お宝映画・番組私的見聞録 -41ページ目

女子高校生殺人事件(土曜日の女シリーズ)

今回は「土曜日の女シリーズ」から「女子高校生殺人事件」(74年)である。火曜日の女じゃないのかと突っ込まれそうだが、シリーズの放送枠が73年4月から土曜日に変わったのである。ゆえに、土曜日の女と言うしかないのである(放送局によっては他の曜日であったケースもある)。この次の「鏡の中の顔」でシリーズは終了となったので、同枠の最後から二番目の作品となる。全7回で制作はユニオン映画である。
原作は73年に江戸川乱歩賞を受賞した小峰元の「アルキメデスは手を汚さない」である。つまり受賞して直ぐのテレビ化であった。小峰は当時、毎日新聞の社員でもあり兼業作家として25年目の受賞であった。
「女子高校生殺人事件」という非常にわかりやすいタイトルや、当時妙に番宣をしていた記憶もあり、このシリーズでは知名度も高いのではないだろうか。個人的にもリアルタイムで見ていた記憶はあるし、再放送でも見た気がするのだが、ここ20年以上は見ていないと思う。ゆえに、内容はあまり覚えていないというのが正直なところだ。
主演は当時26歳の山口果林(南条暁子)。NHK連続テレビ小説「繭子ひとり」(71年)のヒロインに抜擢され知られるようなった。個人的には地味で華やかさに欠けているイメージがあり、本作においても印象が薄い。女子生徒役の娘たちの方が美女が揃っている(個人の主観)。
でその女生徒役だが、青木英美(延命あゆみ)、秋吉久美子(柴本美雪)、中田喜子(宮崎令子)、高木彩(前川佳代子)などで、いずれも19~20歳であった。秋吉久美子も中田喜子も、この時点ではそこまで知られている存在ではなかったが、秋吉は映画「赤ちょうちん」「妹」、中田はポーラテレビ小説「やっちゃば育ち」と、共に本作直後にヒロインに抜擢され、一気に人気女優となっている。高木彩=相原ふさ子であり74~75年のみ高木彩名義であった。途中で降板したが青木英美と共に「飛び出せ青春」で女生徒役を演じていた。
もちろん、男子生徒もおり、高岡健二(柳生隆保)、中島久之(内藤規久夫)、鷹市太郎(荒木)、菅野直行(峯高志)、香月淳(三宅純一) などである。こちらは軒並み20歳超えで、高岡や香月は当時24歳だった。ちなみに、香月淳=磯村健治であり、鷹市太郎=沢田勝美である。菅野直行は「人喰い」でも述べたが、菅野菜保之とは別人なのである。
他にも上田耕一(亀井正和)、織本順吉(柴本健次郎)、小川節子(柳生美沙子)、森幹太(野村刑事)等が登場する。
ドラマは、豊栄高校に新任の女教師・南条暁子が赴任するところから始まる。早々に担任となったクラスの女生徒・柴本美雪が屋上から転落死する。しかも彼女は妊娠していたことがわかった。美雪の父・健次郎は妊娠させた相手を突き止めようとするのだった。この辺は先に取り上げた「クラスメート-高校生ブルース-」と同じような展開である。実は、この先のストーリー展開はほとんど覚えていないのだ。確か次の犠牲差は三宅純一だった気がするのだけれども。
自分は原作を読んでいないので、どこまでが原作通りなのかは不明なのだけれど、ネット上を見た限りでは、柳生が内藤の弁当を食べて倒れる(命は助かる)。つまり毒入りだったわけで、内藤本人が混入させるはずもない。その柳生の姉である美沙子の交際相手である亀井(豊栄高校教諭)が死体で発見される、といった展開になるようだ。
また原作では延命の名は美由紀なのだそうだ。美雪と美由紀でメインとなる生徒二人が同じ名前なのは何か意味があると思われるのだが、特にないらしくややこしいだけらしい。おそらく、ドラマのヒロイン南条曉子も登場しなさそうである。また美雪も飛び降りて死ぬわけではなく中絶手術によって亡くなるのである。
ちなみに柳生姉弟役の高岡健二と小川節子はこの共演をきっかけに結婚したそうだ。実際は高岡の方が2歳上である。

