いていく中で、またもや一人の男子が寄ってきました。

彼は全教科において二年生のトップクラスにして、おとなしくてまじめそうな子でした。

華奢で顔立ちが整っていて、いわゆる"イケメン"と学校中で謳われています。

ピアノがとてつもなく上手だったので、ここではピアノと呼んでおきましょう。

私はというと、一度も話したことがない優等生だったので、駄目出しでもされるのかと緊張していました。

ピアノ「あの……。君に教えてほしいことがあるんだけど、いいかな……?」

私「ん? 質問なら先生にしなさいってさっき言ったばっかりだよ。」

ピアノ「お願いします……。」

私「あのさ、どう考えたって君の方が頭良いでしょ? 俺に教えてもらうことなんかある?」

ピアノ「どうしても……。」

私「もうちょっとで補習始まるよ。」

ピアノ「五分で終わるから……。」

私「しょうがないなあ。何が知りたいの?」

ピアノ「ここだとあれだから、廊下に来てくれる……?」

私「ホントに五分で終わるの? まあいいや、補習の時間なったら教室戻るからね。」

ピアノ「ありがとう……。」

私は渋々ピアノの後を追い、人気のない廊下に出てきました。

もじもじした様子の彼は、思いがけないことを私の耳元にささやいてきたのです。

ピアノ「どうすれば、先生とあんなに仲良くなれるの……?」

私「え?」

ピアノ「君が、うらやましくて……。」

私は一瞬で血の気が引くような気がしました。先生への恋心を見抜かれたと思ったからです。

それと同時に、このピアノ少年の言葉から、同じ人が好きなのではないかと推察してしまいます。

仮にそうだとしたら、私には一切勝ち目がありません。容姿はもとより、成績、日頃の態度、ピアノ――。

とはいえ、私は先生への恋心は消せないまでも、諦めて生きると決めていました。

むしろ三角関係になったとしても、張り合う必要なんてないのだと……。

私「じゃあ俺の真似すれば?」

ピアノ「真似って?」

私「学ランのボタン全部外せば叱ってくれるよ。そうだなあ、あとは師匠って呼ぶとか。」

ピアノ「僕にはそんなこと、無理だよ……。」

私「だったら自分に合うやり方を考えなさい。」

ピアノ「君は……。国語の先生のこと、好きなの……?」

私はこの少年の鋭敏さに冷や汗を流していました。

誤魔化せるとも思えないほどお見通しなのだと思いながら、それでも悪あがきで答えます。

私「そりゃ尊敬する師匠として好きだよ。他は特にない。」

ピアノ「そうなんだ……。僕、実は先生を、好きに――恋してしまって……。」

私「マジか。」

ピアノ「トシロー君は先生と話す機会多いみたいだし、女の先生の気持ちがわかるかなって……。」

私「わかるわけないよ。ってことは先生を変な目で見たりしてるの?」

ピアノ「いや、それは……。」

私「誰好きになろうと結構だけど、俺の師匠に変なこと言ったりしたら、俺許さないからね。」

ピアノ「違う! 君の師匠じゃない!」

私「へ? そうなの?」

ピアノ「名前出すのが恥ずかしかったから……。僕は、家庭科の、エプロン先生を……。」

全ては私の早とちりでした。彼もおどおどと焦っているようでしたが、私ほどではありません。

一気に赤面状態になった私は声を大にして返します。

私「だったら先にそう言えよ! 俺の師匠がちょっかい出されるかと思って焦るだろうが!」

ピアノ「ごめん……。」

私「先生先生ばっかり言うからややこしくなるんだよ。エプロン先生って言いなさい。」

ピアノ「だからごめんって……。大きい声で言わないで……。」

私「それと俺が話すのって国語の先生だけだよ。他の先公の気持ちまで知らないよ。」

ピアノ「そうなんだ……。君と国語の先生、本当の友達みたいに見えて……。」

私「そんなに仲良く見える?」

ピアノ「見える……。少なくとも僕には……。」

私「そっか。まあ師匠であり親友だからね。それがうらやましかったの?」

ピアノ「うん……。」

私「それでピアノ君もエプロンとそうなりたいと? まあエプロン若いし美人だしね。」

ピアノ「どうしてこうなったのか、わからないんだ……。」

私「ほう。全く心当たりないの?」

ピアノ「三年生の番長に絡まれた時かな……。ジュース代貸せって詰め寄られた時、エプロン先生が追い払ってくれたんだ……。僕より体も小さいのに、番長にちゃんと怒ってて、僕は助けられて……。」

