こんばんは。
(a)
(竜巻:気象庁HP 知識・解説>竜巻・ダウンバースト・ガストフロント>竜巻などの激しい突風とは より)
竜巻は、台風や低気圧、前線において発達した積乱雲に伴う上昇気流により発生する激しい渦のことをいいます。竜巻の中心は周囲よりも気圧が急激に低くなっており、その気圧の急激な低下に伴って、周囲から取り込まれた空気が断熱膨張することによって冷却されるため、空気内に含まれている水蒸気が凝結することで竜巻に伴う漏斗雲が形成されます。
また、風向分布に収束性がみられる特徴があり、被害域は、幅数十~数百メートルで、長さ数キロメートルの範囲に集中しますが、数十キロメートルに達することもあります。
一方、水平スケールが数mから10m程度で、日射の強い日に地表付近の温度が上がることにより上昇気流が発生し、その際に周囲の風による影響を受けて渦巻きを形成しながら回転をする突風を塵旋風と呼んでいます。
また、塵旋風は上空に積乱雲がない状況で発生しますので、竜巻とは成因が異なります。
したがって、本文の内容は誤りとなります。
(b)
次に、日本における竜巻の移動距離についてですが、移動距離をたつまきによる被害の長さで考えた場合、竜巻による平均の被害の長さは3.3kmで、そのほとんどは5km以下ですが、最大で50.8kmに及んだ事例もあります。
(福岡管区気象台;竜巻とダウンバーストのはなし>竜巻Q&A より)
また、具体的な事例として「平成11年(1999年)9月24日 豊橋市で発生した竜巻」の事例では移動距離は19kmでした。(気象庁HP)
したがって、本文の内容は誤りとなります。
(c)
一般気象学 p218 図8.13 「成熟期にあるスーパーセル型のストームの構造の模式図」を見ながら考えてみます。スーパーセル型ストームは大きさが10~40km程度で一般場の風の鉛直シアーが強い状況で発達します。図にありますように下降流が下層からの暖湿流の流入を妨げない構造になっていることからマルチセル型ストームより寿命が長く数時間程度続くことがあります。本文にありますようにレーダーで見た場合、上昇流域では、降水粒子が大きくないためレーダーの反射強度が弱く、上昇流域の周辺では、この領域ではかぎ型の形をした反射強度の強いレーダーエコーが観測され、これを「フックエコー」とよんでいます。竜巻はこのフックエコー付近で多く発生します。
したがって、本文の内容は正しいとなります。
(d)
竜巻は積乱雲の発生に伴って発生することから、その直径は数十~数百mと非常に小さい渦巻きであるため、コリオリ力のほぼ無視できます。このため内向きの気圧傾度力と外向きの遠心力とが釣り合った状態となります。このような状態で吹く風のことを「旋衡風」とよび、またこのような状態のことを「旋衡風平衡」とよんでいます。
この旋衡風平衡につきましては反時計回りの循環と時計回りの循環の2種類ありますがいずれも中心の気圧は周囲よりも低く、北半球でも少ないながら時計回りの循環を持った竜巻が観測された事例があります。
したがって、本文の内容は正しいとなります。
よって、正解は④ということになります。
では。