「あおいちゃんが思うほど、夫婦仲が良いってことでもないわよ、可もなく不可もなく過ごしているだけで、結婚3年目になると、なんとなく倦怠ムードも漂っているわ。三年目の浮気ってよく言ったものね。」とはるちゃんが笑顔で話すので、
「そんなマンネリした気分になっているなら、外で刺激を求めるのもいいかもね。」と僕がその気にさせるように言うと、
「ちょっと、まだ純朴な若妻をそそのかすみたいなことを言わないでよ。だいたい人妻と合コンしたなんて、あなた達は要注意ね。」とあおいが僕と川上を見つめる。
川上が「僕は、あの合コンに誘われて参加しただけだよ。」と言い逃れするので、
「でもその後に参加したママ友グループの一人と深い仲になったんだよね。」と突っ込みを入れると、彼は「だいたいあの合コンは君が当時の彼女とセッティングしていたじゃないか。」と言い返す。
あおいが、「別にその事を責めているんじゃないの。今回は皆、既婚だから、似たようなものだけど、ただ食事を楽しむということにしてね。それにはるちゃんの旦那さんはイケメンだから、彼以上の男性はなかなかいないわよ。」と笑いながら言う。
川上が「でも、イケメンのご亭主だったら、誘惑も多いから心配じゃないの?」と聞くと、はるちゃんは「そうなったら、あおいちゃんみたいに私も不倫するかもしれないわ。」と冗談めいて応える。
過去に僕は新婚の20代の人妻と関係したことがある。彼女は亭主が親離れしないマザコンだった。『前述・コミュニティサイト3-8』
また、子育てが一段落した40代の人妻と関係したこともある。その彼女は真面目な優しい亭主で不満は無かったが、ただ、平凡な人生に物足らなしさを感じてのことだった。『前述・コミュニティサイト1-4』
この二人ともに出来心からの一過性のプチ不倫だったが、このはるちゃんも、自由奔放なあおいの影響を受ければ、どうなるか分からない。
「それで、貴方はその当時の彼女とは今はどうなっているの?」とあおいが興味津々で聞いてくる。
「彼女は、僕と付き合った後に、当時の旦那とは離婚して、再婚し、それからは会ってないよ。」と応える。『前述・ママ友25』
川上が、「そうだったんだ、で、今はどうなの?」と聞くので、僕はあおいと目配せしながら、
「今はあおいちゃんと付き合っているよ。」とはっきり応えると、
「君も相変わらずだねえ、いつも美人ばかりと付き合っていていいなあ。」と羨ましがる。
「彼、僕の経営者クラブの友人の川上君、長年の付き合いだけど、久々に会ったよ。真面目ではないけど、人柄はまあ、安心できると思うよ。」と彼女達に簡単に紹介する。
「真面目ではないけど、ってどういう事?」とあおいが聞いてくる。
「ほどほどに面白みがあって、堅物ではないということかな。」と応えると、
彼が、「なにか得体の知れないような紹介だね。」と言う。
僕は女性達に目をやりながら、
「で、こちらは役所勤めだけど、地味な職場には似合わない華やかさのあるあおいちゃんとその遊び仲間のはるちゃん。他に知りたいことがあれば、おいおい、話しながらでも聞くことにするということで。」と顔合わせ程度の紹介をする。
あおいは「代官山のお店で合コンみたいな出会いなんて、まるでドラマのやまとなでしこの再現みたいね。」とはしゃいでいる。
「でもドラマでは皆、結婚相手探しが目的の独身だったけど、今回は全員既婚者だね。」と僕が水をさすように言うと、
あおいが「別に構わないわよ、ドラマみたいに思惑のある合コンじゃなくて、軽い気分で、そんな雰囲気が楽しめればいいのよ。」と言いきる。
「そうそう、10年ほど前に川上君と何人かで既婚者合コンをしたことがあるよ。あの時は乃木坂のチャイニーズレストランだったね。」と思い出したように話すと、
「へえ~、初耳だわ。まあ、貴方ならありえそうな話ね。」とあおいが興味深そうに僕を見つめる。
「ああ、そうだったなあ、あれから色んな展開があったね。あの後、その時の彼女とはどうなったの?」と川上が聞いてくるので、
「君こそ、どうなったんだ? まあ、大筋はあの合コンの参加者のフラワーショップの女性から聞いてはいるけどさ。」と聞き返す。
現在はSNSが普及し、既婚者合コンも話題になることが多くなったが、今から30年前の当時はまだ、そのような風潮はあまり無かったように思われる。『ブログ前述、ママ友8』
彼との話のやり取りを聞いていたあおいが、
「そんな話題はだめよ。若妻のはるちゃんには良くないわね。」と諌めると、
彼女は「いいわよ、聞いてみたいわ。この先、良くも悪くも参考になりそう。」と興味ありそうな感じだ。
「はるちゃんがよければいいけど、あまり、影響受けないでね。私と違ってはるちゃんは夫婦仲もいいみたいだし。」と気遣う。
後日、設備会社社長の友人に久々に連絡を取り、代官山で女性を交えて食事会をする旨を伝えた。もちろん、彼は思いがけないセッティングに大いに乗り気になり、「二人とも美人なのか?」と聞いてくる。
「それは会ってからのお楽しみだね。」と僕は気を持たせるような返答をする。
「それにしても君は、以前のママ友合コンといい、よく女性を集められるね。」と感心するので、
「あのママ友合コンから10年近く経つけど、君はママ友グループの人妻の一人と不倫関係になり、会社に採用して、社内で身近においていたみたいだけど、その後、どうなった?」と興味本位で尋ねる。
「その事は色々あってさ、また、いずれ話すよ。」とかわされる。
僕は、当時は、社長という立場からして社内の女性とは男女関係にはならない、という信条があって、彼のように不倫相手の女性を会社に入社させるなんてもっての外だと考えていた。
食事会の当日になり、代官山の萬葉庭にあおいと僕は早めに来て、予約していた席についた。
中庭に広がる池に向かって解放された半個室で、植栽された花々がライトアップされ、幻想的な景観が演出されている。
「素敵、期待通りだわ。」とあおいは満足気だ。彼女もその場の雰囲気に合わせたかのように、ドレスアップして胸元が大きく開いた白いキャミソールワンピースにシースルーのロングカーデガンをコーディネートして、色気が零れ落ちるような装いだ。
しばらくして、待ち合わせ時間になり、あおいの友人のはるちゃん、ほぼ同時ぐらいに僕の友人も来る。
彼女は以前にはよく可愛げなカジュアルな服装をしていたが、今回は、薄いピンクのシャーリングのベアトップスにレースのボレロを着こなして、いつもの可愛らしさにも色っぽさを感じさせる。
初夏とはいえ、二人とも似たような肌を露出させた装いは、男性目線を充分に魅了させる。
4人が揃ってテーブルを囲み、笑顔を交わすと彼が開口一番に、
「店の入り口で、綺麗な女の子がいて、僕の前を歩いて行き、同じ部屋に案内されていくので、まさか、と思って驚いたよ。」と満面笑みで話す。
「それって、君が後をつけたんじゃないか? ストーカー並みだね。」と僕が茶化すと、
「いや、そんな偶然にラッキーと思ったよ。」とはるちゃんを見ながら応える。
「その視線がいやらしいんだよね。」とさらに突っ込みを入れると、
あおいが、「貴方、言い過ぎよ、人当たりのよさそうな面白い方じゃない。」と僕を諌める。
当のはるちゃんは微笑みながら、そんなやりとりを眺めている。