『影の軍隊』 (1969) ジャン・ピエール・メルヴィル監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~

 

1942年、ナチス占領下のフランス。対独レジスタンスの活動家フィリップ・ジェルビエは、ドイツ軍に逮捕され収容所に送られる。後日、ゲシュタポに連行された際、一瞬のすきをついて脱出に成功した彼は、マルセイユへ逃亡。仲間たちと合流し、自分を密告した同志を処刑する。活動の一環でイギリスへ渡ったジェルビエのところへレジスタンス活動の盟友フェリックス逮捕の一報が届く。彼を助けるためジェルビエは救出作戦を開始するのだが。

 

レジスタンスを扱った映画は多くある。一番の名作として思い浮かぶのが『アルジェの戦い』(1966年)。やはり武力において圧倒的に不利な民間人が、大義のために理不尽な権力と戦うという構図が作品としやすいということだと思う。

 

レジスタンスの闘士を英雄視する作品が多い中で、第二次世界大戦中の対ナチス・フランス・レジスタンスを扱ったこの作品は少々毛色が違っている。まずこの作品に登場する彼らは、自分たちの力だけでナチスの圧政に対抗したわけではない。彼らの役割は、ナチスに屈していない軍事大国イギリスを利する諜報活動がメインである。ゆえに、主人公が渡英の際にはイギリスの潜水艦に乗っていくし、フランスに戻る際もイギリス輸送機からパラシュートで降下するという塩梅である。

 

そして更に毛色が変わっているのは、彼らの行動があまりヒロイックでないことである。それは同士の粛清という状況が一度ならずとあり、その悲劇的運命は登場人物全てに例外でないことがエンディング・ロールで語られる。

 

主人公は度々ゲシュタポに逮捕されるが、自力で逃げだしたり、仲間に助け出されたりする。その成り行きが少々ちゃちに感じるところが、ミリタリー物としては興が削がれるところではある。しかし、レジスタンスを扱いながら、彼らを単純にヒーローとしていない稀有な作品として見どころはある。かなりシニカルでダークな作品。

 

★★★★★ (5/10)

 

『影の軍隊』予告編