厚生局の「新規個別指導」を受けてきました。これは保険診療に関する、決して避けては通れない「指導」です。
保険診療というのはどういうものか。患者さんは医療機関で診療を受けると、かかった医療費の3割から1割を窓口で支払います。残りの7割から9割は、医療機関が保険診療の審査機関に請求し、後日医療機関に振り込まれるという仕組みになっています。この際、医療機関側は保険診療のルールに従って診療を行い、医療費の請求を行わなければなりません。
この指導では、審査機関への請求が適切かどうか、記載すべき内容が適切にカルテに残されているかをチェックされます。例えば、行ってもいない医療行為を行ったことにして医療費を請求すると、これは明らかに不正行為となります。また行った医療行為について、カルテに記載しているかどうかが確認されます。カルテにその医療行為がなされたという記載がなければ、本当に行われたのかが分からないので、これも不適切とされます。
指導の1か月前に通知が届き、指導日の1週間前に準備すべき書類の一覧が届きます。指定された10名分の患者さんのカルテや、ある期間の診療費の一覧などを準備する必要があります。それらを指導員が見て、医療費の請求の内訳(レセプトといいます)と照合し、不備があれば指摘、改善するように指導されます。不正請求が明らかな場合、診療費の返還を求められることもあります。
指導を受けたといっても、不正を行っている可能性があるので目をつけられたというわけではなく、新規に開院した医療機関が必ず受けなければならないものです。通常は開院してから半年から1年後に行われるらしいのですが、東京は医療機関が多いこと、また新型コロナウイルスによる緊急事態宣言中は中止していた(らしい)影響で、当院は開院3年後に指導の通知が来ました。指導当日の午後を急遽休診にして、新宿にある関東信越厚生局に行ってきました。
会場は広い会議室のようなところで、いくつもテーブルが置いてあり仕切りなどはなく、同時に複数の指導が行われていました。指導担当の医師2名と事務員さんと私の4名でテーブルを囲み、指導が行われました。最初に自己紹介があり、事務員さんから今回の指導の主旨について説明があります。法律に基づく指導で必ず指導を受けなければならないこと、不適切な請求が発覚した場合は診療費を返還していただきます、と言われてから指導が開始されます。
2人の指導医がそれぞれ5人分のカルテを見ながら、交互に質問されます。「この医療行為に対するカルテ記載はどこにありますか?」など、10人分が終わるまでずっと続きます。幸い特に大きな問題はなかったようです。所要時間も1時間の予定が40分くらいで終わったので、優秀なほうでしょうか。
1~2か月くらいで指導結果が郵送されるとのことでしたが、届いたのは3か月後でした。結果は3段階あり、「概ね妥当」「経過観察」「再指導」なのだそうです。おもしろいことに「妥当」という審査結果はないのです。何かしらの不備を指摘されるということのようです。「再指導」になると、もっと多くのカルテの提出を求められるらしく、かなり大変なようです。さらに「要監査」もあるらしいのですが、これは相当にやばいそうです。
そして当院の結果は「概ね妥当」で「指摘事項:なし」でした。何とか乗り切ってほっとしました。