四手目32飛戦法 | Thousand Days

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さうざん-でいず【千日手】
1. 同一局面の繰り返し4回。先後入れ換えてやり直し。
2. 今時珍しく将棋に凝っている大学生の将棋系ブログ。
主に居飛車党過激派向けの序盤作戦を網羅している他、
雑学医学数学物理自転車チェス等とりとめのない話題も…

※前提の記事『升田式早石田』『二手目32飛戦法』


四手目32飛を調べたり採用されてボコられながら感じたのは、
「先手は良くしようと頑張るほど却って息苦しくなっていく」
…という謎の原理である。

後手振り飛車の撲滅を主なモチベーションとする私にとって、
まさに天敵としか言いようのない戦法だ。

今回は、現時点で得られた僅かなデータを示すに留めた。


26歩 34歩 76歩 32飛 22角成 同飛
65角 74角…(γ)


(先手が過激な居飛車党員なら)ここまでは必然だと思う。
この一瞬を逃すと42銀と指されてしまい、
プロの多くが避けるほど優秀な二手目32飛に合流する。

74角に対しては43角成が当然の一手と思いがちだが、
この場合は74同角~55角のM渕流もひそかに優秀だ。
まあ、どちらもカオスになる点では変わりないのだが…

※二歩千金流の 22同銀 65角 54歩 83角成 74角もある。
88銀~25歩で24歩や53角を見せ、82飛を牽制したい。
22同銀〜42飛〜74角〜早繰り銀振り戻しも地味に強い。


43角成 42金 34馬 47角成 77桂 57馬
58飛 24馬 同馬 同歩 43歩 52金寄
88銀 47角…(γ1)


私の第一感は77桂~58飛だった。
(いかにも攻め大好き人間らしい発想と言わざるを得ない)
ここで後手は24馬と引くのが本筋で、44馬にも33馬がある。

43歩を同金と取れば以下 65角 54歩 83角成 74角 同馬 同歩 44歩などの進行が考えられて先手も戦えそうだ。
ただ、冷静に金をかわされて手が続かなさそうな気もする。

66角なら33歩、44角なら33角、再びの44角には43金。
そうすると先手は結局77角に備えることになりそうだが…
47角から飛車を奪われるぐらいでも全く自信が持てない。


43角成 42金 34馬 47角成 56馬 同馬
同歩 47角 65角 72銀 44歩 64歩
43角成 56角成…(γ2)


続いて私が繰り出したのはまさかの56馬。
47角に65角と打ち返して戦おうという悲壮感溢れる作戦だ。

ただ、後手は自然に対応しておくだけで問題なさそう。
64歩と催促する余裕すらあるようでは論外だったか…

※47角成に68銀〜16馬が普通。65馬に77銀とできる。


同角 同歩 55角 33角 91角成 99角成
78銀 72銀 77桂 73桂…(γ3)


そこでM渕流を拝借することにした。
55角に対して普通は82銀の一手で、
それなら飛車を取って意外と後手のほうが疲れる展開となる。
(先手優勢かというと決してそんなことはないのだが)

…しかしここで後手に第二の選択肢、33角がある。
対して 同角成 同桂 55角 44角 同角 同歩 43角には45桂があって後手の罠に嵌まるので、
単に香車を取り合うのは仕方ないところだ。

ここで互いの馬を封じあった上図(γ3)が不思議な局面で…
86香には81香、96香~93香垂らしにはそこで84香など、
単純な技を掛けようとすると悉くカウンターを食らう。

先手がこの局面に持ち込んで華麗に勝ちきるには、
充分な準備あるいは持ち時間(または棋力)が必須といえる。


同角 同歩 55角 33角 91角成 99角成
81馬 89馬 55桂 72銀 82馬 42金
73香 同銀 同馬 62金…(γ4)


先手としては桂馬を取り合うほうが自然かもしれない。
72銀や78銀は進んで指したくはない手なのだが、
すると自発的対称性の破れを発生させる55桂が有力になる。

以下は先手の思惑通りに上図(γ4)まで進むのものの…
将来的に桂馬が負担となりそうで意外と良くなっていない。

とはいえ他にも変化は無数に存在する。
ほんと宇宙ってやつは広いんだから困ったものだ。。

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後手はあらゆる乱戦を覚悟しておく必要があるが、
(そういえば記事全体を通して王様が一度も動いていない!)
いずれの変化でも相手の手に対応する側なぶん楽ではある。

そしてこれが何より重要なことだが、
どの変化になっても将棋の奥深さは存分に味わえるはずだ。

Strategy先生、M渕さん、
ご意見ご協力ありがとうございました。



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p.s.
後日「六手目32飛戦法=菅井流うっかり三間」も現れた。
(S先生の創造力には常々驚かされるとともに大変傍迷惑)
…ただ、この54歩は流石に早過ぎる。


26歩 34歩 76歩 54歩 25歩 32飛
22角成 同飛 53角 42銀 86角成 44角
88銀 62王 77銀 72王 68玉 33銀
75馬…(SU)


49金型なので持久戦もある(羽生-菅井の王位戦第三局)が…
33桂を保留されると先手も模様の取り方が難しく、過激派的には馬を作りたい。

そして荒木先生指摘の75馬が、次に65馬~54馬で手順に飛車先へと向かう好守。
一歩を取りつつ逆棒銀を封じれば、後手の主張点がない。


※次回『四手目32飛戦法 #2』


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