劣等感をバネにした稀代の芸術家-セルジュ・ゲンズブール | ネコ人間のつぶやき

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 セルジュ・ゲンズブール。作曲家・作詞家・歌手・映画監督・俳優などマルチな才能を発揮したフランスを代表する芸術家です。

 

セルジュ・ゲンズブールの遺影と元パートナーのジェーン・バーキンと娘のシャルロット・ゲンズブール。

"Jane Birkin,Charlotte Gainsbourg" Photo by Olivier Pacteau

source: https://flic.kr/p/8iPH8p

 

 1928年パリで生まれたセルジュ。両親は帝政ロシアからの移民です。セルジュはキャバレーでピアノを弾いて生計を立てていた父親の厳しいピアノ指導を受けます。

 

 セルジュは幼少期から自身のルックスに強い劣等感があり、それは大人になっても根深くありました。

 

 この容姿にまつわる劣等感はセルジュ・ゲンズブールを語る上で外せないキーワードです。公私両面に果敢に攻め続けるように生きたセルジュの原動力となっていったと言われています。

 

 成長したセルジュはパリのキャバレーでピアノ弾きを始め、そして自作の曲で歌手デビューします。

 

 1967年、当時世界のセックスシンボルだったブリジッド・バルドーと恋仲になります。セルジュはブリジット・バルドーに楽曲も提供していました。

 

 

ブルジッド・バルドー。グラマラスな彼女はポスト・マリリン・モンローと呼ばれました。

"BB" Photo by Stelle Rocio Souza

source: https://flic.kr/p/nwvHFA

 

 

 セルジュはブリジッド・バルドーと別れた翌年に映画で共演した当時20歳のジェーン・バーキンと恋仲になり、その後事実婚に。セルジュはバーキンに楽曲を提供し続け、公私共にパートナーでした。

 

 

ジェーン・バーキン。女優・歌手で彼女もマルチな女性です。セルジュが作詞作曲し、彼とジェーンのデュエット曲で、愛をささやきあう「je t'aime...moi non plus」は有名です。

"Jane_Birkin" Photo by A Other

source: https://flic.kr/p/GiDFKs

 

 

  1971年にセルジュとジェーンのあいだに娘のシャルロットが産まれます。シャルロットの歌手デビューはセルジュとのデュエット「レモン・インセスト」。

 

 ファースト・アルバムもセルジュがプロデュースして、セルジュは娘のシャルロットが世に出るサポートをしました。

 

 

シャルロット・ゲンズブール。彼女も歌手で女優です。パートナーは俳優・映画監督のイヴァン・アタルで3人のお子さんたちのお母さんでもあります。

"Charlotte_Gainsbourg#15" Photo by fervent-adepte-de-la-mode

source: https://flic.kr/p/dSXjFe

 

 

  セルジュは1980年にジェーンと別れ、その後モデルのバンプーと事実婚に。1991年に病でこの世を去りました。

 

・・・

 

 「ゲンズブールと女たち」(2010年)はセルジュの苦悩と破天荒な人生を彼が愛した3人の女性たち(ブリジッド・バルドー、ジェーン・バーキン、バンプー)を通じて描いておりました。

 

 映画ではジェーンと別れた後のすさみようが印象的でした。ジェーンとの暮らしがセルジュにとっていかに大きかったかということでしょう。

 

 セルジュにとって、自身の劣等感と女性という存在が特別な芸術活動の源泉であったことがよくわかる作品でしたね。

 

 セルジュがコンプレクスを感じていたルックスですが、へんに隠さないセルジュからは退廃的な危険さ、かつ艶っぽく、才能豊かな只者ではないムードを漂わせており、独自のダンディズムを感じます。

 

 セルジュは革新的で挑発的、退廃的で官能的、そして芸術の女神たちに愛された男。世紀末の芸術家っぽい感じなのですね。

 

 時代の先を行き、既成概念や保守的な価値観に挑戦し続けたアバンギャルド(前衛的)な人だったと思います。

 

 

セルジュとジェーン・バーキン。大胆で挑発的なスタイルが注目されたのですね。

"“Ugliness is superior to beauty because it lasts...”—Serge Gainsbourg / SML.20130205.SC.NET.Facebook.photo.10151404350224356" Photo by See-ming Lee

source: https://flic.kr/p/dSpnHK

 

 

 セルジュの心にあった劣等感は、彼の反骨精神的なエネルギーとなって努力を続ける力となったでしょうし、ゆえに公私共に常に挑戦的だったのでしょう。

 

 劣等感で卑屈になって小さく縮こまらずに、むしろ自分のオリジナルな美意識の追求、才能の鍛錬と大胆なエネルギーに昇華させたセルジュ・ゲンズブール。

 

 セルジュの創作の源となった劣等感とそこから派生した反骨精神というもは怒りのエネルギーを含んでいるものです。

 

 セルジュのもうひとつの創作の活力であったであろう、女性への強い関心の源泉はエロスですね。

 

 こう考えると、セルジュの創作エネルギーの源は怒りとエロスだったように想像します。それらが彼の官能的で挑発的な作風と、彼の生き方につながったようにも思いますね。

 

 セルジュ・ゲンズブールと女性たちは互いにインスパイアし合う関係だったと思います。セルジュの創作意欲を彼女たちは高めてくれていたのでしょう。

 

 そして、セルジュ・ゲンズブールが愛した女性たちに自分の才能を惜しみなく分け与えて彼女たちの魅力を引き出して支えたという彼の生き方もまた、彼が今も語り継がれている所以なのだと思います。

 

 セルジュ・ゲンズブールの生き方に共感するかどうかは別にして、彼のように、劣等感を長所に転換する力強さは見習いたいものですね。

 

セルジュ・ゲンズブールが眠る場所

"Serge Gainsbourg's grave" Photo by Sarah Stierch

source: https://flic.kr/p/ehsbFv

 

 

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