私の万葉歌 - 戀歌 第四話 | TOSHI‘s diary

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過去回の第一話~第三話のリンクを貼っておきます。

よろしければご覧いただければ幸いです。

私の万葉歌 - 戀歌 第一話 | TOSHI's diary (ameblo.jp)

私の万葉歌 - 戀歌 第二話 | TOSHI's diary (ameblo.jp)

私の万葉歌 - 戀歌 第三話 | TOSHI's diary (ameblo.jp)

 

 

物語の進行というよりは、教師に恋をしてしまった場合のメリットを五つほどご紹介します。

この物語は今現在教師に恋をしてしまい、悩んでいる学生の方にもおすすめかもしれません。

悩んだり苦しんだり、自分を責めたり、葛藤することがたくさんあることでしょう。

しかし、そんなに深く思い詰めると苦しさは増す一方です。

苦しみの軽減につながればと思い、この話を付け加えることにいたしました。

実はメリットが多いので、私の経験とともに紹介したいと思います。

 

 

一つ。質問をしに行ける。教えてもらえる。

私は高校二年生の中盤時点で、高校二年生までの古文、漢文、現代文を、

およそ三か月ほどの短期間でほぼマスターできました。

それは以前にも書いたように、文学を好きになり、テストをゲームだと思ってやっていたからです。

私は特別要領がよかったわけではなく、単に国語に特化していただけでした。

なので、他の教科はちょっとだけましになった程度でしたね。

勉強の仕方は学習していたので、その気になればもっと点数を上げられたかもしれません。

 

国語に関しては、今の授業の範囲だと先生に質問するような点はありませんでした。

私は理解しているにもかかわらず、わからないふりをして先生に訊いていましたね。

当然、私の学力を把握している先生からは「前までちゃんと理解してたでしょ?」と言われます。

そんな時は完璧に理解できるようになりたいという姿勢を見せれば、先生は必ず答えてくれました。

それとは別に、先々の出題範囲に興味を持ち、先生に訊くということもしていました。

私が最も気を付けていたことは、あまりしつこくならないことでした。

教師の立場的に、教えを請われて嫌な気にはならないと思いますが、

何度も何度も会いに行ってベタベタ引っ付くと、恋心がバレるか嫌われるような気がしたからです。

そうなれば恥ずかしいどころか、もう先生に顔を合わせられなくなりますからね。

 

特訓についての話を書こうと思います。

この時点で三年生の出題範囲や入試レベルの問題について学ぶようになりました。

すでに将来どうなりたいかという目標を先生には話していました。

私が作家になりたいと本気で思っていたことを先生は知っています。

そんな私に対して、先生は常々「卒業まで全ての知識を叩き込む。」と言ってくれました。

特訓が続けられるようになった私はさらに燃えたのだと思います。

この時に私が気を付けていたのは、決してデレデレしないことでした。

基本的に先生のことは見ないようにしていました。集中できませんからね。

問題、解説、先生の説明する声があれば十分です。

真剣に学ぼうという姿勢は本物だったのですが、それを絶対に崩さないようにしました。

そして特訓が終わったら、恥ずかしがらずに「ありがとうございました。」と必ず言いました。

いくら仕事であるとはいえ、忙しい時間を私に割いてくださっているからです。

私がお礼をちゃんと言えるようになっただけで、先生は大喜びしてくれたのを覚えています。

教え子が成長している姿を見て、嬉しく思わない教師は基本的にはいません。

教師に喜んでもらうには、成長している自分の姿をしっかりと見ていただくことが一番でしょう。

そう考えると特訓というのは実によかったのだと思います。

自分の学力も上がるし、成長すれば先生も喜んでくれる。そして一緒にいられる。

まさに一石三鳥の良いことだらけです。

ただ、特訓時に限って先生は鬼のように厳しかったです。私しか見たことのない顔もあったことでしょう。

私が本気で夢を追っていることを知ってくれているからこそだったのかもしれません。

そんな私しか知らない一面が見られることも、幸せだったことに間違いありません。

特訓がどれだけ厳しかったかは追々書くことになるので、いったんはここまでにいたします。

 

また、教師と生徒の関係に限らない話になりますが、趣味が同じというのはかなり大きかったです。

私の場合は日本文学ということでしたが、この話題で話せるのは先生以外にいませんでした。

私と先生にはもう一つ共通点があり、それは流行りに疎いということでした。

ミーハーな話題についていけないタイプだったという話ですね。

そうなると共通の趣味の話はどんな話題よりも盛り上がったものです。

趣味の話といえど私の方が知らないことが多いので、教えてもらうスタンスは変わりません。

 