いとこ同志(火曜日の女シリーズ)その2

前回に続いて「火曜日の女シリーズ」より「いとこ同志」(72年)である。ところで、タイトルだが日本語的には「同志」よりも「同士」の方が正しい気がする。同志とは同じ志(こころざし)を持った者のことを言い、同士は同じ仲間、種類のことを言うからだ。まあ、遺産を分捕るという同じ志を持っている、と言えなくもないけれど。
一條百合(島田陽子)は、一條玄蔵の孫娘だが、彼の遺言は全財産を百合に譲るというものであった。ただし、条件として高杉卓也(高田裕史)と結婚しなければならないとされていた。横溝正史お得意の遺言パターンで、「犬神家の一族」も同じパターンである。百合は卓也のことを知らず困惑する。そして、彼女の前にその弟だという高杉次郎(佐々木剛)が現れるのである。卓也は既に死んでいるという。
ここからは記憶なのだが、第1話から殺人事件は起こり、確か最初の犠牲者は島原操(根岸明美)だったはず。根岸明美は姉役の春川ますみよりも実際は1つ上。日劇ダンシングチーム出身で「アナタハン」(53年)で主演デビュー。本作で共演の近藤宏も出演している。「獣人雪男」(55年)でもその肢体を生かしたヒロインを演じている。まあ封印映画なので見たことはないけれども。しかし、肉体派女優と言われることを嫌い、演技派に転向していった。勝手なイメージだが、痩せた清川虹子といった感じだ。
パートナーがいなくなった男はみんな百合をものにしようとする。しかし、神山(柳瀬志郎)も殺される。続いての犠牲者は志賀節子(原良子)であった。原良子は美人だが悪女っぽく見えるタイプ。しかし60年代には昼ドラのヒロインを演じたこともある女優だ。
身の危険を感じた百合は次郎の助けを受け、白川村を抜け出し東京へ向かった。しかし東京でも節子の夫・志賀(鶴賀二郎)が百合を誘拐する。だが、その志賀も何者かに殺され、続いて島原明美(春川ますみ)も…。明美の通夜の席、そのつばめだった古坂史郎(水谷豊)は、百合の伯父である上野誠也(仲谷昇)が怪しいと言い出す。そこへ、次郎も現れ今夜も事件が起こると告げる。そして、上野が刺されるという事件が発生する。続けて古坂も殺害される。佐竹由香利(可愛和美)も殺害され、その容疑は残ったペアである佐竹かぼる(悠木千帆=樹木希林)と辻森(穂積隆信)にかけられるが証拠はない。一方、次郎は百合に自分こそが結婚相手として指定されていた高杉卓也であることを告白する。
とまあ、ここまでは自分の記憶とネット情報からのあらすじだが、ラストの方の記憶がいまいちハッキリしない。多分、残っている鬼頭(草野大悟)も殺されたはず。犯人は上野で百合を守るために一連の殺人を行っていたのだが、見ている方には百合を罠に貶めようとやっているようにしか見えなかった。悉く彼女が疑われたし。上野が全部の犯人だったかどうか覚えてない。かほると辻森も逮捕されたような気がするのだが、どうだったであろうか。
いずれにしろ一人の犯人が一人づつ殺していく連続殺人で、これほど犠牲者が多いのは、他にないのではないだろうか(ごく最近のドラマは除く)。

いとこ同志(火曜日の女シリーズ)

今回も「火曜日の女シリーズ」から「いとこ同志」(72年)である。このタイトルではわからないと思うのだが、原作は横溝正史の「三つ首塔」なのである。「蒼いけものたち」もそうであったが、本作は小説では主役である金田一耕助を登場させない、つまり名探偵はいない形にアレンジしたものである。脚本は「蒼いけものたち」と同じく佐々木守だ。
このシリーズは、最近録画したものを一度見てから書いており、ついつい長いあらすじを書いてしまう状態にあった。この「いとこ同志」に関しては近年放送されていない(はず)なので、自分の記憶とネット情報を頼りに書くので、長いあらすじは書けないと思う。
原作の「三つ首塔」ではかなりの大量殺人が起こるのだが、「いとこ同志」もかなりのペースで殺人事件が起こる。間単位言えば遺産相続の話だが、相続資格者がヒロインの他、そのいとこになる五人の女たちなのである。彼女たちには、それぞれ男がついている。登場人物の名前だが、原作通りも何人かいるのだが、ヒロインは宮本音禰から一条百合に変えられている。「おとね」だと70年代でも、ちょっと古い感じがするからであろうか。
演じるのは当時19歳の島田陽子。前年の「続・氷点」で既にヒロインを経験していた。相手役が佐々木剛(高杉次郎)という「仮面ライダー」のコンビである。島田陽子は「仮面ライダー」においては、かなり印象が薄い存在だったと思う。当初ヒロインは真樹(森川)千恵子で、彼女が降板した後に加わったのが山本リンダだったので、どうしてもそっちが目立つ。そこからよく「続氷点」に抜擢されたなあと思ってしまう。
両親を失っている島田陽子の保護者代わりが仲谷昇(上野誠也)で、国文学者である。従姉妹たちとなるのが春川ますみ(島原明美)と根岸明美(島原操)の姉妹、原良子(志賀節子)、悠木千帆(佐竹かほる)と可愛和美(佐竹由香利)の姉妹という五人である。悠木千帆は樹木希林の前の芸名である。老け役が多いが、ここでの設定年齢は26歳(実際は31歳)で、実際に春川や根岸よりは若い。可愛和美は自殺してしまった可愛かずみとは勿論別人で、女優というより歌手である。というより女優歴は本作のみのようである。「シャム猫とのら犬」という小ヒット曲もあり、自分も小学生時代によく聞いた記憶がある。ちなみに「ひらけ!ポンキッキ」の初代おねえさんでもある。可愛は「かわい」ではなく「かあい」と読むようだ。
それぞれの男だが、春川には水谷豊(古坂史郎)で、当時20歳。現在の落ち着いた姿はとでも想像ができない。根岸には柳瀬志郎(神山光司)、原には鶴賀二郎(志賀幸二)で、このペアは正式な夫婦である。悠木には穂積隆信(辻森源三)で、可愛には草野大悟(鬼頭庄七)。草野は彼女のマネージャーである。5ペアのうち3ペアは愛人関係というわけである。
他の警察関係などの出演者は近藤宏(雨宮刑事)、北村総一朗(小倉刑事)、中条静夫(小田刑事)、森塚敏(黒川弁護士)等である。ちなみに、樹木希林と草野大悟、北村総一朗は文学座演劇研究所の同期である。他にも、岸田森、寺田農、小川真由美などもいた。樹木希林の亭主といえば内田裕也だが、彼とは再婚であり、最初の夫は岸田森である。

