月ヶ瀬小春のブログ -83ページ目

実話になるかもしれない作り話ショートショート「DNAは知っている」④

 日本で発生した巨大地震で世界中が混乱しているさなか、ロシアの小さな村。1人の男があわてて家から飛び出してくる。そして警察に電話をかける。
ロシアの男:「もしもし。すぐに来てくれないか。村人がみんな死んでいるんだ。」
 同じ頃、アメリカの世界の気象や自然災害を調査研究している機関では、人工衛星を使って、日本の状況や各国の津波被害の様子を調べていた。
職員1:「ああ。こいつはひどいな。」
職員2:「特に原子力発電所があった場所は全部破壊されて、地形が変わっているよ。」
職員3:「日本の原子力発電所は、海に面した場所が多いな。日本は地震が多いのに、なんでこんな場所に原子力発電所なんか作ったんだろう?」
職員4:「あれ?おい。ちょっと来てくれ。」
職員1:「どうした?」
職員4:「各国の津波の被害状況を見ていたんだが、衛星がその途中シベリアを通過したときにおかしなものが見えたんだ・・・・・ああ、ここ。地形が変化しているんだよ。」
職員2:「本当だ。この地形の変化は、クレーターだな。隕石の衝突か?」
職員3:「隕石は、ここ最近全然観測されていないから、それはあり得ないよ。」
職員4:「以前はこんなもの無かったのに。前のデータ・・・・・あった。このクレーターができたのは、1ヶ月前・・・」
職員1:「日本が死んだ日と同じ時期にできたというのか?」
職員2:「隕石の衝突じゃないとしたら、こいつは一体・・・・・」
 ロシアの村では、警察が村を調べていた。
ロシアの男:「俺の弟がこの村に住んでいるんだが、何の連絡もないので気になってこの村に来たら、村人がみんな死んでいたんだ。この村で一体、何があったんだ?」
警察官:「それは我々が調べることだ。君はもう帰っていいぞ。」
ロシアの男:「ああ。わかったよ。」
 ロシアの男が車に乗り、村を離れる。すると警察官は、部下に何かを指示する。うなずいた部下は車に乗り、ロシアの男の後を追う。
 翌朝、手塚は新聞を読みながら朝食を取っていた。新聞には日本の巨大地震の関連記事が載っていて、その横にシベリアの地形の変化に関する記事も乗っていた。記事には地形の変化の原因は「大規模な火災」と書かれていた。

実話になるかもしれない作り話ショートショート「DNAは知っている」③

 そこに電話がかかってくる。
手塚:「もしもし?」
レイチェル:「パパ、聞こえる?」
手塚:「レイチェルか?どうしたんだ、急に。」
レイチェル:「日本で大きな地震が起きたんだって。西海岸全域に津波が来るからって、避難指示が出たのよ。」
手塚:「何だって!」
レイチェル:「今、空港にいるの。そっちに着いたらまた連絡するわね。」
 と言って、電話が切れる。
手塚:「レイチェル!レイチェル!」
女性スタッフA:「どうしたんですか、先生?」
手塚:「日本で、地震が発生して、西海岸全域に避難指示が出ているそうだ。」
 スタッフたちは動揺する。その時パソコンを見ていた女性スタッフBが、
女性スタッフB:「あったわ。日本で巨大地震が発生したとあります。太平洋と日本海周辺の国と地域に津波が押し寄せる可能性があると出てます。」
手塚:「太平洋と日本海の周辺地域?」
 手塚は女性スタッフのパソコンに駆け寄る。パソコンサイトには日本で発生した巨大地震のニュースが大きく報じられていた。画面には日本地図が映っていて、地震が発生した箇所が表示されている。
手塚:「何てことだ・・・。日本列島すべてで地震が起きている。」
デビッド:「と、いうと?」
手塚:「日本には、日本列島を取り囲むように震源が存在しているんだが、この地図を見ると、日本にあるすべての震源が同時に地震を引き起こしたようだ。」
デビッド:「日本は、どうなるんです?」
手塚:「おそらく、日本は・・・・・・・。」
 手塚は目に涙を浮かべ、声を詰まらせる。
 その日、アメリカのメディアは日本の巨大地震に関するニュース一色だった。日本のテレビ放送のチャンネルはすべて砂嵐が映っている。パソコン、携帯サイトも通信不能になった。数時間後、日本海、太平洋沿岸部の国や地域に津波が到達。各地に甚大な被害が出た。
 日本政府からは救助の要請が来なかった。アメリカ政府が日本政府と日本の米軍基地に連絡を試みたが、全く通じなかった。
 手塚は自宅で荷造りをしていた。妻と娘のレイチェルが心配そうに見ている。
レイチェル:「パパ。本当に日本に行くの?」
手塚:「今、日本に行かないでどうする。」
妻:「あなた、電話です。」
手塚:「もしもし?」
 電話を受けた後、手塚は愕然とする。
レイチェル:「パパ、どうしたの?」
手塚:「アメリカ軍が、無人の偵察機や人工衛星を使って調べたら、日本にある原子力発電所がすべて破壊されていたそうだ。大気中からは高濃度の放射能も検出された。日本には、もう入ることはできない。」
レイチェル:「そんな・・・・・・。」
手塚:「俺の故郷が・・・・・・・・。」
 日本政府との連絡が取れないまま1ヶ月が過ぎた。国連は、日本に対し、最悪の判断を下した。そしてアメリカでは、日本で巨大地震が発生した日のことを、「日本が死んだ日」と呼ぶようになった。