まとめると、恋した先生との関わり方は"今まで通りでいい"でしたね。

今まで通りなのですが、恋しい人と会話したり過ごしたりできる幸福感がプラスされます。

しかし、その気持ちは胸の奥底に隠し、決して見える形には表しません。

無意識に頬が赤くなったり、切ない表情になったりするのは防ぐのが難しいとは思いますが。

質問をしにいける。教えてもらえる。もうそれだけで十分です。

 

【十六】

妹邊爾 居谷有者 玉響毛 吾者如是許 幸可有

妹が邊に 居るだにあらば 玉響も 吾は斯くばかり 幸くあるべし

いもがへに ゐるだにあらば たまゆらも あはかくばかり さきくあるべし

限られた時間の中であっても、貴女の傍にいられるだけで、私はこんなにも幸せなのです。

 

 

一つ。見つめてもいい。

誰かに恋をしたことのある方なら経験があるかと思います。

その人の動向や、自分がどう見られているかなどといったことが気になって、

ついつい好きな人を見てしまうものです。目が合った時は気恥ずかしくなってしまいますよね。

さて、学生というのは日頃教師から「話している人の目を見て話を聞きなさい。」と言われます。

つまり授業中は開始から終了まで、じっと見つめていてもかまわないのです。

授業を真剣に聞いているふりをして、好きな人をじっと見つめることができます。

ただし、直視しすぎると変に思われかねませんので、

しっかりとノートに書き留めるといった行動がないと不自然になります。

また、見とれたり、物思いに耽ってぼんやりしている時に、好きな教師から突然当てられ、

問題を答えるように促された時などは、焦って頭の中が真っ白になることもあります。

もちろん私もそういうことはありましたが、得意科目ということもあり対応できていた気がします。

 

また、先生ばかり意識してしまい、授業に集中できないのはよくないとわかっていました。

そんな時は自分の夢を思い出して「今は授業に集中しろ!」と、心の中で自分を叱ったものです。

私はどちらかというと瞬時の切り替えが苦手な性格でしたが、

自分の夢や応援してくれる先生の気持ちを思い出して、必死に我に返るよう努めていました。

 

とはいえ、あれやこれやと頭を使った後に、教壇に立つ世界一の美女を見てしまうと、

ついつい胸をキュンキュンさせながらうっとりしてしまいます。

恋というのは自分の意思とは裏腹にどんどん膨らんでいきますから、

これはもう逃れられないことだったのでしょう。

実に悩ましい日々ではありましたが、授業中に見つめていてもかまわないというのは、

教師に恋した生徒の特権の一つだったのかもしれません。

 

【十七】

妹目乎 視卷慾爲蹟 守居而者 二人目合 吾者靈消

妹が目を 見まく慾りすと 守り居てば 二人目合ひ 吾は魂消ゆ

いもがめを みまくほりすと もりゐてば ふたりまぐはひ あれはたまきゆ

貴女の目を見ていたいと願い、つい見つめていると視線が合ってしまい、

私はまるで魂が消し飛んでいくかのように一気に頭の中が真っ白になってしまいます。

 

 

一つ。叱られる。

こちらに関しては人によりけりな部分があります。

当時の私は教師からああだこうだと言われるのが嫌いでしたが、

恋した先生から注意されたり叱られたりすることだけは嬉しかったものです。

つまり好きな女の子がツンとした雰囲気で話しかけてくるシチュエーションそのものです。

これは私がもともと"悪い子"だったのが逆によかったのかもしれません。

私は成績も上がってきて良い子ちゃんになりつつあったのですが、

学ランのボタンを全開にしたり、昔先輩からもらったボンタン(違反ズボン)をはいたり、

髪を脱色したりと、そこそこ目立つような格好はあえて続けていました。

理由は単純明快で、先生が叱ってくれるからでした。

教師はその立場上、よほど諦められていない限り、ちゃんと注意をしてくれます。

相手から積極的に話しかけてくれるのです。これを活かさない手はありません。

 

当然ですが、この時にも私が気を付けていた点があります。

注意されたら素直に言うことを聞いて、ボタンを閉じるなり謝るなりしていました。

そしてここからが重要なのですが、いくら叱られるのが好きだとはいえ、

他の生徒をいじめたり、暴言を吐いたり、禁止ワードになるようなことをしたり、学校のものを壊したり、

授業妨害をしたり、万引きしたり――といった悪事は絶対にNGです。

要するに他人に迷惑をかけない範囲で注意される条件に絞らなければなりません。

先生の手に負えない生徒にまでは堕ちてはならないということですね。

何事にも言える話にはなりますが、相手が本気で嫌がるボーダーラインが存在します。

それを見切るのは難しいので、自分の頭でしっかりと考えて設定するのです。

 