ある朝、突然に…(火曜日の女シリーズ)その2

前回の続きで「ある朝、突然に…」(72年)である。今回もネタバレありなのでご注意。
伊豆の病院を抜け出した野村美和子(浜美枝)は、東京に舞い戻り、興信所の脇村(草薙幸二郎)に連絡を取った。脇村は信一(細川俊之)が古田(清川新吾)殺しを疑われるきっかけとなる写真を撮った男だが、警察に追われ身動きがとれない為、彼を頼ったのである。この脇村が強い味方になってくれるのだった。しかし謎の若い男(西田健)が美和子の背後に迫っていた。その追跡に美和子が気づくと男は逃げ出し、車にはねられて死んでしまう。
美和子はやはり鍵を握るのは森雅子(佐藤友美)であると、彼女の後をつけると古田美津子(真屋順子)に会っていたのであった。雅子が立ち去った後、美津子に会う美和子。古田の死から、仲違いしていた二人だったが、美津子も自分で事件を調べていて、古田が信一と雅子を脅迫していたという事実を掴んでおり、そのために殺されたのではないかと考えていた。美津子は美和子を自分の引っ越し先のアパートにとりあえずかくまった。翌日、美津子は外出先からすぐに美和子に来るように電話をかけてきた。すぐに指定の公園に向かう美和子だったが、そこにいたのは雅子であった。美津子のアパートでその帰りを待つ美和子と雅子だったが、美津子は戻らない。そして、雅子の出したお茶を飲み意識を失う美和子。目を覚ますとガスが噴出しているのに気づき、慌てて窓を開ける美和子。雅子の姿はなく、横たわっていたのは美津子の死体であった。
再び警察に捕まった美和子。明らかに雅子の仕業だが、それを証明する術はない。万事休すと思いきや脇村が富士急の車掌を伴って現れる。車掌は事件の日、美和子が電車で伊豆に向かっていたのを覚えていたのである。車の野村夫婦を見たという証言についても、改めて死んだ若い男の写真を見せると「この人だ」と証言を翻したのであった。こうして、美和子の無実が証明され釈放されることになった。
美和子の証言から警察も雅子をマーク。死んだ若い男は雅子の弟・明であることも分かった。また、雅子と産業省の役人である和田(宮川洋一)との繋がりも判明した。和田は信一や古田の窓口でもあった人物だ。警察が和田を捕まえるのを見届けた雅子は美和子の家へ向かった。雅子は野村家で信一を殺害したことを告白。彼が美和子の基に戻って行くことに耐えかねての犯行であった。駆けつけた明と共に隠蔽工作し、美和子の犯行であるかのように見せかけたのである。信一と美津子殺しは雅子の犯行であったが、古田に関しては事情が違っていた。その日、信一に頼まれた和田が古田の説得に訪れていたのである。しかし、古田は和田も困るであろう資料の存在を示唆。和田はそれを奪おうとビールに隙を見て睡眠薬を混入したところ、ショック死してしまったというのが真相であった。
美和子は警察に電話しようとしたところを雅子に眠らされる。雅子は車に美和子を乗せ、下田へ向かうのであった。サスペンスといえば崖の上で告白。雅子は信一とは、美和子より昔からの関係で結婚まで考えたが、和田などの横やりが入り諦めた経緯があったという。「結局あなたには勝てなかった」と自ら崖下へと飛び降りる雅子。
後の2時間サスペンスドラマに通じる要素が全て盛り込まれたようなストーリーである。登場から怪しかった佐藤友美がそのまま犯人だったので犯人当ての要素はないのだが、ラストの浜美枝対佐藤の対決は見どころと言える。
今回、灰地順と刑事役でコンビを組んでいたのが宇南山宏。84年に自殺してしまうのだが、舞台の初日でセリフがつかえてしまったことを苦にしてのものだったらしい。

