ヤマハ エレキギター SG-12A 新旧比較 | ピクルス卸問屋のブログ

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昨年1月に1968年製のヤマハSG-12Aを入手し、下記投稿をしました。

 

 

その後、1995年のレプリカを入手したので、「新旧比較」として仕様の違いなどを見てみたいと思います。

 

ただ、レプリカは、加瀬邦彦氏(寺内御大から譲り受けたもの?)や加山雄三氏のプロトタイプをベースにしているため、市販品とは仕様が異なるのは当たり前なのですが、楽器屋でもあまり目にすることのない12弦ギターの記録の意味も含めて投稿します。

 

なお、このレプリカを入手するにあたり、愛娘2本が私の元を離れ、よそに嫁いでいきました…。(ギターの総数で言うと1本減ったことになります)

 

<スペック>

まずこちらは1968年1月製のSG-12A市販品。シリアルは7000番台です。

ヤマハさんに製造年月を教えて頂きました。

リットーミュージック刊の「ギターグラフィック誌 5号」によると、スペックは次の通り。

 

1.ネック:
・2ピース+ローズウッド、材質:メイプル、ヘッド裏に共材の化粧板
2.ボディ:
・2~3ピース、材質:カツラ、表裏に木の接ぎ線を隠す共材の薄板が貼られている。
3.トレモロアームの先端キャップ:

・プラスチック製

 

こちらが1995年に「トゥルーレプリカ」として販売されたSG-12AS。

イエローが120本、モスグリーンが80本の計200本が生産・販売されたそうです。

同じく「ギターグラフィック誌 5号」によると、スペックは次の通り。

 

1.ネック:
・ワンピース+ローズウッド、材質:メイプル

2.ボディ:

・センター2ピース、材質:カツラ(北海道産)
3.トレモロアームの先端キャップ:

・アルミ削り出し
 

1995年当時のヤマハのカタログ。

 

6弦のSG-7A、SG-12AS、サンタナモデルのSG-175などが30周年記念モデルとして販売されました。

 

<ボディシェイプ>

新旧2機種を並べてみたところ。モズライトを意識しながらも、独特のオリジナリティ溢れるデザインです。

 

裏面の様子。

 

ボディ近影。

レプリカは左上の角の部分がシャープな仕上がりになっています。

 

裏面より。明らかに角の部分の仕上げが違いますね。

 

横から見ると一目瞭然。面取り加工が全く異なります。

 

コンター加工(体が当たるボディ部分を削る加工)はどちらもほぼ同じような感じです。

弾いてみた感触も同じです。

 

<ピックアップ>

フロントピックアップはレプリカがフレットに対して並行に、1968年製は斜めに設置されています。

これはモズライトを意識したものでしょう。

 

リアピックアップは一見同じようですが、レプリカは2つのピックアップの間の溝がありません。デザイン的には1968年製の方がスッキリしたイメージです。

ピックガード材も1968年製はセルロイドが使われており、経年変化で少し縮んでしまっています。(何本かのネジは斜めになってしまっています)

 

<ブリッジ>

レプリカはサドル、ローラーなど全て金属パーツを使用。しかも金色のメッキなので高級感がすごい。

 

一方、1968年製はクロームメッキでローラー部のみ樹脂製。レプリカに比べて温かみのある音が出るのはローラー材の違いがあるかもしれません、

 

<ヘッド>

ヘッド表側。筆記体ロゴは市販品ではごく初期にのみ使われたようです。

1968年製にはストリングスガイドが付いていますが、レプリカには何も無し…。

何故か…?

 

1968年製はフェンダーのようにネックとヘッドが並行で角度を付けていないため、ストリングスガイドを使用。一方、レプリカはギブソンのようにヘッドに角度を付けることでテンションをかける方式。この辺はやはりモズライトを意識した仕様なのでしょうか。

 

ヘッド裏側。メッキ色の違いがあるとは言え、レプリカのペグは再現性が高いですね。

1968年製とほぼ同じに見えます。

 

<ボディ・ネック接続部>

写真の角度が違うため、ネックの厚さが違って見えますが、実際はほぼ同じです。

1968年製のネックはセルバインディング処理。

 

この1968年製はネックの状態が非常に良く、かなり弦高を低くしても弦がビビりません。

使われているメイプル材が良いものなのでしょう。56年前のネックとは思えないほど真っすぐです。

 

<テールピース>

レプリカでは弦のボールエンドがちゃんと揃う(並ぶ)ように、テールピースの穴が楕円形になっています(上)。これはプロトタイプにも無かった仕様とのことですが、個人的には一番評価したいところ。

 

やはり楽器である以上、弾いてナンボのもの。

弾きやすさ、扱いやすさは当然求められるわけで、弦の交換作業もその一つ。

1968年製のテールピース(下)ではボールエンドがこのようになり、弦の交換が非常にストレスでした。また、この状態ではチューニングにも影響を与えているはず。

ま~当時でも12弦はそんなに売れるギターではなかったでしょうから、6弦用のテールピースを兼用したのでしょう。商売的には仕方がないところでしょう。

 

<トレモロアーム>

アームの黒い先端キャップはねじ込み式。細かく作られています。

12弦では基本的にアームを使わないので、普段は外しています。

 

以上、2つのSG-12Aを比較してみました。

 

95年のレプリカは12弦と同時に6弦モデル(下記)も販売され、当時私も持っていました。

これが以前持っていたSG-7A。

ただ、このギターは音・演奏性を含めて個人的には物足りない楽器だったため、手放してしまいました。

一方、SG-12Aは12弦ギターということで、ボディシェイプは同じでもSG-7Aとは全く異なる楽器。コードや単音を弾くだけでも説得力があります。

演奏方法もまだまだ習得できていませんが、暫くは良い研究材料になりそうです。

                                  

<リットーミュージック刊 ギターグラフィック誌 5号>

 

<1986年のヤマハのカタログ>

1986年にも6弦のみレプリカが販売されました。

カタログに写っているのはワイルドワンズの面々。やはりこのギターのイメージは彼らがピッタリですね。

                            ~以下次号~