thackeryのブログ -228ページ目

次元とは何か(3 完) 

今迄、 物理学者或いは数学者達が捉えた1次元、 2次元、 3次元、 4次元、 更に5次元の世界について述べてきた。 これは何も荒唐無稽な話ではなく、 宇宙飛行が現実のものになっている今日では、 皆耳を傾けたくなる話題と考える。 理論自体は難しいとしても、 「重力」とか、 「電磁気力」という用語は一般学校教育で出て来る言葉である。 そこで、 「物理学の完成には、 『第5の次元』が必要だ。」という話をしたく思う。 現在知られている基本的な四つの力である重力(1)、 強い力(2)、 弱い力(3)、 電磁気力(4)は果たして統一できるであろうか。 これら四つの力は、 宇宙が誕生したときには一つの力として存在していたものが、 宇宙の歴史の中で徐々に枝分かれしたものだと考えられている。 この枝分かれを遡るようにして、 異なる力同士を一つの力として説明しようとする取り組みが「力の統一」である。 1960年代には電磁気力と弱い力を統一する「電弱統一理論」が発表され、 1970年代には強い力も統一する「大統一理論」が登場したが、 重力をも統一する「究極の理論」(万有の理論とも言われる)の完成には至っていない。 ニュートンは、 リンゴを地面に落とす力と、 地球と太陽の間にはたらく力とが、 同じもの(万有引力=重力)であることを示した。 またイギリスの物理学者ジェームズ・マクスウェル(1831~1879)は、 電気の力と磁石の力を「電磁気力」として統一した。 そして現代の物理学者達は、 最も基本的な力である「重力」・「電磁気力」・「強い力」・「弱い力」の四つを、 たった一つの力として説明することを目指している。 この取り組みが力の統一であり、 その完成は物理学者達の究極の夢である。 ※「強い力」:原子核に含まれる陽子はプラスの電荷を帯びている。 このため、 陽子同士は電磁気力によって反発する。 この反発力に負けずに原子核をひとまとめにしておくためには、 電磁気力に勝る力が必要。 この力を「強い力」と呼ぶ。 強い力を伝える素粒子を「グルオン」と呼ぶ。 ※「弱い力」:中性子を陽子に“変身”させる力。 放射性元素には、 中性子が陽子に変り、 電子とニュートリノが放出される現象(ベータ崩壊)が起きるものがある。 このベータ崩壊を起こす力が弱い力である。 弱い力を伝える素粒子は「ウィークボソン」と呼ばれる。


さて、 「究極の理論」の完成は物理学者達に任すとして、 我々一般人がこの物理学の世界に学ぶことが多いのではないだろうか。 つまり、 「人間社会の理論」、 皆が幸せに暮らせるための理論を打ち立てることが、 宇宙飛行に負けず劣らず重要なのではないかと思うのである。 その知恵を見出したくて、 筆者も宇宙理論を勉強しているのである。 手がかりを見つけたくて。


完。

次元とは何か(2) 

つづき


●ヘルマン・ミンコフスキー(1864~1909)
→ 特殊相対性理論は、 「光の速度」だけを絶対的な基準とする。 ドイツの数学者ヘルマン・ミンコフスキーは、 光の速度を基準にした時空図を描いた。 ミンコフスキー図では、 時間軸の1目盛りが1年なら、 空間軸の1目盛りを1光年(光が1年で進む距離)と定める。 その結果、 光の進む軌跡は、 傾き45度の円錐として表現される。 これを「光円錐」と呼ぶ。 全ての運動は光速を超えない。 そのため、 「現在(図の原点)に影響を与える過去の出来事」と、 「現在が影響を与える未来の出来事」は、 全て光円錐の内部におさまる。


●アインシュタイン(1879~1955)← 再登場(一般相対性理論説明のため)
→ 特殊相対性理論発表後も、 アインシュタインは自分の理論に満足していなかった。 特殊相対性理論は、 ニュートンのいう万有引力、 すなわち「重力」を扱うことのできないものだったからである。 そして、 重力を扱うことができるだけでなく、 重力そのものが何故生じるのかを根源的に説明する理論、 「一般相対性理論」を完成した。 一般相対性理論は、 重力の作用を「4次元時空の曲がり」(3次元空間の曲がりと時間の遅れ)として説明する。 「地球が存在すると、 そのまわりの4次元時空が曲がる。 そこにあるリンゴは、 4次元時空の曲がりに従って、 いわば坂道を転がるようにして地球に向っていく。」 直線と曲線はどちらも1次元である。 平面と曲面はどちらも2次元である。 3次元空間や4次元空間にも、 まっすぐな場合と“曲がった”場合がある。 その曲がり具合こそ、 重力の正体である。 地球の表面は2次元の球面である。 しかし、 我々ヒトにとって地球は余りにも大きく、 地面はほとんど平らに感じられる。 同様に、 4次元空間も曲がっているのだが、 その曲がりは余りにも小さい。 そのため、 我々がその曲がりを実感することは難しい。