ある朝、突然に…(火曜日の女シリーズ)

今回も「火曜日の女シリーズ」から「ある朝、突然に…」(72年)である。制作は東宝で原作はなく、脚本である石松愛弘のオリジナルのようである。「恋の罠」の時も思ったが、これもタイトルがサスペンスっぽくなくて、男女が出会って…のような恋愛ドラマのように思えてしまうのは自分だけだろうか。全6回が多い中、本作は全7回である。
主演は浜美枝で、このシリーズは第1作となる「死と空と」「オパールとサファイア」に続いて三度目の登場となる。当時28歳で、既婚であり、東宝も退社していた。共演は細川俊之、佐藤友美、真屋順子等だが、この三人は俳優座養成所第13期生の同期という関係にある。佐藤友美もこのシリーズ3度目の登場となるが、いずれもヒロインではない。文句なしの美人ではあるが、やはり悪女タイプに見えることもあり、ヒロインと敵対する役が似合っている。本作でもそういった役柄である。いずれにしろ、細川と佐藤がいるだけでサスペンスっぽい。
他の登場人物だが、北あけみ、西田健、草薙幸二郎、宮川洋一、園田裕久、清川新吾などで北あけみはヒロインと友人という「恋の罠」と同じような役で(本作ではあまり本筋にはかかわらない)、刑事役が灰地順、宇南山宏、北條寿太郎で、灰地順は「人喰い」と同様で、ヒロインには割合優しく接する刑事の役である。また、伊豆下田で事件が起こる等「男と女と」を思い出させる場面もあったりと、シリーズの過去作との共通項が色々とあるのだ。ちなみに、佐藤友美の役名は「モリマサコ」であるが、歌手の森昌子のデビューは本作の終了直後である。
あらすじは以下の通り。登場人物の正確な漢字表記はほぼ不明な為、何となく合いそうなものを当てさせてもらった。モリマサコは脚本上森昌子表記だった可能性もあるが、雅子にさせてもらった。
野村美和子(浜美枝)は野村信一(細川俊之)と結婚5年になる平凡な主婦。信一は仕事人間で、帰りが深夜になることも多かった。美和子は同窓会で、古田美津子(真屋順子)や澄江(北あけみ)等と再会。そこには森雅子(佐藤友美)も姿を見せるが、少女時代と同様にほとんど会話をすることはなかった。
信一と美津子の夫古田(清川新吾)は会社の同僚であり、ライバル関係にあった。そんな時、古田の使い込みが発覚し、数日後ホテルで古田の死体が発見される。死因は睡眠薬によるもので当初は自殺と思われたが、他殺の可能性が浮上。直前に古田の部屋を訪れた信一に殺人容疑がかけられる。信一は何故か黙秘するが、雅子が「一緒にいた」と彼のアリバイを証明し釈放されるが、家には戻らなかった。信一と雅子はただならぬ関係にあったのである。
澄江に促され、書置きを残して下田に電車で旅行にで出る美和子。ホテルにつき、散歩から戻ってくると、家の車や信一のカバン等が彼が来た形跡があった。部屋で待っていると「ご主人がケガをして入院したので来てほしい」という電話があり、慌てて車で向かうが、途中で白バイに止められる。トランクを開けると、そこには血まみれの信一の死体が横たわっていた。そのまま逮捕され、地元刑事(高品格)の厳しい取り調べを受ける。
全ての状況が美和子に不利であり、一人で電車で来たはずなのに、二人が車で来るのを目撃したというという人まで現れる始末。錯乱状態の美和子に入院措置が取られるが、「このままでは犯人にされてしまう」と隙を見て病院を抜け出し、真犯人探しを始めるのだった。
ヒロインが完全に犯人に仕立てられるという、このシリーズではお馴染みな展開。味方がいない中、どうなって行くのかは次回へ。

 

