haruのブログ~争いはいらない ほしいのは愛だけ~ -21ページ目

思いが重なるその前に③

「…ただいまっと」


宿舎の玄関で独り言ちながら靴を脱ぎ、足音を忍ばせて廊下を歩き、急ぐともなく奥へ進む。


普段は人で溢れている感満載のこのリビングも、今はがらんとしていた。


…案外、ユチョンぐらいは作業明けの一服を、ここでしているかもと思ったが、さすがにこの時間…午前三時を過ぎると皆眠っている。



「…だよ、踏んづけるだろ」


ジュンスが使っていたらしいゲームのコントローラーを跨ぎ、キッチンへ入る。


きちんと片付いたシンクに一つだけ残ったコップ…ジェジュン、眠れなくて眠剤飲んだのか?


そしたら明日は俺が起こしてやらなきゃ、だな…けど、こんな時間に寝て、俺が起きれるだろうか?


ここのところ…ふさぎ込む、と言うほどでは無いものの、何か悩んでいる感じは在った。


ミネラルウォーターのボトルを冷蔵庫から取り出して、喉を鳴らして一気に飲む。


「…よし」


ペットボトルをシンクにそっと置いて、俺は部屋に戻った。


明日は起こすのは無理でも…少し早起きして、手伝いながら話を聞いてやろう。


…そうやって、あいつとの距離が、もっと近づいたら嬉しい。


勢い込んで三時間後に携帯のタイマーをセットすると、俺はすぐにベッドに潜り込んだ。


同室のチャンミンが不在なのを、さして気にも止めずに。



思いが重なるその前に②

「ユノが帰って来るまで起きてたい…」

なんて。


どういうつもり?


お前のその気持ちは、どういう意味合いのもの?


普段は、誰よりも早寝なのに、ユノヒョンが不在の時だけはゲームを口実に、頑張って起きてるのはどういうこと?


「…けど、オレが持たないでしょ?」


やんわりと、脆弱なオレの体調を持ち出して、ベッドに並んで腰掛けさせると


「だったら、煙草やめればいい」


珍しく、ぴしゃりと言い返された。


不意打ちを食らった気分で黙り込むオレ。


気まずい沈黙が、オレたちを包む。


だけど、すぐにそれを破ったのはジュンスだった。


「…ゴメン、言い過ぎた。けど、本当に…ボクらはプロなんだろう?ちゃんと自己管理しなきゃ…」


おずおずと、オレの手を撫ぜて…ジュンスが謝る。


冷え込む夜は調子を崩しやすいことを口実に、同衾するまでにはなった。


「…そうだな」


「だよ?…そのためにも、もう寝なきゃね」


ホッとした様子でばさばさと服を脱ぎ散らかして、ベッドに入るジュンス。


その服をかき集めて、たたみ終わるわずかな時間に、ジュンスは健やかな寝息を立て始めた。


その隣に体を滑り込ませ、オレも目を閉じる。


今夜も、抱きしめなくてもジュンスの身体は子供みたいにほかほかで、ベッドの中は温かかった。



だけど…それはそれだけで…もうそれだじゃ嫌なオレがいた。





思いが重なるその前に①

ユノヒョンが居なくて、天気の悪い夜は…ジェジュンヒョンは、必ず、僕を寝室に呼ぶ。


そして今夜も。


口うるさいユノヒョンが不在なのを良いことに、夜更かしして、ジュンスとオヤツを食べながらゲームなんかしてたら、急に。


「こーら、お前ら!ユノが居ないからって夜更かしするな…それに明日も学校あるんだろ?」


ジュンスもぼくも、渋々ゲームを片付けて、歯磨きしたら、ジュンスはユチョンヒョンと、僕はジェジュンヒョンと寝室に向かう。

「ユノが帰って来るまで起きてたい…」なんて、ジュンスがゴネる声が、ドアを閉める音に紛れて聞こえた。


ジェジュンヒョンは、一人、早々とベッドに潜り込む。


…なんだ。


話かなんか…在るのかと思ったのに。


こんな風に部屋に呼ばれるのに、何か意味が…特別な意味が、在るのかと思ったのに。


「…寝ないのか?」


遠雷が。


低く、唸るように響く。


「いえ、寝ます」


そう言って、ユチョンヒョンのベッドに潜り込もうとした時。


「そうじゃなくて…一緒に…寝ないのか?」


くぐもった声が、掠れて…震えている気がするのは、気のせい?


それとも…僕の自惚れなんだろうか?


そして…僕はそもそも、何を誰に対して自惚れているんだろう…。


横を向いて寝ているジェジュンヒョンに、背中をくっつける。


ジェジュンヒョンの、小さなため息が聞こえる。


「…ユチョンは…今夜は…うまくやるのかな」


「何をです?」


「…何でも無い。さ、おれたちも寝よう?」


「…はい、おやすみなさい」


そうは言ったものの、なかなかジェジュンヒョンは寝付けないらしくて…何度も、ため息をついていた。

そんな気配を背中で感じながら、僕は先に眠りへと落ちていった。