(これはトンド地区。カルデロンさんの両親の出身ということで、日本でも有名に)
マニラというのは、とっても治安のよくない街です。
ほわほわしてられない、本当は。
何せ、セブンイレブンのドアをガードマンが開け閉めしていて、散弾銃に実銃を込めて、いつでも撃てるように、もっている。
けっしておどしや酔狂じゃない。本当に強盗が入るので、コンビニエンスストアでも、厳重警戒態勢なのだ。
かくいうぼくも、長いアジアの経験のなかで、いっかいだけ、本気で財布をすられかけた。
それはソリエンテホテルの近くの交差点。
ご飯を食べたあとで、ちょっと心がゆるんでいたのか、うっかりウェストポーチを、背中にまわしてたすきがけにしていた。
すると、交差点で信号待ちをしていたら、何だか、ひやーっといたな予感がした。
はっとして、ウェストポーチを前にまわした。
とじていたはずのジッパーがあいていて、財布が半分はみ出ていた。
カード類も入れてたから、危ない危ない。
ひんやりほわほわ。
それからは、何があろうと、ゼッタイウェストポーチは、胸の心臓の前でしっかり固定した。
万が一誰かがすろうとしても、もっとも敏感な心臓の前だから、必ず分かる。
そんなマニラの、さらには不法占拠地帯に入るのは、それなりの覚悟がいる。
なにしろ、そういうところには、ガンマン(殺し屋)が潜伏していたりする。
実話だけど、セブの有力新聞、セブ・スター・ニュースにのっていた、仰天の話。
2年前に、小さな町の政治家を殺して、ゆくえをくらましていた犯人が、丘の上にひろがるバリオ(スラム)の中で、美容師として、2年間も仕事をしていた。
顔写真ものっていたけど、女の子みたいな、可愛い顔立ちの、とても殺し屋には見えない青年だった。
それが客のひげをカミソリでそったり、はさみで髪をじょぎじょぎやっていた・・・
ゾーッとしないかい。
そんなマニラをはなれ、パグサンハンという田舎へ、慰霊に行くことに。
そこまではバスでしかいけない。
朝、ホテルの受付の、くりくりっとしたつぶらな目の女の子に、バス乗り場までの行き方をきいてみた。
「えーと」とまじめに応えようとする女の子。
すると横から、散弾銃をかまえた中年のコワイおじさんが、
「バス停まではタクシーでいけ」という。おそらく、受付の女の子のお父さんなのだ。どこの馬の骨かわからない、日本人などに、近づいて欲しくないのでしょ。
ありがとうねえ、と外に出てタクシーをつかまえる。コワイおじさんがタクシーを止めた。だが、止めたはいいが、値段交渉はしない。
地図でみると、そんなに遠くない。メーターで行ってというと、雨が降っていたのもあり、運転手は強気。
「メーターじゃいけねーな。200ペソだ」
「うーん、分かった、160ペソでどうた(本当は100ペソしないのはわかってるけど)」
「じゃあ180ペソ」
立っていると、どんどん濡れてくる。もう仕方ない。180ペソで商談成立。
バス停に着くと、まさしくパグサンハン行きのバスが出るところだった。
ちょっと余裕があったので、サツマイモのまんじゅうをかう。道中少しずつ食べた。
ただぼくの熱はまだ下がっておらず、香港のツアーバスジャック事件のこともあって、けっして落ち着けなかった。
4時間後にはパグサンハンだ。
つづくっちゃ (C)うる星やつら