蒼いけものたち(火曜日の女シリーズ)その2

前回の続きで「火曜日の女シリーズ」から「蒼いけものたち」(70年)である。毎度、ネタバレありなのでご注意。と言っても「犬神家」の結末を知っている人は結構いる気もするのだが。
原作の横溝正史「犬神家の一族」を大胆に改変していることは前回書いたとおり。横溝作品は舞台は終戦直後あたりで、岡山の山奥とかで起こる、どろどろした事件というようなものが多いが、本作は時代をその当時(70年)に改め、地域も東京の郊外といった感じに設定している。まあ奥多摩あたりがイメージされているようだ。横溝作品に多い、見立て殺人は排除され、同期はストレートにカネであると言ってよい。まあ脚本の佐々木守は、どろどろとした横溝的な世界を描くのも得意そうな気もするが本作では、可能な限りシンプルになっているように感じる。
設定自体は色々変えてあるのだが、ストーリー自体は原作に近いと言える。ヒロインの水川美矢子(酒井和歌子)は小学生の弟・武(室田一人)と二人きりでつつましく暮らしていた。ある日、弁護士の館野(中山仁)が訪れ、彼女の父に恩義を受けた老人=富岡佐兵衛が亡くなり、その遺産相続の集会に参加してほしいと頼まれる。しぶしぶ富岡邸を訪れた美矢子だったが、遺言の内容はおどろくべきもので、実の娘である雪子(沢村貞子)、月子(千石規子)、花子(市川寿美礼)ではなく、全額を美矢子に贈るというものであった。しかし、条件としてそれぞれの息子である清文(大丸二郎)、武臣(大出俊)、智和(柴田侊彦)の誰かと結婚しなければならないというものであった。ならば、と母親たちは美矢子を息子の嫁にすればよいのだといきり立つが、当人たちは冷静に構えている。顔のケガによりゴムマスク姿の清文はこの時点ではわからないが、武臣や智和は性格はよさげであった。特に武臣は武とも話があいそうで、美矢子の好感度も高かった。原作と違うのは幼い弟と二人きりであるという点で、生活のことを考えると金は必要であり、簡単には断れない。武臣なら良いかもと思い始めた矢先、その武臣が殺されてしまう。
美矢子は最後に武臣と会っていたため、疑われるがそんな中、正体不明のサングラスの男が現れ、武が行方不明に。武は無傷で発見されるが、警察はその男を三姉妹によって追い出された佐兵衛の愛人の菊乃の子・三枝修平(大丸の二役)ではと考える。一方、智和は小夜子(菱見百合子)に呼び出され山小屋にいた。小夜子は愛する智和を奪われたくないと彼を誘惑しようとするが、手を出さないため彼にロープを巻き付けて動けないようにして、その場を出ていく。しかし、その後山小屋へ行くと、智和は縛られた状態で殺されていた。自責の念から小夜子も後追い自殺してしまう。
美矢子は残った清文との結婚を決意するが、彼が別人なのではと疑う。まもなくその清文も遺体で発見。美矢子の提言で手形の指紋を再度照合すると別人であると判明。その後、サングラスの男が逮捕され、彼が本物の清文であることが判明し、死んだ仮面の清文は三枝修平であることがわかった。二人はカンボジアで偶然出会ったが、清文は連れ去られ、修平は顔に傷を負った。二人は顔や背格好がよく似ていたこともあり、一足先に帰国した修平がマスクをかぶり清文になりすましていたのであった。
一連の殺人は自分がやったと主張する清文だったが、それは真犯人である母・雪子をかばってのものだった。雪子はこの顔では美矢子が清文を選ばないと思い、まず武臣を殺したのである。ところが、その現場を修平とやはり帰国してきた清文に見られていたのである。清文は母の犯行を知られたくないので、修平の言うままに後始末を行ったのだった。智和も自力で山小屋から抜けだしてきたところを、たまたま雪子と出会い、背後からヒモで首を絞めて殺したのであった。しかし、その場も修平が目撃しており、清文と二人で山小屋に死体を戻したのであった。つまり雪子の知らないところで、二人が隠蔽工作をしていたため事件が難解になっていたのである。
美矢子が清文との結婚を決意した夜、修平は雪子に正体を明かす。雪子は修平をも絞め殺すのだった。にしても、油断してたとはいえ、智和も修平も初老の女性に間単に絞殺されるとは。特に修平は雪子が二人を殺すところを見ているのに危機意識がなさすぎである。
清文は遺言書を確認し美矢子に「自由になってください」と結婚を辞退する。美矢子は遺産争いから解放されるが、館野と結ばれるのではないかと暗示して物語は終了する。ストーリーはほぼ原作に沿っていることがわかると思う。

 

蒼いけものたち(火曜日の女シリーズ)

