
ウクライナ危機に安易な妥協は禁物 / 台湾危機には台湾側の視点を忘れない
12月30日、Xでアレクサンドル・ドゥーギンがこのようにpostしました。
That is how our (middle size) Victory looks like. There is big size Victory (without no Ukraine left at all). There is small size Victory (without northern part - except Kharkov) but including Odessa and Dnepropetrovsk. All the rest scenarios are not victory, but rather defeat. https://t.co/ZmZk8IiBt2
— Alexander Dugin (@AGDugin) December 30, 2025
「ロシアの勝利」についての定義なのでしょうが、
ウクライナの領土の半分を手中に収めれば「中規模の勝利」で、
ウクライナ領が全く残らない結果が得られれば「大規模の勝利」、
ハルキウなど北部の一部を除き、
オデッサとドニプロペトロウシクなどが得られれば「小規模の勝利」だとしていて、
それ以外の結果は全て「ロシアの敗北」と言っています。
帝政ロシア末期には、
皇帝一家に近く、影響力を持った僧侶グリゴリー・ラスプーチンがいましたが、
ドゥーギンは彼になぞらえて
「プーチンのラスプーチン」と呼ばれてきました。
政治活動家で、地政学者、政治思想家、哲学者なのですが、
西洋のリベラルな価値観や覇権に対抗する政治思想である
「ネオ・ユーラシア主義」の代表的な人物です。
いわばソビエトの亡霊です。
そんなプーチンに近い人物が、このような認識を示しているということは、
プーチンもこのような考えである可能性があります。
そうであるならば、仮に「東部と南部の4州+クリミア」の割譲で和平が成立しても、
ロシアは何度でもウクライナ侵攻を行うということになります。
なにしろ、「東部と南部の4州+クリミア」の切り取りだけでは、
「ロシアの敗北」なのですから。
トランプは停戦させたがっているように見えますが、
それは、今、モンロー主義とも関係してベネズエラに対し、
開戦に等しい攻撃を行っていますし、
4月に米中首脳会談が調整されています。
面倒なことは減らしておきたい、
「俺が戦争を終わらせた」という功績が欲しいこともあり、
調停を急いでいるのでしょうが、
昨年11月、ゼレンスキーは米が進める調停案について演説し、
私たちの歴史上最も困難な瞬間の一つだ。今、ウクライナはかつてないほどの重圧にさらされている。ウクライナは今、非常に厳しい選択を迫られているのかもしれない。尊厳を失うか、重要なパートナーを失うリスクを負うか。困難な28項目の妥協案か、あるいはこれまでで最も厳しい冬と、それに続く危険か。自由も、尊厳も、正義もない人生。そして、私たちは、既に二度も私たちを攻撃してきた相手を信頼することになるのだ。
と苦悩を吐露しました。
おそらく、現時点での調停案は同じものではないでしょうが、
それでも、「東部と南部の4州+クリミア」での手打ちが織り込まれているはず。
この案だとすると、ロシアはこれまで何度も行ってきたように、
約束を反故にして、ウクライナ侵攻を続けることでしょう。
またもや、鈴木宗男がプーチンの走狗となって、
日本にメッセージを届けたようですが、
それでは、ウクライナの領土も、主権も、
ウクライナの人たちの生命も財産も危機にさらされたままになります。
日本にも「今すぐ戦争を止めるべき」という宥和論者がいますが、
それはウクライナの人たちに苦難を押しつけ、
中国の台湾侵攻を是とすることになりかねないという自覚がないのです。
さて、その中国ですが、台湾を取り囲む大規模な"軍事演習"を行いました。
おそらく、このような行動は4月にあるとされる米中首脳会談までは続くでしょう。
取り引きしたがっているトランプに対するアピールの意味もあるからです。
今のうちに自分たちの手持ちのカードを強化しておきたいのです。
面白いのは日本国内のリベラルを自称する人たちで、
「高市があんな発言をしたから」「中国には敵わないから謝罪しろ」という
およそ、リベラルとはいえない主張を展開しています。
悲しいかな、中国の眼中にあるのはアメリカで、
残念ながら、日本には
中国に大規模"軍事演習"をさせるほどの影響力はありません。
それに、大規模"軍事演習"は石破政権時でも行われていて、
その時には、日本国内のリベラルを自称する人たちは無言でした。
「中国には敵わないから謝罪しろ」なんていうのは、
ロシアのウクライナ侵攻を是認するということです。
軍事力がある国には、何を言われても、
何をされても従っておけということなのですから。
彼らは中国の台湾侵攻を是認するといっているのです。
これまでここでは、
台湾危機が日本の存立危機になりうるとしてきましたが、
それ以前に、台湾の人たちを見捨ててはいけないのです。
中国の台湾への軍事的圧力について考える際には、
台湾の人たちがどうなのかという視点を忘れないようにしなければなりません。
あとは、日米首脳会談が調整されていますが、
そこでは、日米同盟の再確認に加え、トランプの
極東への関与から手を引かないという言質が欠かせません。
第一次トランプ政権では、
中国から米に対し
「太平洋の西半分と東半分」を分けようなどというふざけた提案があったとされますが、
この考えはモンロー主義との親和性もあり、
無視するべきではありません。
日米同盟が我が国の生命線であることを再認識しなければならないのです。

