the east sky

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いつの日か、すべての進行乳がん(切除不能乳がん・転移乳がん・再発乳がん)が根治する日を願っています。

進行乳がんの根治を目指す治療法を検討する際に、臨床試験を根拠にする事の弊害と言いますか、問題点につい考えました。



①そもそも転移・再発乳がんを対象とした臨床試験において、根治・完全寛解・無病状態 (no evidence of disease)等を評価項目(エンドポイント)とした臨床試験が存在しない。


よって、臨床試験のみを判断の根拠として、複数の医師が投票して推奨を決定するガイドラインには、根治・完全寛解・無病状態を目指したい患者さんに対する治療の推奨がなされる可能性はほぼ無い。


つまり、ガイドラインのみを参考にしたり、その推奨治療(いわゆる標準治療と呼ばれる治療法)を厳密に行えば、根治・完全寛解・無病状態に到達する事は無い。



これは、たとえ統計学者が加わって、信頼性の高い臨床試験を計画しても、そもそも根治を目指した臨床試験を組む事すらしていない為に、根治の方法を臨床試験で見つける事は出来ません。



②2群や3群等に均等に分けた集団に対して、「どちらの治療法がより有効か」や「どちらの治療法がより安全か」と言った臨床試験で検討される方法で、転移・再発乳がんが根治・完全寛解・無病状態にまで到達する可能性のある治療方法はまず無い。



これは、やや基礎医学的知識が絡んできます。


元々、転移乳がんの多くが、悪性化(多剤耐性化)していたり、血流が乏しく、薬剤が到達し難い状態になっている事が多いのですが、それらの言わばがんの状態がほぼすべての臨床試験で考慮されていない事に言及しています。



たとえ統計学的に信頼性が高くても、基礎医学的観点や生物学的見地から考えて、その治療自体が明らかに根治・完全寛解・無病状態まで到達し得ない方法であるなら、その臨床試験から根治を目指す治療に行き着く事はありません。




そしてさらに、基礎医学的観点から、私が最も憂慮している点があります。



それは、多くの臨床試験で本当に「均等に2群に分けられている」のか、と言う点です。



一見、均等に2群(あるいは3群等)に分けられている様に見えても、


「2群に分ける段階で、生物学的に実は、全く異なる2つのがんが混ざっている集団である、という事が考慮されていない」


事が、万が一起きているとするなら、その臨床試験は


「均等な2群に分けて治療法を検討」


していない事になります。



つまり、臨床試験の大前提である土台が崩れてしまう可能性が生じます。



どんなに統計学者が、統計学的に信頼性のある臨床試験を計画しても、基礎医学的知識をしっかりと持った臨床医が、均等に分ける項目を正確にピックアップしない限り、この様な事が起こり得ます。