今回も「火曜日の女シリーズ」から「蒼いけものたち」(70年)である。これは昨年ではなく、一昨年にCSで放送されている。このタイトルではわからないと思うのだが、原作は横溝正史の「犬神家の一族」なのである。横溝といえば、金田一耕助だが、本作はその金田一を登場させない、つまり名探偵はいない形にアレンジしたものである。脚本は佐々木守だが、このシリーズにおいては同じ横溝原作の「悪魔の手毬唄」と「三つ首塔」についても佐々木が金田一なしスタイルにアレンジしている。まあ「探偵」ではなく「女」が主役のシリーズだからだろうか。
いずれにしろ本作は「犬神家の一族」初のテレビドラマ化作品なので、金田一を知らない人が大半だったと思われ、そこに違和感を抱く人は少なかったのではないだろうか。一気に知れ渡るのは76年の映画からだろう。
登場人物の名も全員変えられており、「犬神」姓は使われていない。三姉妹は「松竹梅」から「雪月花」に変更され、それぞれの息子も佐清、佐武、佐智から清文、武臣、智和となっている。
本作のヒロインは酒井和歌子(水川美矢子)で当時21歳。10歳から子役として活動を始め、15歳で東宝に入社しているので、年齢の割にキャリアは長い。当時はまだ青春スターのイメージで、サスペンスの主演は本作が初かも。その相手役で金田一的役割を担うのが中山仁(館野弁護士)である。と言っても名推理を炸裂させるというわけではない。
「三婆」は沢村貞子(富岡雪子)、千石規子(山本月子)、市川寿美礼(坂野花子)。76年映画版では美人と言われる女優(高峰三枝子、三条美紀、草笛光子)が演じているが本作では…。沢村は61歳だが、千石48歳、市川42歳と見た目よりは若い。市川寿美礼は馴染みのない人も多いと思うが、この2年後にはガンで亡くなっているのである。
で、それぞれの息子役が大丸二郎(富岡清文/三枝修平)、大出俊(山本武臣)、柴田侊彦(坂野智和)となっており、母親たちと違って、性格はそれぞれ良好で。遺産の話にも執念を見せることはない。大丸二郎に関しては馴染みのない人も多いかもしれない。60~70年代にかけて10年以上の活動歴があるようだが、不思議と印象に残っていない。70年代には引退したと思われるが、詳細なプロフィールや情報は不明である。本作では映画同様に二役を演じている。この三人では大出俊が一番格上な気もするが、第2話であっさりと殺される。
他の出演者だが、刑事役では玉川伊佐男(高山警部)。「ダイヤル110番」の時代から刑事役を演じていたする人である。その部下が西川宏で、この人は「おやじ太鼓」で、鶴家四男三女の中の次男を演じていたが、他の顔ぶれ(園井啓介、あおい輝彦、津坂匡章、香山美子、沢田雅美等)が濃いので影が薄かった。原作で言う下男・猿蔵を演じるのが江波多寛児=江幡高志(畑野栄蔵)である。70年代初頭は江波多名義であった。富岡家のお手伝い役が菱見百合子(鈴木小夜子)で、智和に惚れている役だ。原作では小夜子は佐武の妹で佐智と婚約関係にある役だが本作では佐智との関係のみ生かしている。菱見はまだ「プレイガール」等には出演していない。そして、オリジナルキャラでヒロイン美矢子の小学生の弟役である室田一人(水川武)。この時代の子役って他番組でもよく見かける子が多いが、彼を他番組で見た記憶はない。
 

 