私「良い先生じゃないの。温泉で泳いでるらしいけど。」

ピアノ「どうしたらいいんだろうって誰かに相談したくて……。気づいたら、トシロー君のところに……。」

私「やっぱ俺そういう風に見られてんのか……。」

ピアノ「うーん……。女の先生と仲良くしてる男子って、トシロー君くらいだから……。」

私「そうだなあ。お料理とかお裁縫の弟子入りしたら? まずそこから始めてみよう。」

ピアノ「弟子入り?」

私「無理に俺の真似しなくても、ピアノ君良い子だから気に入られると思うよ。」

ピアノ「本当に?」

私「ここぞという時に、自作の歌をお見舞いしてやれ。ピアノ弾き語りで。これでもうイチコロさ。」

ピアノ「そんなの無茶だよ……。エプロン先生、今年結婚したばかりなんだよ……。」

私「そうなの? そっか。知らなかった。」

ピアノ「何でこんなことになったんだろう……。どうしたらいいんだろう……。」

必死に助けを求めてくるピアノが、まるで今の自分と重なるのを感じたと同時に、

ふざけたアドバイスをしてしまったことを後悔しました。

もし私が本当のことを彼に話していたら、彼はどれほど救われた気持ちになったでしょう。

私はアドバイスになるかわからないながらも、嘘偽りのない気持ちを彼に投げかけます。

私「マジレスするとさ、君のやるべきことはもう決まってるよ。」

ピアノ「え?」

私「俺がピアノ君の立場なら、男らしくさっさと身を引く。」

ピアノ「やっぱり、そうだよね……。」

私「エプロンが結婚したばっかりなのがホントなら、彼女が幸せでいられることを第一に考えろ。もし君の気持ちをエプロンが知ってしまって、授業しづらくなったりしたらどうする? 影響を受けるのは教師だけじゃない。一緒に授業を受けるクラスメイトもそうだ。今までの何でもない関係さえ壊れるかもしれないよ。エプロンは怒りんぼかもしれないけど、生徒からそんな目で見られてるなんて知ったら、どんな気持ちになるだろう。そんなことでエプロンが教師を続けられなくなったら、君は自分を責めるようになると思う。俺の想像が極端なのはわかってるけど、こういうことは最悪の事態も想定しておくんだ。だからその気持ちは一生隠し通せ。『きれい。』だって思っちゃうのはしょうがないにしても、その思いだけは本人の前で口に出すな。」

私は自分に言い聞かせる意味も込めて、偉そうにも優等生のピアノに語りかけました。

とはいうものの、自分でさえここまでのことができるのかどうかはわかりません。

同時にこのように決めつけるようなアドバイスが正しいのかどうかもわからないままでした。

ピアノ「君の言う通りだと思う……。」

私「けど、仲良くなるなって言ってるわけじゃないよ。家庭科は週二時間しかないから、その短い時間だけでも、ちょっと話ができただけでも良しとしても良いんじゃないかな。弟子入りは大げさだけど、質問したり、エプロンの手伝いしてみたりさ、そういうのは良いと思うよ。」

