医療機関で血液検査を行い、その結果を聞く際に、検査結果の報告書をもらうことがあると思います。口頭だけで説明されて結果の用紙をもらえない場合もあるようですが、もらえる医療機関のほうが多いのではないでしょうか。

 

 当院でも血液検査結果は必ずお渡ししています。実はこの「検査結果を渡す」という行為には重要な意味があるのです。

 

 当院は院内に血液検査機器がありますので、検査結果を当日中にお伝えできます。その結果をもとに、すぐに治療方針を決定できるというのがメリットです。そして会計時には「外来迅速検体検査加算」という医療費をいただいています。これはある特定の検査項目(甲状腺ホルモン値や肝機能検査など)について、当日中に結果を説明して診療に役立てた場合、1項目について10点(100円)を徴収できるというものです。最大で5項目(500円)までと決められています。このとき、「検査結果を文書で説明する」というのが条件となっているので、検査結果報告書を渡して説明することになるのです。

 

 このような決まりがあるので、当日検査結果をお伝えする場合には少し医療費が上乗せされることをご了承ください(検査結果を後日聞く場合には「外来迅速検体検査加算」は徴収されませんが、再診料がかかりますので、最終的には医療費は高くなります)。もちろん後日結果をお伝えする場合にも、結果報告書をお渡しして説明するようにしています。

 開院時に導入した超音波検査装置ですが、今回新しい装置に入れ替えました。導入したのは富士フイルムヘルスケア社製「ARIETTA 850 SE」という機種です。

 

 

 同社製品では上位機種であり、画質も良好です。

 

 開院後にしばらくしてから新規導入したキヤノンメディカルシステムズ社製「Aplio i800」は現在も使用中ですので、これら2台で診療を行っています。今までキヤノンの製品に慣れていたので、操作に迷うことがありますが、すぐに慣れると思います。

 

 以前「Aplio i800」を導入するときに、実は「ARIETTA 850 SE」も候補に挙がっていました。その時は諸事情により「Aplio i800」を選んだのですが、今回の更新ではぜひARIETTAシリーズを導入しようと思い、メーカーと交渉していました。また、ときどき患者さんを紹介してくださる某総合病院にもARIETTAが導入されており、紹介患者さんが持参する超音波画像がきれいだったというのも選んだきっかけの一つです。

 

 超音波検査は奥が深く、診断に迷うことがいまだに頻繁にあります。超音波検査の従事者がたくさんいれば相談できるのですが、小さなクリニックですからそうはいきません。大規模な専門施設と比べても限界がありますが、これからもできるだけ正確に診断できるように努力したいと思います。

 健診や人間ドックなどで腫瘍マーカーを測定することがあると思います。血液検査で結果が分かりますので、非常に簡便なのが特徴です。

 

 腫瘍マーカーは、腫瘍細胞が産生する物質や、腫瘍の存在に反応して作られる物質を検出し、数値化する検査です。したがって腫瘍が存在すれば数値も上昇するので、腫瘍のスクリーニング検査として健診などでも利用されています。

 

 ただし、健診時のスクリーニング検査として腫瘍マーカーを測定するときには注意が必要です。腫瘍マーカーは正常細胞でも産生されますし、腫瘍性の病気以外でも上昇することがあります。また、加齢、妊娠、喫煙などの影響を受けるマーカーもあるので、上昇していたら必ず腫瘍が存在するというわけではありません。

 

 健診で測定された腫瘍マーカーが高値だったため、様々な画像検査を受けたが全く原因が分からず、ただ不安だけが残った。これはよくあるパータンです。

 

 健診で行う腫瘍マーカー測定の目的は、悪性腫瘍の早期発見のはずです。その意味で本当に役立つのは、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAくらいで、それ以外ではほとんど役に立たないと思われます(私の古い知識ですので、有用な検査が出ているかもしれませんが)。

 

 もちろん腫瘍マーカー測定でがんが発見されることはあるでしょう。しかし腫瘍マーカー高値でがんが初めて発見されたというケースでは、ある程度進行したがんであることが多いと思われます。腫瘍マーカー検査は、健診のオプションとして行われることが多く、そのような方はおそらく画像検査もしっかり受けているでしょう。したがって、腫瘍マーカーを測定していなくても、画像検査で腫瘍を指摘されると思います。

 

 腫瘍マーカー測定の意義は、がんと診断されたあとの補助診断、がん治療後の再発診断にあると考えます。健診時に測定しても悪くはありませんが、結果に振り回されないように注意が必要です。

 

 先日健診結果を持って受診された患者さんです。腫瘍マーカーの項目にサイログロブリン(Tg)が載っており、それが高値だったので受診されたとのことでした。そもそもTgは腫瘍マーカーなのでしょうか。

 

 悪性腫瘍の診断のための検査という意味では、「腫瘍マーカーではない」となります。甲状腺の良性腫瘍や炎症性疾患などでもTgは上昇しますので、高いからと言って悪性とは限りません。