恋の罠(火曜日の女シリーズ) その2

前回の続きで「恋の罠」(70年)である。ネタバレありなので要注意。
下宿中の辺見裕之(黒沢年男)が他人の名前を語っていることがわかった時、辺見を名乗る男は部屋から姿を消した。しかし、その後も松原美弥子(松尾嘉代)の周囲に現れる。その正体は美弥子が戸上(太刀川寛)に襲われた時に判明する。彼は刑事だったのである。彼も姉・松原幸子(岩本多代)の死に疑問を感じて周囲を探っていたようだった。そんな中、美弥子は野本編集長(山内明)の男っぽさに惹かれていくのであった。
事件はさらに展開を見せ、当日芦ノ湖にいて姉と男の姿を見かけたらしいアマ写真家の田浦(原勉)がビルから転落死する。見たことない役者さんだが、クレジットより原勉という人だと類推。さらに、美弥子の同居人でよき理解者でもある藤井明子(北あけみ)が死体で発見される。そばには自分が事件の犯人であるかのような遺書が置かれていた。彼女の字に間違いなかったが、美弥子には明子が犯人だとは思えなかった。辺見は「これが答えだ」と美弥子に自社の雑誌・ウィークリー東京を渡す。そこに載っていた記事に明子の遺書と同じ文章が使われている部分があることを美弥子は発見する。つまり明子も自殺に見せかけて殺されたのである。
辺見ら警察は一連の犯行は野本によるものと断定する。実は田浦の死体のそばに落ちていたカフスボタンが明子が野本に贈ったものだったのである。明子はそれに気づいたため殺されたらしかった。しかし、最初の事件である幸子殺しの時間的な謎が解けなかった。野本が家を空けていた2時間のみでは芦ノ湖まで行って戻ってくるのは不可能に思えたからだった。しかし、その答えは単純なものだった。車で出かけたからといって、車で現場まで行ったとは限らないというもの。野本の自宅は新横浜駅に近く、そこから新幹線を利用すれば、芦ノ湖まで行き来して2時間で帰ってくることも可能だったのである。
野本は姿を消すが、密かに美弥子を呼び出していた。彼が犯人とは思いたくない美弥子は野本に敢えて会いに行くのだった。幸子の死亡現場を訪れた二人。そこで野本の告白は意外なものであった。冷え切った関係の妻(加賀ちか子)と別れて、幸子と結婚するつもりだったと。しかし、幸子は足を滑らせて転落。野本はボートで周囲を捜したが彼女は浮いてこなかった。そこで野本は逃げ出してしまったのである。つまり幸子に関しては本当の事故死なのだが、二人の関係を知られまいと目撃者と思われる人物を次々殺していったのである。そこに辺見が現れると、野本は自ら湖に飛び込んでいった。こうして事件は終わり、美弥子は辺見の本名をしらないまま別れるのであった。
幸子の死が本当に事故死だったというのは意外に思う。山内明が姉妹それぞれに愛される役柄というのも意外な気がした。山内明の父は活動写真弁士の山野一郎。弟は脚本家の山内久と作曲家の山内正。「ザ・ガードマン」の音楽を担当したのが山内正である。正が早くに亡くなったため(80年没)、三兄弟での「共演」というのはなかったようである。

 

恋の罠(火曜日の女シリーズ)

今回も「火曜日の女シリーズ」から「恋の罠」(70年)である。シリーズ通算3作目で、制作は東宝。原作はなく、脚本である生田直親のオリジナルのようである。生田はこの後、推理作家として活躍する。
タイトルがサスペンスっぽくなくて、学園恋愛ドラマのように思えてしまうのは自分だけだろうか。大人しか出てこないのだからせめて「愛の罠」とかね。
主演は松尾嘉代(松原美弥子)で当時26歳。松尾は当時からサスペンスのヒロインっぽい。カッコ内の役名は正確な漢字がわからないキャラもおり、勝手に当てさせてもらった。相手役が黒沢年男(辺見裕之)と山内明(野本孝男)。当時49歳の山内がそういった恋愛対象の役になるとはちょっと意外な気がした。ちなみに「ヤマノウチ」と読む。黒沢は当時25歳で、デビューからは4~5年は経っているのだが、まだ演技がカタい気がする。
松尾の姉役が岩本多代(松原幸子)で当時29歳。実年齢より老けて見えるタイプだったが、いつしか年齢が追い越した感じだ。ちなみに「マスヨ」と読む。正直ずっと「タヨ」だと思っていたのだけども。松原姉妹の同居人が北あけみ(藤井明子)で、他に加賀ちか子(野本夫人)、冨田浩太郎(荒井副編集長)、水村泰三(木村カメラマン)、太刀川寛(戸上伸介)、河津清三郎(河野無窮)といったところがメインキャストである。
ある休日、松原幸子・美弥子の仲良し姉妹は箱根芦ノ湖に遊びに出かけるが、そこで幸子が湖畔で水死体で発見される。地元警察は寒空の中、一人でモーターボートを乗り回すなど不審にも見える行動をとっていた美弥子に疑いの目を向けるが、結局事故死として処理される。しかし美弥子は自分が疑われたこともあってか、これは殺人に違いないと考え、犯人捜しの行動に出るのだった。
幸子と姉妹の同居人でもある藤井明子は週刊誌ウイークリー東京の雑誌記者として働いていた。美弥子は明子に頼んで、ウィークリー東京に入社した。犯人のことがわかるかもしれないと思ったからだったが、そこで美弥子は自分の知らなかった姉の姿を知ることになる。そこで、編集長の野本、副編集長の荒井、カメラマンの木村、評論家の河野、デパート宣伝部長の戸上など怪しい人物が浮上する。また、幸子の葬儀に現れた見知らぬ若い男は幸子の婚約者でトランペッターの辺見だと名乗る。辺見は広い家に若い女二人では無用心だからとその二階に下宿するのだった。
芦ノ湖の貸しボート屋からの連絡で、あの日モータボートを触っている男を見たという女性店員・谷口マサに会いに行った美弥子はその帰り車のブレーキが利かず、危機に陥るが脇の坂道に乗り上げ、九死に一生を得た。冒頭でモータボートを運転するのも、運転技術が高いということを見せるためでもあったのだろう。
後日、マサの元へ写真を持って会いに行く美弥子だったが、マサは何者かにひき逃げに会い死んでしまうのであった。
マサ役は関口昭子。ニューフェイスの後身であるオール東宝ニュータレント8期生で、同期だった「スペクトルマン」で知られる成川哲夫と結婚している。「スペクトルマン」と言えば、その初期レギュラーだった小西まち子も「恋の罠」にはモデルのエリ子という役で出演している。彼女はニュータレント6期生で、黒沢年男もニュータレント4期生である。黒沢は名前から黒澤明の息子かと勘違いしていた審査員もいたという。また、会社から八方一郎、黒沢敏郎といった芸名を提示されたが何れも固辞し、結局本名でデビューしている。

