出来る事なら、根治したいと願われました。
しかし、訪れられたどちらの病院でも、
「切れない。」
と言われたそうです。
確かに全身転移がこの状態で原発巣を根治切除しても、生存率の延長は望めませんので、私も賛成しません。
しかし、
「原発巣を切除すること」
が目標では無く、
「無病状態に到達すること。」
が目標なら、ご提案出来ることはありました。
現病院では、おそらく命に関わる状態と判断されていたのでしょう。
内分泌療法ではなく、化学療法から既に治療を開始されておられました。
既に、セカンドライン(二つ目の化学療法)に移られていました。
ご提供いただいた画像を詳細に検討させていただきました。
印象としては、決して悪いものではありませんでした。
治療は良く奏功されていました。
ただ、治療により転移巣が全て消失しているまでには至っていませんでした。。
主治医から、
「治療がとても良く効いていますよ!」
と告げられても、治療を開始する前に、
「転移しているから、たとえ治療が奏功したとしても、治ることはない。」
とか、
「効いている間は同じ治療を続け、効かなくなれば別の治療に変えていきます。
使える薬剤がなくなれば、積極的治療は終了し、後は緩和治療になります。」
と告げられていると、たとえ奏功していたとしても、治療が効かなくなった時のことが頭をよぎり、心から喜べないそうです。
確かに良く奏功し、腫瘍が小さくなり、その状態を長く維持出来れば、多くの方で延命が期待出来ます。
しかし、やがてその治療の効果が無くなり、がんが増大してくれば、治療抵抗性を獲得し、多くがより悪性のがんに変わり、その後の様々な治療が効きにくい状態に変わっていきます。
「根治」
を望まれる方にとっては、たとえ今治療が良く効いていたとしても、それは自らが望むゴールでは無く、またゴールへ向かう道半ばにはなり得ないのだそうです。
私は現状と、無病状態を目標とした場合の私の治療戦略をお伝えし、セカンドオピニオンを終えました。