 

 一方で、悪性腫瘍の術後経過観察という意味では、「ある限られた条件の下では腫瘍マーカーである」となります。

その条件とは、

①甲状腺分化がん(乳頭がんや濾胞がん)の術後である

②甲状腺全摘後である

③抗サイログロブリン抗体(TgAb)が陰性である

 

 したがって、Tgを健診目的での腫瘍マーカーとすることは不適切と考えます。

 

 記事内を「サイログロブリン」で検索するといろいろ出てきますので、参考にしてください。

 甲状腺の病気で薬を服用しなければならない場合、多くは長期間の服用が必要です。甲状腺機能低下症やバセドウ病は、長期内服が必要な代表的な病気です。これらの治療薬は、医療機関を受診して診察を受けなければ手に入れることはできません。薬局で普通に購入できる国もありますが、日本では医師が発行した処方箋が必要です。

 

 医療機関への受診は待ち時間が長いことが多いので、できるだけ長い期間分の処方をしてもらえたら受診の頻度を減らすことができて、患者さんにとっては大変メリットになります。

 

「もっと長く薬を出してくれませんか」

「Aクリニックでは2ヵ月分処方してくれたのに、B医院では1ヵ月分しか処方できないと言われた」

「少し余分に処方してくれませんか」

 治療が長期間に及ぶ方は、これらのことを言った経験がありませんか?

 

 さて処方日数はどのようにして決めているのでしょうか。これはもちろん診察した医師の判断になります。病状が変わりやすいのでこまめに診察をしなければならないと判断すれば、処方は短期間にとどめます。一方、病状が安定していれば、より長期間の処方でもよいと判断します。医師の判断ですから、新たにかかった医療機関で、「前にかかっていた病院と同じくらい長期間分を出してください」と言っても、その主張は通りません。

 

 では処方日数はどれくらいまで延ばすことができるのでしょうか。3ヵ月までと思っている方も多いのではないでしょうか。実は上限はありません。ただし一部の薬(麻薬、向精神薬、新しく発売されたばかりの薬など)は上限が決まっています。分かりやすいところでは、いわゆる「睡眠剤」や「安定剤」の一部は上限が決まっています。その他の多くの薬では、原則として上限はありません。ですから1年分の薬を処方することも可能ではあります。ただし、1年分処方する医師はまずいません。1年間同じ薬で大丈夫とはさすがに判断できないからです。また、薬の使用期限の問題もあるので、あまり長くは処方しません。甲状腺疾患の場合ですが、病状にもよりますが、安定してしまえば3~6ヵ月ごとの通院、検査、処方でよいと考えます。

 

 最近オンライン診療を取り入れる医療機関も増えてきました。オンラインで診察を受け、薬の処方もしてもらえる仕組みです。甲状腺疾患についてはオンライン診療は不向きです。なぜなら甲状腺疾患で内服中の患者さんは、血液検査が必須だからです。実際、私のクリニックを受診される方のほとんどが血液検査を受けています。次回、血液検査が必要なタイミングまでの期間、間に合うように処方をしていますので、処方のためだけに受診されることはほとんどありません。

 昨日の休診日を利用して内装工事を行いました。以前ダメージを受けた個所の補修、故障した照明の修理、棚の設置などを行いました。特に入り口付近は水害で壁紙がはがれたままでしたので、きれいに張り替えてもらいました。

 

 当院はオンライン資格確認を導入する予定で、2月からの運用を目指して準備を進めています。ただ機器を設置すればいいというものではなく、院内掲示や問診票の改定をしなければならないのです。また、トラブル時の対応についても情報を集めているところです。それに伴い、初診の患者さんには従来よりも医療費の負担がわずかに増えてしまいますことをご了承ください。ちなみに従来の健康保険証を利用するより、マイナンバーカードを保険証として利用して診療情報取得に同意されれば、負担は少なくて済みます(と言ってもごくごくわずかですが)。

 

 オンライン資格確認を導入するにあたり、専用の端末が必要になります。そのため、受付にパソコンが1台増えました。電子カルテや予約システム、自動釣銭機用のパソコンなど、受付だけで6台のパソコンが稼働しています。開院時には2台しかありませんでしたが、まさかこんなに増えるとは。受付が広めでよかったと思います。

 

 私もマイナンバーカードを取得し、健康保険証として利用できる状態にしています。当院のカルテで私自身オンライン資格確認を試してみましたが、けっこうスムーズに確認できました。

 

 ちなみに医師は自分で自分の保険診療はできないということをご存じでしょうか。医師なのになぜ自分の診療はできないのかと思うかもしれませんが、保険診療はできない決まりになっています。自費で全額自己負担なら問題ないようです。ですから、自分のクリニックの自分のカルテでオンライン資格確認をしても、そのまま診療はできないのです。