ただ、この方法は諸刃の剣でもあるので、現在教師に恋をしている学生さんにはおすすめしません。

当然ですが、恋した先生以外の教師からも、時には大嫌いな先公からもごちゃごちゃと言われます。

場合によっては嫌な思いをする割合の方が高くなるでしょう。

これも当然ですが、あまり素行不良になりすぎると、愛想を尽かされる可能性もあります。

全てに言えることではありますが、何事もほどほどが一番でしょう。

あくまでこの状況の私が感じたメリットにすぎないという点を踏まえていただければと思います。

まあ、服装の乱れ程度であれば、教師の側も注意しやすく、生徒側もすぐに直しやすいので、

まずは学ランの第一ボタンを外すところから始めてみるといいかもしれませんね。

とはいえ、学ランの中学校や高校も年々減っているという話ですから、

その学校の制服に合わせて乱し方を考えてみましょう。

何の話やwww

 

【十八】

慕徃 仕奉流 妹辞 吾乎羽褁 給鶴鴨

慕ひ往き 仕へ奉れる 妹が言 吾を育み 賜ひつるかも

したひゆき つかへまつれる いもがこと あれをはぐくみ たまひつるかも

私がお慕いし続ける貴女の言葉が、私を育ててくださったのでございます。

 

 

一つ。褒められる。

これも生徒という立場の特権の一つといえるでしょう。

私がまず褒められたことといえば、やはり国語全般の成績を伸ばしたことです。

あらゆる日本文学に惚れ込んだ私は、自分でも信じられないほど身に付くのが早かったです。

まあ、もともと空っぽの頭だったので、一つ覚えがしやすかったのでしょうけど。

先生としては、やはり自分の担当する教科に興味を持って、

一気に成績を伸ばしたことが嬉しかったのかもしれません。

先生から褒められるというのは、恋心を抜きにしても嬉しいものでした。

恋心を抱いてからは、褒められたくてもっと張り切っていたのでしょう。

これまで以上に、頭の中に知識がどんどん入っていく実感がありました。

 

先ほども書きましたが、成長している姿を見せると最も喜ばれ褒められます。

挨拶や敬語が話せるようになった時にも、先生はとても喜んでくれました。

高校二年生なら敬語や挨拶は当たり前だと思うかもしれません。

が、できないところからできるようになるからこそ、成長したように見えるポイントなのです。

「先生が注意してくれたから、ちゃんとできるようになりました。」

というように"先生のおかげ"だということを全面に押し出します。

そして必ず「ありがとうございました。」を言うのです。

 

それと教師にもよりけりだとは思いますが、生徒たちが思っている以上に内面を見ようとするものです。

成績や日頃の態度も見ているのですが、必ず何かしら光るものがあるはずだと、

特技や見えづらい長所を持っているだろうと、日々の関わりの中で探ろうとしているものです。

先生から「君は優しい。」と言われた瞬間は、未だ鮮明な情景として胸に刻まれています。

もうその言葉だけで生きていけそうなほど、見えない部分を褒められるのは嬉しかったです。

私は高校二年生になるまで、教師から内面的な部分を褒められたことはありませんでした。

そもそも教師と深く関わることをずっと避けていましたので。

しかし、これはよくよく考えてみれば、友達同士でも普段から褒め合うものでもない気がします。

「〇〇は良い奴だ。」という言葉も、大抵の場合は当人がその場にいないことが多かったように思います。

教師と生徒の関係だったことは、褒めてもらいやすい状況だったのかもしれません。

 

恋愛の話に戻すと、好きな人から褒められるシチュエーションが、

恋した相手が教師だと起こりやすいということなんですね。これが大きなメリットになります。

 

【十九】

萬代毛 吾者敬而 仕奈武 譽而令遣 妹之偲者

萬代も 吾は禮びて 仕へなむ 褒めて遣はす 妹し偲へば

よろづよも あれはゐやびて つかへなむ ほめてつかはす いもししのへば

お褒めくださる貴女を思い慕っておりますので、私はこれからもずっと、

貴女を尊敬し従い続けていくに違いありません。

 

 

一つ。糧になる。

この物語は教師に恋をしてしまった学生の方にもおすすめだろうと、冒頭でもお伝えしました。

最後に紹介するメリットこそが、私の最も伝えたかった話になります。

とりとめのないことを言ってしまうようで申し訳ありませんが、

この現実をどうしても伝えなければならないという思いがありました。

 

