薬価の高止まり懸念を理由にTPPに反対していた日本医師会が薬価の引き下げに反対 | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

薬の公定価格(薬価)が、全体(約1万8000品目)の約7割で引き下げられ、社会保障費の伸びを1000億円余り抑える方向で最終調整に入り、12月18日に予定されている麻生財務相と田村厚生労働相の閣僚折衝で決定する見通しとなったと報じられています。


読売新聞によると、薬価の引き下げは国民負担が軽くなる一方、医療機関や調剤薬局にとっては収益の減少要因になるため、全品目で見直しを求める財務省に対して日本医師会などが対立していたとのことです。

本ブログでは何度か、日本はTPPに加入した後も薬価が引き下げられ続けていることを指摘してきました。何故ならばTPP反対派の主張の一つが『TPPによって薬価が高止まりし、国民生活を困窮させる』というものであり、現実にはそうなっていないことを示して今でもTPPお化けに取り憑かれている方が一人でも目を覚ましてほしいと願っているからです。

さて、2013年に日本医師会はこのような声明をだしていました。

「すなわち、薬価の高止まりや、民間医療保険会社の私的医療保険拡大による混合診療の全面解禁、また、医療本体に株式会社が参入し、優良顧客(患者)の選別や自由診療の拡大が懸念されるからです。」

そう言ってたよな、日本医師会!!

と思わず激昂してしまうような内容ですが、まさかその日本医師会が薬価の引き下げに反対していたとは夢にも思いませんでした。なお混合診療の全面解禁も株式会社の参入もTPP発効後に全く動きはありません。結局奴等は利権団体でしかなく、国民の生活を山車にして自分たちの利権を維持したいだけということが白日の下に晒されました。
TPPが発効しても薬価は高止まりするどころか2年に一度の薬価改定が2021年からは毎年改定となり、社会保障費の増加に伴い今後薬価の引き下げはますます加速していくでしょう。そして日本医師会は『TPPは薬価の高止まり=引き下げ鈍化が懸念されるから反対』と言っておきながら、実は自分が薬価の引き下げに反対していたという有り様です。

TPP反対派の多くは陰謀論に嵌まったまま日米FTAにも反対していますが、反対を主導してきた連中の実態がドンドン明らかになってきています。彼らの多くがRCEPに対してTPPと同じロジックを適用して反対してこなかったことからも、国民生活ではなく政治的ポジションによって反対していただけなのは明らかでしょう。

『何故TPP反対論者はRCEPに反対しないのか』シリーズ

そろそろ目を覚ましても良いのではないでしょうか。