練習帳

ちあらです。どうぞよろしく。^


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「返さなきゃ。て ずっと わかってたんだ、…だけど。」

誰かの声がしたような気がした。
けれど目を開けたら、まだ夜だった。
2時には なっていなかった。
子供の部屋の方から 音が聴こえてくる気がする。シャカシャカ、に似たような音楽のような、歌声のような。まだ起きてるらしい。
夫はまだ帰って来てなかった。
景気が悪くなってからはかなり珍しい、久しぶりのことだった。


「…はい、いえ、帰って来なかったです。はい、」
早朝 末の子のための弁当を作ってると誰かと話ながら、夫が帰ってきた。
「はい、これから、彼の実家にいってみようと思います。はい、新幹線で。」

おはよう、電話を終えて夫が言った。
これからシャワーして着替えてすぐ出るわ
ともいった。

飲んでた、じゃなかったらしい。

なあ、
着替えた夫が、玄関でふりむいた、

同期のさ、ヨシザキて覚えてる?
…経理の?
うん。
あいつんちに、いってたんだ

…ちょっと、実家まで、いってくるわ。

夫が靴を履く。

しかし、なんだなあ…。

あいつさ、
ずっーっと、同じとこに住んでたんだ。
俺ら、新人ときの、そのまんまの さ。

夫は行ってしまう。
おかーさん、おかーさん、と 好き勝手に喚きながら
こどもたちもそれぞれのところに
行ってしまった。


ヨシザキくんは覚えてる
たけど顔が思い出せない。
ベッドは何度かともにした。
けど、
どんなかおだったけか。
むかしむかしのもやのなか。
ヨシザキくんだけでなく、ほかのこもいた。何人かいた。夫も もちろんそのひとり。

華やかで華やかで、派手で
目眩ましが点滅し続けて
みんな狂ってた そんな頃。
目は潰れてたんだろう。カラダも潰れてたんだろう。ココロはもっと、


ひとつ思い出す。

ああ、そうだ。

あの声は、ヨシザキくんの声。

またひとつ思い出す。

ヨシザキくんの ベッド。



ベッドがすごくほしくてね、親にずっとねだってたんだ。
買ってくれんだ。中学生になったとき。
それがこれなんたわ。
親にね、言って、送ってもらったの。

めずらしく、うれしげな彼の声。

これがね
いいんだ。横になるとさ
ずむずむって 沈んでくの。
僕の身体の形のまんまに。

バネがね、きっともうダメになりかけてるんだろうとは思うんだけどさ、
これが きもちよくてね。
呑まれるような、抱かれるような。

うんうん、と聴いてた。
そのベッドに横たわりながら。
確かにあたしもずむずむと 呑まれてたから。

ものすごく、悲しかったり、つらかったりしたときとかさ
これに呑み込まれるみたいに眠ったら

もうそれで

あとは明るくなって


ちゃんと新しい朝がくるんだ。

うんうん、うんうん、て聴いてた。
ずむずむとベッドにのみこまれながら。


とてもよく眠れた覚えがある。
とても爽やかで明るい朝がきた、 
そんな、覚えがある。




夜かなりくれた頃
夫は帰ってきた。

新幹線から降りた後が、遠い遠いのよとぼやいてた。


「会社の金が合わない がわかってね。
それがハンパない額なんだ。億を軽く越えてさ。」

そうなの?

そうなんだ と夫は頷く。

ヨシザキに聞くしかないんだ。
実務の長は彼だから。
彼が知らないとか 気がつかないわけはないんだよな。だのに、

だのに?


「ヨシザキが いないんだ。」


会社にもこない、連絡もない。

「だから俺、やつの家いってみたんだ、
若い頃いった、そのときのまんまだったよ。」

古い広くないワンルーム。

あいつんちらしく、ちゃんと片付いてて、掃除もしてある部屋。

服も道具もみんなちゃんとそのままあって、あとは、主が、帰ってくるだけ、の部屋。

「俺は待ったんだ。家具たちと一緒に。あいつが帰ってくるのをさ。」

子供が残した付け合わせの野菜(ニンジンやら、かぼちゃやら)を ついでに口にほおりこみながら夫が話してる。

朝になってきがついたんだ。
ベッドかさ

剥き出しなんだ。

なんでかわからないけど

布団とかがないんだ。

マットレスだけ。

それでさ、


それで?