ピアノ「トシロー君はすごいな……。そんなにスラスラとすごいことが言えて……。」

私「見直した? まあ俺は教師に恋したことないから、君の気持ちを完全には理解できないけど。」

ピアノ「ありがとう。相談したのが君で良かった。すっきりしたような気がする。」

私「でも、どうするか最終的に決めるのはピアノ君自身だよ。エプロンと仲良くなれるといいね。」

ピアノ「それとこのことだけど――。」

私「わかってるって。俺らだけの秘密。」

ピアノ「うん。ありがとう。」

私「エプロンも良い人みたいだし、俺もエプロンと仲良くなってみたいかも。」

ピアノ「トシロー君意外と人懐っこいから、すぐに仲良くなれると思うよ。」

終始不安そうな表情だったピアノも少しずつ笑顔を見せるようになっていました。

先ほど私は「教師に恋したことない。」と一つだけ嘘を吐いてしまいましたが、

同じ悩みを抱える彼であれば相談してもいいような気がしていました。

私の口元が緩み、そのことを言いそうになったその瞬間でした。

階段を上って廊下に現れた先生が、私たちに歩み寄りながら話しかけてきました。

先生「トシロー君、ピアノ君。そこで何してるの? もう補習の時間だよ。」

私「先生!?」

先生「一回も遅刻したことないピアノ君連れ出して。さては非行の道に誘う気?」

私「違う、これは――。」

先生「君がエプロン先生と仲良くなりたいのは結構。けど他の子まで遅刻の常習犯にするのはバツ。」

私「先生誤解しないでよ! 俺別にエプロンなんか――。」

先生「さっき自分ではっきり言ってたじゃないの。」

私「う、うわあ、どうしてこうなった……。」

ピアノ「やっぱり仲良いね。トシロー君。」

私「良くないよ……。ってか先生どこから聞いてたの?」

先生「『仲良くなってみたい。』って言ってたとこから。」

私「何で、毎回毎回そういうとこばっかり……。」

先生「トシロー君がエプロン先生気になってるのはわかったから、早く教室入りなさい。」

私「誤解や……。誤解にも限度があるわ……。」

こうなってしまったのは、言い方は悪いですがピアノが相談を持ちかけてきたことが原因なので、

誤解されている哀れな私に助け舟を出してほしかったのですが……。

彼は相変わらずうらやましそうに、それでも笑いながら私と先生を眺めていました。

 

そんなことがあった数日後から、ピアノは補習に来なくなってしまいました。

それどころか学校で見かけることすらありませんでした。

まさか家庭科のエプロンにフラれて、落ち込んで不登校になったのでしょうか?

姿を消してから二週間以上が経過したため、さすがに心配になった私は、

補習組にいるピアノのクラスメイトの子に訊くことにしました。

私「ねえ、ピアノ君って何かあったの? 最近見ないけど。」

まじめD「えっと……。転校したよ。」

私「マジか!? いつ?」

まじめD「二週間くらい前だったかな。」

私「試験も受けてってことだよね?」

まじめD「うん。県外の学校らしいけど、ここよりレベル高いってことくらいしか知らないなあ。」

私「そっか……。ありがと。」

ピアノはこの学校において、互いに最高の理解者になれるような気がしていました。

何とも惜しいことになってしまったようにも思いましたが、

このまま誰にも悩みを打ち明けずにいられて、ある意味良かったのかもしれません。

口に出してしまうと、先生への気持ちがもっと膨らんでしまいそうに思っていたのもあるでしょう。

それはそうと、ピアノについて一つ気付いた点がありました。

前々から転校が決まっていて、家庭科のエプロンと関われる時間がわずかしかなかった。

なので、何かしら前進したい気持ちがあって、私のところに来たのではないかと思ったのです。

彼自身がこの学校を去る直前までの間、家庭科のエプロンとどう関わったのかは定かではありません。

ピアノも家庭科のエプロンも楽しく過ごせたことを願うのみです。

 

【三十】

念共 覓而目見毛 直友者 亦者不相國 彌惜鴨

思ふどち 求ぎて目見ゆも ただ友は 又は逢はなくに 彌惜しきかも

おもふどち まぎてまみゆも ただともは またはあはなくに いやをしきかも

気が合いそうな友達とようやく出会えたというのに、すぐに君とは二度と会えなくなってしまいました。

なのでとても惜しい気持ちになるのです。

 

 

第七話に続きます……。

私の万葉歌 - 戀歌 第七話 | TOSHI's diary (ameblo.jp)

 

 

【あとがき】

初めて上代日本語で和歌を詠もうと思った時は、このように物語形式にする予定はありませんでした。

ここまで書いた以上は最後まで書きたいところですね。

詩人として活動している身内や、とある変わり者の大学教授、

私の遠い親戚やご先祖さんといった歴史上の人物なども、次々に登場する予定です。

最後まで見守っていただければありがたく思います。

 

それと思い出の舞台を写した過去記事の写真をこの記事のサムネイルに設定しましょう。

 

 

七年前に撮影した道後商店街の入り口です。撮り方が下手すぎて申し訳ないですw

ググると入口の全景画像が出てきますので、よかったら検索してみてくださいませ。

普段友達と遊び回るのに、あまりこういった観光地には行きませんでしたね。

たいていは市内中心部のゲーセンなんかが多かったです。

この辺りはLとの会話の流れで何となく行ったところでした。

いろいろなことが起こった舞台なので、これからもちょこちょこ登場することでしょう。

 

 

ということで今回は以上になります。

長々しい話になってしまいましたが、最後までお読みくださりありがとうございました。

ではではまたお会いしましょう。