教師との恋愛は99パーセント以上の確率で叶いません。これだけははっきりと言っておきます。

生徒側がどんなに美男美女であっても無理だと思ってください。

そして残りのわずかな可能性に懸けても、大抵の場合はろくな結果になりません。

むしろ生徒に言い寄られてあっさりと己の信念を曲げてしまうような教師なら、

胸を焦がして苦しんだことすらバカバカしくなるかもしれません。

 

私の持論ばかりになりますが、恋をする相手というのは選べないものだと思っています。

私自身もそうでしたが、尊敬する恩師に恋をしたいなどとは微塵も思っていませんでした。

何度も書いたのですが「かわいい。」と思うことすら不敬だと感じるほどでした。

しかし、恋してしまったものはどうしようもありません。もう受け入れるほかはないのです。

こうなってしまった私にできることは何かと、何度も何度も考え抜きました。

私の選択した道は、愛する先生のためにも、この思いをただひたすらに隠し通すことでした。

とはいえ、叶ってはならない恋を隠し続けて生きるのは想像以上に苦しいものです。

せめて教師に恋をしてしまうメリットでも思い浮かべなければやっていられません。

 

私が先生に恋をして最も得たこと、学んだこととは何なのか。それは"相手を思いやる心"です。

月並みの言葉のように思えるかもしれませんが、私は初めて真剣にその意味を考えました。

人を愛するということがどういうことなのかを深く考えさせられた出会いだったのです。

先生にはこれからもずっと教師を続けてほしい、いつまでも私の師匠であってほしい、

クラスのみんなが大好きな楽しい担任の先生であってほしい、

教師になって良かったと思ってほしい、誰よりも幸せであってほしい――。

私が恋に溺れてもがき苦しむことで済むのであれば、どんなに易いことでしょうか。

 

当時の私はつらくて苦しいながらも、精一杯楽しむように努めていたと思います。

あれから十余年が経ちましたが、当時の経験は今でも私の"糧"になっていると信じています。

私には先生から学んだ"思いやりの心"があるのだと自信を持って生きています。

 

まとめると、つらくて切なくて、決して叶えられない恋というのは、

私にとって"相手を思いやる"ことと"精神的向上心"につながりました。必ずや価値があるはずです。

 

もう一点だけ書き加えさせてください。

この経験を糧に、私はこの物語を書くことができたということです。

先生に恋心を抱くという経験がなければ、当然この物語は生まれませんでした。

そういった視点を持つこともできないまま、作家を目指そうとしていたかもしれません。

 

いろいろと偉そうに持論を展開してしまいましたが、

恋心を隠したまま、最初から諦めることこそが、私なりの愛し方でした。

先生の下で学べるだけで、もう"一生分の幸せ"と"優しさ"を得られたのですから。

やがてそれは私の人生における"糧"となり今に至ります。それが最大のメリットです。

 

【二十】

妹爲 平氣乎 禱有者 吾戀良久者 落去友吉

妹が爲 平けき日を 禱みたらば 吾が戀ふらくは 散りぬともよし

いもがため たひらけきけを のみたらば あがこふらくは ちりぬともよし

貴女との平穏な日々のためを願うのであれば、

私の恋心など儚く散ってしまったとしてもかまいません。

 

 

第五話に続きます……。

私の万葉歌 - 戀歌 第五話 | TOSHI's diary (ameblo.jp)

 

 

【あとがき】

今回は物語の進行ではなく、私が感じたメリットを挙げさせていただきました。

それと同時に当時の私の気持ちもそのまま書いております。

気持ち悪がられるであろうことも書いてしまいましたが。

次回はデメリットをご紹介する予定ですので、もしよろしければまたご覧くださいませ。

デメリットに関しては、私自身がつらかったことを思い出して書きますので、

もしかしたら文章にも暗さや悲しさがにじみ出るかもしれませんw

 

あと、先生からいただいたものが再び出てきました。

今日まで引っ越しを繰り返す日々だったので、てっきり紛失したものと思っていました。

正直なところ、まだ残っていたことにめちゃくちゃ驚いています。

 

 

先生の下で学び始めて基礎を学んでいた頃に、実際に特訓で使っていた問題集です。

ページをめくってみると、私が書き込んだ赤線とかがあって、当時をそのまま思い出しますね。

始めは中学生向けの問題をやっていて、それ用の問題集ももらっていたのですが、

三年生の時に友達になった子に貸したまま返ってきませんでした。

みんなは今頃どうしているのでしょうか?

 

最後にもう一点だけ。

この恋物語を書くようになってからアクセス数が増えたので嬉しく思います。

お読みくださる皆様には本当に感謝しております。ありがとうございます。

最後まで頑張って書こうと思いますので、暖かく見守っていただければ幸いです。

 

 

今回は以上になります。

最後までお読みくださりありがとうございました。

それでは次回またお会いしましょう。