「ベッドの真ん中に カギが置いてあったんだ。部屋の鍵だ。ちよこん、て。」

ああ、あいつ帰ってこない。

夫は
そう思ったそうだ。




疲れたわあ、もう寝るわ。

と夫がいって、席をたった。



朝がきた。

出勤しようとする夫をなんとなく見送ろうと 側にいった。

そのとき、

夫の電話が鳴る。

「…ああ、シンドウくん、…そか、帰ってこなかったか。うん、お疲れ。ありがとうな。あ?うん、じっかにもな、なんの連絡もないらしいわ。うん、…うん、
あ、もしな、寝れてないなら 今日はオソガケでいいから。うん、うん、一眠りして来いよ。あ、あ、うん、俺がやっとくよ。
お疲れ、ありがとな。」


はあー…と、
電話を切って、空を見上げる。

警察に、いうしかないかなあ、
ないよなあ…

そういって夫は出勤していった。


「ごめんね。ずっと僕が持ってて。」

また声がした

ヨシザキくんの声だ、


あたしは何を彼に貸したのかしら。
さっぱり思い出せなかった。

いいの。
あたしのココロがしゃべってた。

それはたぶん、あたしにはもういいものなの。大事にしてくれてたの?ありがとう。

「これね、実は僕の宝物なんだ。」

すこし、うれしげに恥ずかしげに声がいった。

そうなの。ね、よかったらそれ
貰ってくれない?あげるわ 持っててくれてありがとう。

「ありがとう!」

声が言った。

そしてあたりは日常の音に空気に世界に

戻った。









だれもいない古いワンルームの昼下がり。

まどから差し込む柔らかな光のなか、

剥き出しベッドのマットレスの真ん中に

ちょこんと乗せられた 誰かの部屋の鍵が、

金色の華奢な子猫が附けられた鍵が、


ずむずむと、ベッドに呑み込まれていく。

大好きだったおんなのこがくれた、
その子の部屋の合鍵。

ずむずむとゆっくり呑まれて、


そして




消えた。
















12月9日の運勢
2
将来を考えて活動範囲を広げよう
どんな人生を歩んでいきたいのかじっくりと考え、その実現のために一歩を踏み出すといいでしょう。やりたいことがあるなら周囲に伝えてください。
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ちるちる もみじ

はきあつめ

くりのみ まいて おいもも いれて

やきやき わくわく まってたら


いろんなコたちが わきわき あつまり


わくわく まってて

あちあち ほほっほほつ おいしくたいらげ


でわ さよなら


またね いつかね







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アイコンママブロネタ「コラム」からの投稿


そのとき私は決めました。あなたに復讐することを。
その日以来、食事のメニューは 野菜の煮物と煮魚を中心に と変えました。
たっぷりの お砂糖、お塩、お醤油が 使えるように。
はじめふくれてみせたあなたが 「だって あなたのカラダが心配だもの。もう若くないし」そうつぶやいてみせた それだけで(少し泣きそうな顔もつくってみました)、しぶしぶからいまでは進んで箸をつけてるその姿、くすりとココロで笑います。
実は私の分は 全て別にたいてるけども そんなの 見た目ではわからない。
そして たまに あなたの好きなカツを つくります。たっぷり油と脂がとれるように。豚バラ肉をミルフイーユにして。
揚げ物を見て 目を輝かせるあなたに 「だって、たまには、ねえ?」て ちょっとてへをしてみせます。ぱくつくあなたに「高い肉でつくれなくってごめんね」と殊勝もしておきます。
トクホのコーラは 中身を普通にすりかえて。
お酒は最近はワインをすすめてます。いかにもカラダによさげですが 最近ワインは安いのです。しかも かなりはやめに回る。なのに 飲みやすいからか がぶがぶ あなたは飲んでます。2回目にデカンタにうつしかえるときに すこし焼酎をまぜてます。米でつくれる焼酎を。
いまのところ 少しもばれてはいないみたい。元々味なんかわからないひとだもの。

あなたが ゴルフにいくとき「ゴルフのあとのお風呂ね、軽くワインかなんか飲んで 少し熱めのシャワーを浴びると 細胞が活性化して 若返るそうよ?」と嘘をつきます。
「でもワインはいっぱいだけにしてね。」と心配するふりも 付け加えて。

あなたの親戚づきあい繰り返してて、あなたの血族に糖尿も高血圧も少なくないことをしりました。あなたは知らないでしょうけど。

そうそう 枕も少し高くしてみました。あなたが寝るとき頭が不自然内地になるように。
「ネットですごく評判がいいみたいなの」て嘘ついて。

「あたし お菓子がつくれるようになりたいのよ」と嘘ついて砂糖とクリームとバターと小麦粉を常に与えます。「味見してして」と甘えるふりで。
「どう 今度は上手にできたかしら?」と不安げなカオをつくると 「まあまあだね」とえらそうにほうばるので とても嗤ってます。ココロの奥で。

私はあなたに復讐してます。
あなたがある日突然死ぬか、糖尿や高血圧がでれば

わたしの勝ちです。




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