駅前信号
『駅前信号』
明鏡ゆらぎ
駅前信号の手前で
足元に揺れる
水たまりに映った
青空に低雲
慌てて空を見上げて
雪がふわふわ
雨よりもスローな落下
心地良い程に 距離感が合わない
いつも撫でてくれる 何もしてないのに
見つかる度に 笑顔だから 嬉しくなる
僕の思考と想いとでは
僕の身体への伝わり方が違う
あなたを見かける度に
思考を通ることなく
自然に僕のしっぽは揺れる
駅前信号の手前で
あなたを見つけた
いつものように揺れる
僕のしっぽ
いつものように僕を撫でた
あなたは少し
いつもより小さな笑顔で
どこか寂しそう
言葉を出さないまま 僕に語りかけてくる
あたなの痛みが僕に直接伝わってくる
僕とあなたとでは
心の伝え方が違う
あなたの気持ちを知った僕は
気付けば目一杯身体を擦りよせて
いつものあなたが見たくて
いつもよりも大きくしっぽを振る
カタチのない部分を
言葉と言う記号を使って伝え合う種族だから
見えなくていいところが隠せる代わりに
解って欲しいところまで隠れてしまう
すべてが見えた方が良い訳ではではないだろうけど
なんとなく面倒な生き物の類
複雑に絡み合う壁の向こうを
本当は誰かに気付いて欲しいと思っているのに
半端に気付かれることをとても嫌っている
いつも何かを背負って 生きているのだろう―。
あなたは ふと しゃがんで両手で
いつもより強く くしゃくしゃに撫でるのは
頼っても何も出来ない僕に
どこか頼ってる 心が伝わり出すから
僕は全身を使って あなたの気持ちを
裏切らない
立ち上がりあなたの手が離れたから
慌ててあなたの顔を見た
優しい目が話してる ありがとうって
何もしてないのに
僕のしっぽは揺れたまんま
どしゃぶりの駅前信号の手前で
あなたを見つけた
裾が濡れるのも気にせず
僕に駆け寄る
慌てて傘で隠れた顔を見上げた
いつもの笑顔
僕は雨も気にしないで
全身で吠えた
我慢が出来ず武者振い
激しく揺れるしっぽで
雨がきらきら
僕の眼に映った
僕の大好きな笑顔もきらきら。
宝物の受け取り方
。
『宝物の受け取り方』
明鏡ゆらぎ
おもちゃ屋さんの前で 駄々をこねて
買ってもらった 超合金のロボット
その日のうちに 砂場で遊んで壊した
また拗ねて泣き顔の僕に
おばあちゃんは 何故か嬉しそうに
全然 怒らず 微笑んで僕を眺めていた
カタチのない 大切なモノを
受け取っているんだよ君は
今の君には まだ気付けない大き過ぎて
まだ気付かなくてもいいんだよ
今の僕が 今になってから
受け取るために 温もりは残っていたから―。
小学生ほんのちょっとのことで
掴み合い そしてすぐに絶交
次の日には仲直り また同じ場所で遊んでる
だんだんと遊ぶグループが 大きくなったり
小さくなったりして 仲間が増えたり
転入生が来たら 真っ先に仲間へご招待
カタチのない 大切なモノを
受け取っていたんだよ君は
今の君には まだ気付けない大き過ぎて
いつの日にか 記憶以上になるから
その時はそれでいいんだよ
今の僕が 今になってから
受け取るために 温もりは残っているから―。
誰かと出会い 何かと出会う度
無意識に手渡されている「何か」があって
その時の自分ではまだ気付けないけど
色褪せたり冷めたりすることなく
いつかの君が 気付ける時が来るから その時に
初めて 受け取ることが出来る モノがある―。
カタチのない 大切なモノを
受け取っているんだよ今も君は
今の君には まだ気付けない大き過ぎて
だけどまだ 気付かなくてもいいんだよ
今の僕が 今になってから
受け取ったこれからも
温もりは残っていく
大切にまた 大切な誰かに
手渡しながら
手渡されながら
未来で受け取る宝物は増えていく―。



