ワンダーウーマン(2017)
個人的評価:A
※ネタバレあり
【神話世界のヒーロー】
ワンダーウーマン、ダイアナは神話世界のヒーローです。悪の神を打倒することで平和を守るという祖先の言い伝えを継承し、明確な目的に向けて研鑽を怠らず、長い修行を経て最強の戦士へ成長を遂げます
そんな彼女に大きな変革の時が訪れます。それは人間の世界からの来訪者、スティーブ・トレバー大尉との出会いでした。スティーブとの出会いを経て、世界をバイオテロで恐怖に陥れようとする過激組織の存在を知ったワンダーウーマンは平和のために、過激組織の指導者の打倒を目標に故郷に別れを告げ、人間世界へと旅立ちます。
人間の戦いに参加したワンダーウーマンは目覚ましい活躍を見せます。人間を超越した身体能力以上に、彼女の「迷いのない姿勢」は仲間の兵士を強く鼓舞します。
【「迷い」の生じるとき】
そんな無敵と思われた彼女が初めてひざを折ります。彼女より強い敵が現れたというわけではありません。はじめて「迷い」に直面したからです。
彼女に「迷い」を与えたのは
人間社会の持つ複雑さでした
ワンダーウーマンは遂に過激組織の指導者を打倒します。しかし、それだけで戦いは終わりませんでした。指導者により兵士に刻まれた恐怖、構築されたシステムは指導者亡き後も、兵士を戦いに駆り立て、犠牲は拡大します。
「もう戦わなくて良いのに、どうして、誰も武器を置かないの」
まっすぐな正義は
未熟な正義でもありました。
指導者を倒しても終わらない戦い
人間社会の複雑さが生む悲劇。
彼女の悲痛な叫びが、胸を打ちます。敵の見えやすい時代から、見えずらい時代へ。そんな人類史の転換点にあって、最強のヒーローの心は強く揺さぶられます。
【明日を救え】
そんな彼女の心を救ったのは
ただの人間
スティーブの覚悟でした。
「これが人間なんだ。僕たちは、それに向き合い続けなければいけない」
矛盾した思考に囚われ、同じ過ちを繰り返し、傷口を広げ、傷つけあうことをやめられない人類、しかし、その現実から目を背けてはいけない一人一人が人類の弱さに向き合い続け、考え続けなくてはいけない。人類が考えるために、誰かが時間を稼がなくてはいけない、そのために
「僕は今日を救う」
スティーブは戦場に舞い戻り、自らを犠牲に細菌兵器を破壊します。残されたダイアナの脳裏に、彼の最後の言葉が響きます。
「だから、君は明日を救え」
戦いの痛みを忘れないこと。そして複雑な問題に向き合い、考え続けることをあきらめないこと。倒すためでなく、守るために戦うこと。数十年の時を超え、変わらずに人を信じ、救い続けるその背中が、夕映えの勇姿が、何より雄弁に本作のメッセージを体現します。