●テオドール・カルツア(1885~1954)
→ アインシュタインを超える発想の持ち主が現れた。 ドイツの数理物理学者、 テオドール・カルツアである。 彼は、 「『第5の次元』を追加すれば、 重力だけでなく、 電磁気力さえも時空の曲がりとして説明できる。」と唱えた。
●オスカー・クライン(1894~1977)
→ 更に、 「第5の次元など、 この宇宙のどこにあるのか。」というアインシュタインの投げかけた疑問に答えるべく、 スエーデンの理論物理学者、 オスカー・クラインが現れた。 彼は、 「第5の次元は、 3次元空間の各点に小さく丸めこまれている。 その大きさは余りにも小さいため、 誰もその存在に気づかないのだ。」と唱えた。
⇒ カルツアとクラインが考えた「5次元時空」: 4次元時空を構成するミクロの1点1点に、 「第5の次元」が存在すると考える理論で、 電磁気力を伝える波、 すなわち「電磁波」の正体が、 第5の次元方向に生じた時空の波であると説明する。


●リサ・ランドール(1962~ )47才女性
→ 今、 科学者達の注目を集めている仮説、 それはアメリカ、 ハーバード大学のリサ・ランドール教授(ラマン・サンドラム博士と共同発表)による「ワープした余剰次元モデル」。 「余剰次元(extra dimension)とは、 カルツアとクラインが考えた『第5の次元』のように、 4次元時空に含まれない(空間の)次元全般を指す。 この宇宙には少なくとも第5の次元があり、 我々のブレーン(高次元空間に浮かぶ膜のようなもの=宇宙)ともう一つのブレーン(並行宇宙)との間を隔てていると考える。 このモデルの最大の特徴は、 第5の次元が『ワープ(曲がっている)と考える点。 この条件によって、 『重力が他の力に比べて小さ過ぎる』といった問題が解決できると考える。』


⇒ 上記リサ・ランドール博士も、 2008年9月10日に稼動し始めた巨大粒子加速器「大型ハドロン衝突型加速器(LHC)」(スイスにある欧州合同素粒子原子核研究機構(European Organisation for Nuclear Research、CERNによるもの)の実験結果を「大型ハドロン衝突型加速器(LHC)での陽子衝突の結果として、 カルツア=クライン粒子(重力子)の崩壊が検出されれば、 第5の次元の存在が確認できる。」と心待ちにしている。


― - - つづく

次元とは何か(1) アインシュタインは、 この宇宙を「4次元時空」と呼んだ

アインシュタインは、 この宇宙を「4次元時空」と呼んだ。 縦・横・高さをもつ3次元空間に加え、 「時間」を「第4の次元」だと考えた。
そんなアインシュタインの宇宙観を超えるいくつかの理論が、 今、 科学者達の大きな注目を集めている。 それらの理論はこう主張する。
『宇宙には、 「第五の次元」が存在するかも知れない - - - 』と。


アポロ11号による人類初の月面着陸から始まり(今年は40周年)、 今では宇宙ステーションで実験棟を組み立て、 4ケ月近く宇宙に滞在し、 実験をするまでに発展してきた。 こういった宇宙での経験がGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)、 携帯電話等を生み、 地球上の我々の生活に寄与している。 
この宇宙開発の基礎には「理論物理学」の存在がある。 2008年9月10日に稼動し始めた巨大粒子加速器「大型ハドロン衝突型加速器(LHC)」(スイスにある欧州合同素粒子原子核研究機構(European Organisation for Nuclear Research、CERNによるもの)は素粒子の研究史上最大の粒子加速器で、これにより宇宙の起源が解明され、 まだ見ぬ「第五の次元」の存在を実証できる可能性があるという。
それが実証された暁には、 コペルニクスの地動説や、 アインシュタインの相対性理論の登場に匹敵する衝撃が、 人類にもたらされるといっても過言ではない。


それでは、 時系列的に、 空間や図形の広がり具合や複雑さを表す概念である「次元(dimension)」の認識の歴史を辿ってみることにする。


●プラトン(前427~347)
→ 「私たちは影しか見ていない」。 プラトンはこの言葉を通じて、 壁から洞窟の外へと視線を転じ、 「真実の知(イデア)」を求めよと説いた。 このプラトンの言葉は、「この宇宙が本当は何次元なのか」という壮大な謎に挑む上でも、 極めて重要な意味を持つ。


●アリストテレス(前384~322) 
●ユークリッド(紀元前300年頃)
→ 次元という概念は、 空間や図形の広がりや複雑さを示すものとして、 古代ギリシャ時代から既に知られていた。


●デカルト(1596~1650)
→ デカルトが確立した「座標」の概念に基づけば、 「次元」とは「1点の位置を決めるために必要な数値の個数」と定義できる。 次元の数は、 点が動くことのできる軸の数(自由度)とも一致する。


●ニュートン(1642~1727)
→ 「空間と時間はどちらも絶対的であり、 それらの尺度は誰にとっても共通である。」と唱えた。


●アインシュタイン(1879~1955)
→ ニュートンの唱える「空間や時間が立場によって食い違うこと等あり得ない。」という物理学の常識を覆す革命的な理論「特殊相対性理論」をアインシュタインが打ち立てた。 「この宇宙で絶対的なものは光の速度だけである。」と考え、 「立場によって、 空間や時間は、 伸びたり縮んだりする。」という結論に達した。 そこでアインシュタインは、 この宇宙が持つ3次元空間と1次元の時間を一体のものと見做して、 「4次元時空」と呼んだ。 時空とはspace-timeの訳語で、 「空間と時間を合わせたもの」という意味である。


― - - つづく