 

人喰い(火曜日の女シリーズ) その2

前回の続きで「火曜日の女シリーズ」から「人喰い」(70年)である。ネタバレもあるのでご注意。
第5話の時点で、ヒロイン佐紀子(十朱幸代)は恋人である豊島(児玉清)と事件を追い、怪しいのは柏村専務(高橋昌也)、本多夫人(川口敦子)、武藤洋子(磯野洋子)であると感じていた。そして、おそらく妹の由記子(江夏夕子)は死んでいるであろうとも感じていた。彼女の目撃情報は沢山あったが、顔はサングラスで隠れており、目立つ派手なワンピース(当時風に言えばサイケデリック)の若い女というものだったからだ。警察に追われているのにあんな派手な服で行動しないだろうというツッコミを入れたくなってしまう。
警察と言えば、本作で中心となるのは山梨県警の小川刑事(灰地順)と地元・浦磯署の片山主任(菅野忠彦)。浦磯とは都内郊外にある架空の地域ということになるようだ。小川刑事は佐紀子に対して優しい部分もあるのだが、片山刑事は由記子を犯人と決め付けている部分があり、佐紀子にも厳しい。灰地順はこの「火曜日の女シリーズ」には何作か出ており、刑事役が多かった印象がある。こう言っては何だが、一番活躍する刑事の役としは地味だったかなと思ってしまう。菅野忠彦は後に菅野菜保之と改名する。別に菅野直行という俳優もいるのでややこしい。前者がカンノで後者はスガノと読むようだ。自分は以前に二人を混同し、直行が菜保之に改名したとばかり思っていたのである。
さて話を戻すと次期社長となる柏村は、佐紀子と豊島を見かけると事件が解決するまで佐紀子を解雇ではなく休職扱いにすると告げる。その後、洋子や本多夫人と会食するのだが、洋子は二人の関係を知っていることを告げる。柏村は悪びれることなく真剣な交際であることを告白する。こうして柏村はホントはいい人であることを見せていく。
そして第5話、工場で新役員会議が開かれることになり、豊島も工場次長への昇進が決まっており、本多夫人も会議に参加する予定で工場を訪れていた。しかし、時間になっても夫人は現れない。そして、花火倉庫での爆発が起きる。その直前に豊島と浦上美土利(しめぎしがこ)が倉庫の方へ走って行く白い服の女を見たという。それらの状況から警察は由記子が恨みのある本多夫人を道連れに自爆したものと判断した。しかし、現場周辺にいた佐紀子は導火線が走って行くのは見たが、白い服の女など見ておらず、おかしいと感じていた。美土利の元を訪れた佐紀子は彼女が妊娠していることを知る。
そして最終話。佐紀子は気が付くと病院のベッドに。横には小川がいた。そして洋子が姿を見せた。状況から佐紀子が睡眠薬を飲んだ上ガス自殺を計ったかに見えた。無論、佐紀子はそれを否定すると小川が飛び出していった。つまり佐紀子は殺されかけたのである。それを救ったのは洋子だった。実は彼女も柏村が怪しいと思っていて、周囲を嗅ぎまわっていたのだった。結果、柏村はシロと確信し佐紀子の元を訪れたのだった。
こうなると、残るはもう美土利と豊島しかいないわけである。演じる児玉清に悪役感がほぼないし、一度も怪しい部分を見せなかった豊島はミステリー的には怪しい人物。いかにもな感じで逆に犯人じゃないだろうと思わせる美土利がそのまま共犯だったわけで、こっちの方が意外かもしれない。二人のいがみ合いは入念に準備された芝居だったわけである。
由記子と昭一(宮浩之)は心中で、後を追っていた豊島と美土利によって由記子の死体のみ離れたところに埋められたのであった。本当の目的は社長(辰巳鉚太郎)を殺すことにあり、後の殺人は完全犯罪を目指すため。タイトルの「人喰い」は豊島の最後の自供から来ている。かなり強引で無茶に感じる部分もあるが、あり得そうもないことを書くのがミステリー小説なのだろうな、と大して読まないくせに思うのであった。