中間貯蔵施設見学会
環境省主催、JTB催行の福島ふたばツアーに当選し、福島原発の中間貯蔵施設を見学してきました。Jヴィレッジに集合し、ガイド付きツアーバスに乗って、福島第一原発周辺施設を見学してアンケートに答えるという日帰りツアー。参加費は無料です。※参加したのは2024年3月でした。前年申込時には抽選で落選。中間貯蔵施設見学の際は、福島第一原発が肉眼で見れる場所にも案内してもらいました。福島第一原発は、立入禁止エリアである中間貯蔵施設敷地内からしか見えない立地になっています。貴重な体験でした。真ん中あたりのドラム缶を横に倒したような筒が乗っているのが3号機。その右が4号機、左に大爆発した2号機、1号機が並びます。手前の水色のタンクが、海洋放出するALPS処理水の貯蔵タンクです。その手前、水の張られていないプールのように掘り下げられた一帯が土壌貯蔵施設。この詳細は後述。福島第一原発の廃炉作業については、びっくりするほど進んでいません。使用済燃料プールからの燃料取り出しが完了したのは、4号機が2014年、3号機が2021年の2つだけ。14年経過した2025年現在でも、1号機と2号機の燃料は残ったままです。メルトダウンした原子炉2号機の燃料デブリの試験取り出しが、昨年2024年にようやくできたのみ。廃炉処置の終了目標は30〜40年後とされています。廃炉の状況については、福島県富岡町にある東京電力廃炉資料館を以前にも訪れていたので把握していたのですが、今回のツアーでは、これまであまり意識していなかった中間貯蔵施設の状況について知ることになりました。環境省は、今回のような何十人程度が参加するツアーで意見聴取するだけでなく、もっと全国民に広く周知すべき、と思うような、暗澹たる状況でした。「中間貯蔵施設」とは除染で回収した放射性物質を含む土壌、廃棄物、焼却灰等を、最終処分するまでのあいだ保管しておく施設です。あくまで「中間」なので、20年後の2045年3月までに、福島県外での最終処分を完了することが約束されています。ただし最終処分場がどこになるかは決まっておらず、決まる気配もありません。写真は、除染土壌等が入った土のう袋。事故後によく見られた写真ですが、中間貯蔵施設ではこれを搬入して、処理、貯蔵しています。※図は環境省 中間貯蔵施設情報サイトより引用中間貯蔵施設は、上図のとおり福島第一原発を囲う広大なエリアに設置されています。もとは一般住居や学校もあったエリアですが、事故直後に全員避難となり、以後今に至るも立入禁止エリアとなって住民の帰還は実現していません。住居も家具もクルマも何もかもそのままで、人間だけが忽然と消失した、まるで何かのSFで読んだ人類絶滅後の異世界のような空間。エリア内の民家は撮影禁止のため、写真は原発周辺の国道6号沿いに当時のまま残された自動車ディーラーの看板です。すでに廃番となった車名がいくつも記載されており。事故翌日から予定されていた新車展示会の看板もそのまま。この近辺はコンビニ、ファミレス、ドラッグストア等も当時のまま放置され残されており、ゴーストタウンの異界に迷い込んだ感覚。※後日訪問時にだいぶ整理されていたので、この数年で急速に片付けが進んでいる模様。中間貯蔵施設は、このエリアの土地を買い上げ、または2045年までの期限で借り上げられて設置されています。集約された土のう袋は、ここで土壌とそれ以外にふるいがかけられ、土壌は先ほどの写真の土壌施設に遮水シートを敷いた上から投入され、重機で固められ、遮水シートと覆土を上から被せて保管されています。木材等は焼却処理されて灰となって容積を縮小させた後、鋼鉄のコンテナに封入され、倉庫に山積み。2025年6月末までに収蔵された土壌は約1,201万㎥、東京ドーム約10杯分。灰処理ばいじんを封入した鋼製角形容器は、31,365個が貯蔵されています。ツアーでは、土壌施設上部に案内してもらいました。覆土により、放射線量は規定値内に抑えられているとのこと。測定値を見せてもらいましたが、写真は持参の簡易測定機によるもの。事故後、自宅での測定値は0.15μSv/hくらい。自宅周辺で線量が高いエリアで0.35μSv/hほど。現在は0.06μSv/hで安定。土壌施設上は、事故直後の都内の数値の範囲くらいに収まっているようです。測定値に差があるのは、 遠方に見える森は除染していないため線量が高く、その方向に近付くと影響されて測定値が高く出る、とのゾッとする説明。前掲の中間貯蔵施設エリアの図の左側の灰色部分はいまだ帰宅困難地域、つまり放射線量が高く除染が行き届いていないエリアがまだこんなにもあり。見学ツアーではもう一つ、除去土壌の再生利用検討のための道路盛土実証事業の案内がありました。※写真が見当たらないため、こちらも環境省 中間貯蔵施設情報サイトより引用日本全国の道路等の公共工事で、セシウム等が残る除去土壌を再利用して、盛土等に利用しようという実験場が作られていました。覆土により放射線量を低減させ、課題抽出や経年変化のモニタリング等をしているとのこと。一時期ニュースになっていましたが、実際に再利用する際に現地地域住民の理解を得られるとはとても思えず。あと20年で最終処分場を決定し、この膨大な除去土壌と、より放射線量が高い灰処理煤塵のコンテナを県外に持ち出すこと自体も、到底不可能に思えます。現地見学して実感するのは、中間貯蔵施設の広大さと、除去土壌の圧倒的な物量でした。この処理にかけられている予算と膨大なリソースは、日本にとっての大損失としか思えず。この計画の立案、実施に、官僚、科学者、技術者のリソースが大量に浪費されていることがあまりにもったいなく。科学文明の維持発展のための必要悪、とは割り切れない虚しさを覚えたツアーでした。中間貯蔵施設については、環境省 中間貯蔵施設情報サイトに詳しく細かな資料がたくさん報告されていますので、ご興味のある方はご参照ください。また、中間貯蔵施設の見学会は中間貯蔵事業情報センターで定期的に開催されています。こちらは抽選もなく、無料で見学可能。ここで記載したことが体験できます。後日、知人を伴って再び見学したのですが、参加者も少なく、周知が全く足りていない状況です。ここまで読まれて興味を感じられた方には、強くお勧めできる見学会です。