こんばんは。
早速ですが、考えてみたいと思います。
第59回試験・一般知識
今回の問題は、「地球大気の平均的な気温の高度分布」ということで、「一般気象学」p22の図2.1「温度の高度分布と大気層の区分」の図を見ながら考えてみます。
(a)
まず、中間圏における気温についてですが、図2.1によりますと、高度約50km付近の最下部である成層圏界面において気温が極大になっており、この高度から上がるにつれて気温が次第に低下していき、最上部の中間圏界面である高度約80km付近で極小になっていることがわかります。したがって、本文の内容は正しいということになります。
(b)
(気象庁HP:知識・解説>地球環境・気候>オゾン層・紫外線>基礎的な知識>オゾン層とは より)
次も、「一般気象学」p22の図2.1「温度の高度分布と大気層の区分」を見ながら考えてみます。これによりますと、成層圏の高度20km~50kmにかけて高度が高いほど気温が高くなっていることがわかります。では次に、オゾンの数密度も高度が高いほど大きくなるのかを「一般気象学」p23、表2.1「諸物理量の各高度における値」のいちばん右側、「オゾン数密度」の値に着目しますと、高度20kmにおいてオゾンの数密度が4.75×1018(m-3)と最も多く、次いで高度25kmの4.27×1018(m-3)と成層圏内のこの付近でオゾンが多く含まれている層が存在しており、この層を「オゾン層」とよんでいるのですが、先ほどの「温度の高度分布と大気層の区分」の図とこの表を見比べますと、気温の最も高いところが高度50km付近の成層圏界面付近に対してオゾンの数密度の大きいオゾン層の存在する高度は20km~25kmと一致しないことがわかります。
これは、上層ほど紫外線が強く、紫外線が地球大気に入射しますと、大気によって吸収されながら弱まり、地表面に達することから、高度が高いほど紫外線が強く大気を加熱する効果が大きいためと、もう一つは単位体積(1㎥)の大気の熱容量が空気の密度に比例する、すなわち単位体積(1㎥)当たりの空気の量が少ないほど多くの熱を受け取ることができるため、という2つの理由の兼ね合いによるものです。したがって、本文の内容は誤りということになります。
(c)
本文の前半、「対流圏の気温減率は、放射や対流など様々な過程が関わり決まっているため、」という部分は正しいのですが、後半部は正しいのか、「一般気象学」p123の図5.14「中緯度地帯の代表的条件に対応する放射平衡および放射対流平衡にある大気の温度の高度分布および実際の大気温度の高度分布」を見ながら考えてみます。
図によりますと、後半部にある「放射収支のみを考慮した計算から求められる気温減率」は短い破線で示されたグラフになります。つまりこの時点でこのグラフが対流圏において最も気温減率が大きいことがわかります。通常これほどの気温減率が生じる大気の状態は不安定ですので対流が生じることになります。したがって、他のオゾンがある場合のグラフや放射対流平衡の場合のグラフの方が「放射収支のみを考慮した計算から求められる気温減率」のグラフに比べて気温減率が小さくなっていることがわかりますので、本文の内容は誤りということになります。
よって、正解は(a)のみ正しく、③ということになります。
では。