実話になるかもしれない作り話ショートショート「DNAは知っている」②

 午後、スタッフルームで手塚はスタッフたちと休憩を取っていた。
男性スタッフA:「腹違いの兄妹や生き別れの兄妹、自分の父親の子供を産む娘、恐ろしい時代になったな。」
女性スタッフB:「そういえば、いつ頃の番組だったか忘れたけど、人工授精で生まれた男性が自分の父親を探す、っていう内容のドキュメント番組があったのよ。番組がいろいろ調べて、結局父親は見つからなかったんだけど、その男性には他に男性と女性の腹違いの兄弟がいることが分かったの。」
デビッド:「ということは、1人の男性の精子を、複数の女性が使用したっていう事だよな。」
女性スタッフB:「番組は、兄妹が見つかって良かったっていう事でハッピーエンドになっていたけど・・・」
女性スタッフA:「番組に出ていた人は、番組の調べで兄弟がいることが分かって、兄妹として再会したみたいだけど、人工授精で出産した人のほとんどは、自分の子供に腹違いの兄弟がいるっていうことに気づいていないんじゃないの?」
手塚:「人工授精だけじゃない。里親に出された子供も同じだよ。自分を産んだ親が誰なのか、兄妹がいることも知らずに成長しているんだ。善意のための里親制度にこんな落とし穴があったとはな。」
女性スタッフA:「それが、子供が生まれてこなくなった原因でしょうか。」
手塚:「そうとは言い切れないが、俺にはもう1つ気になっている事があるんだ。」
デビッド:「まだ何かほかに原因があるんですか?」
手塚:「それが原因と言っていいのかどうかはわからないが、17年前、アメリカ政府が同性婚を認める判断をしただろ?」
男性スタッフ:「そういえばそんな事がありましたね。」
手塚:「あの時は大変な騒ぎになったよ。俺は正直、政府の判断はとても恐ろしかった。思えばその時からなんだよ。子供が生まれてこなくなったのは。その年にうちの病院に来た妊婦はすべて死産だったんだ。」
デビッド:「じゃあ、やっぱり原因は・・・・・。」
手塚:「今まで多くの妊婦の家族に検査結果を説明してきたが、最近、俺たち医者は、気付かないところでとんでもない大罪を犯してしまったのかなと思うようになったよ。」
女性スタッフA:「先生・・・・・。」
デビッド:「あれっ。」
手塚:「どうした?」
デビッド:「日本のインターネットサイトが見られなくなったんです。」
手塚:「どういうことだ?」
女性スタッフB:「こっちもよ。日本企業がプロバイダのサイトが通信不能になっているんです。」
手塚:「日本で何かあったのかな・・・・・」