乳がん再再発、肺転移、その後 | the east sky

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いつの日か、すべての進行乳がん(切除不能乳がん・転移乳がん・再発乳がん)が根治する日を願っています。

40歳代、ルミナルタイプ、術後10年経過後に遠隔リンパ節転移再発された方がおられました。


出来れば治りたい、との明確なご希望があり、無病状態を目指した治療をご提案しました。




そして、およそ7ヶ月の点滴抗がん剤を中心とした、全身薬物治療を集中的に行い、遠隔リンパ節転移が全て消失あるいは縮小した段階で、右頚部リンパ節領域に放射線照射を行いました。

その後、副作用のほとんど無い経口抗がん剤と内分泌療法を中心にメンテナンス療法を行なってきました。


再発治療開始後、4年8ヶ月以上経過しますが、遠隔リンパ節転移は全て消失あるいは縮小を維持し続けています。


しかしこの方は、遠隔リンパ節転移に対する再発治療開始から3年7ヶ月後、遠隔リンパ節転移が全て消失し、メンテナンス療法に変えてから3年後のフォローアップCTで左肺転移を認めました。



この時、私が選んだ治療は「外科的切除」でした。


呼吸器外科の先生にお願いし、胸腔鏡下左肺部分切除術をしていただきました。



その後、再度当方初診時に行っていた全身治療を行った後、別のメンテナンス治療を行っています。



術後1年経過後のCT画像です。



切除部をはじめ、その他の部位にも肺転移は認めておりません。



PET画像です。



この方は、初回手術後10年目に遠隔転移再発され、私の所にお越しになられました。


「まだ今は死ねない。


出来れば治りたい。


根治したい。」


と強く願われました。



根治を目指した治療を開始し、およそ7ヶ月で遠隔リンパ節転移は全て消失しました。


しかしそのおよそ3年後に肺転移が出現しました。



その時はとても落ち込まれました。



しかし、また気持ちを持ち直され、


「ここでまだ死ねない。


治したい。」


と、再度立ち上がられ、肺転移に真正面から立ち向かわれて克服されました。



この方は、再発から4年8ヶ月後の今日を、無病状態で明るく元気に過ごされています。



今後、また再燃してくるかどうかは分かりません。



しかしたとえその様な時が来たとしても、この方が自分の意志で、


「出来れば治したい。」


と望まれるなら、私は自らの持てる知識と技術と経験をフルに働かせて共に立ち向かうつもりです。



※ただ、私はまだ全ての進行乳がんを治す事は出来ません。一般的に、治療が入っていればいる程、再発してからの治療期間が長ければ長い程、無病状態に到達する可能性は限りなく低くなると考えています。私は全ての進行乳がんの方の治療が、良き方向に向かわれる事を心より願っていますが、私が治療を望まれる方すべてにご対応出来ない事をご理解いただければ幸いです。


※治療に関するお問い合わせをいただく事がありますが、こちらは私の個人ブログであり、直接個別の治療のご質問に対応させていただいていません。私はそれぞれの患者さまとそれぞれの主治医の先生との関係をとても大切に考えています。治療上の疑問は主治医の先生にお問い合わせいただければ幸いです。大変申し訳ありませんが、ご理解の程よろしくお願い申し上げます。ただ、一般的なご質問に関しては、ブログの中で可能な範囲でこれからも取り上げさせていただければと考えています。