日本初企画!ドン・フリオのアガベ畑&ラ・プリマヴェーラ蒸留所見学ツアー~前篇~ | 目時裕美ブログ「Happy Drink Life」

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ディアジオ社の傘下となり、リニューアルされてから門外不出となっていたドン・フリオを作るラ・プリマヴェーラ蒸留所。


蒸留所には、まだ一般公開していた頃の2011年と2014年の2回訪問をさせていただいたことがありましたが、リニューアル後にどうなっているか??なかなか情報がなく、再度訪問したいとずっと考えていたところ、キリン・ディアジオさんから何度も交渉していただき特別にツアーを組んで訪問させていただく事ができました

 

現在はディアジオ社のVIP顧客のみの受け入れとなっており、ツアー内容についても諸々条件があるそうで、今回訪問できたことが奇跡に近く本当に嬉しいですありがとうございます😊


蒸留所内の施設は残念ながら撮影NGだったのですが、実際訪問してみると、製法に関しては前回の訪問から大きく変わった事はありませんでした。歴史と伝統を重んじるブランドなので、一度完成したレシピを大切に守っているのだと感じました。


ツアー向けに新しい施設も出来ていたので、前編と後編にわけて順番にご紹介をさせていただきたいと思います。

 

今回のツアーでは、宿泊しているホテルからの送迎のサービスがついており、ドン・フリオのスタッフの方とロビーで待ち合わせをして、専用のバンでアトトニルコに向かいます。


グアダラハラから2時間ちょっと、ロスアルトス地方の高地へ車で移動し、まずはドン・フリオの原材料となるアガベ畑の見学からスタート。

安全管理のため、事前にお伝えしていたサイズのブーツを用意いただいており、それに履き替えて早速畑へ。(虫除けスプレーや日焼け止めまで1人1人に用意されていました)


お揃いのドン・フリオハットも支給され、お土産に持ち帰る事ができました。
ドン・フリオのロゴ入りで、嬉しいプレゼント🎁
ちなみに、移動中のバスの中では、先日来日したマスターディスティラーのエンリケ氏のセミナーで見せていただいた映像を流しながら事前にブランド説明をしていただきました。


早速、ベテランヒマドールのペドロさんによるアガベの収穫のデモンストレーションを見学します。

通常は1日約100個のアガベを収穫するそうです。

 

原材料のアガベの品質は、創業者のフリオ・ゴンザレス氏の一番のこだわりでもあり、通常1ヘクタールに3000株を植えるところ、2400~2500株となるべく広く幅をとってアガベを植えることで、アガベに負担がかからずに栄養を蓄えて糖度の高いアガベを育てることがてきます。


アトトニルコの土は鉄分やミネラル分が多く、栄養価が高いので、アガベはもちろんこの土地でとれる野菜や果物もとても品質が良いと言われています。


2014年に訪問した際にはオーガニックに移行中とのことでしたが、気候や土壌的にもほぼオーガニックと同じような条件でつくられているので、特にオーガニック申請はしないそうです。今回の畑も、草が生えていたり、自然な状態でのびのび育てられていました。


ドン・フリオに使われるアガベの栽培年数は6年~8年。
同じ時期に植えたものを一斉に収穫してしまうところもあるようですが、ドン・フリオの場合はかならずベテランのヒマドールが収穫のタイミングをチェックして、1つ1つ熟成しているものをピックアップして収穫します。


ちなみに、アガベの収穫時期を見極めるポイントは大きく2つ。
成長途中のアガベは、葉が横に広がって伸びていて、中心の葉が一番背が高くなっているのですが、熟成しているものは、葉が縦に伸びるようになり中心の葉は周りの葉よりも低くなっています。

↑真ん中より周りの葉のほうが背が高いのがわかりますか??


ピニャの部分は、バナナが熟すと黒い斑点が出るように、アガベにも赤い斑点がでてきます。多過ぎると熟し過ぎなので、数点斑点が出てくるくらいの頃が収穫時期となります。葉の根元が黄色くなるのも熟成のサインと言われています。

↑赤い斑点から、汁が出ていますが、これがスイートスポット。

たくさんの蒸留所のアガベ畑や実際に収穫したアガベを見てきましたが、ドン・フリオの蒸留所のものが特別大きいわけではありません。
日本では、栽培年数が長く・大きく育てるほど糖度が高いと勘違いしている方も多いのですが、アガベによって熟すタイミングもサイズも違うため、サイズが小さいものでも十分な糖度があれば収穫します。

重要なのはサイズではなく糖度大事なポイントです。


畑の見学のあとは、いよいよ蒸留所へ向かいます。
アトトニルコの街中にあるラ・プリマヴェーラ蒸留所は1949年にオープンして以来、ずっと同じ場所でテキーラを作り続けています。

 

まずは、アガベをカットしてベルトコンベアでマンポステリアに運ばれ、蒸し焼きにする工程からスタート。
2011年にはこのスペースが撮影できたので、その時にアガベの写真を載せますが、サイズは今回の時とあまり変わりません。

糖度が基準に満たしているものはサイズに関係なく蒸留所に運ばれ、同じくらいのサイズにカットして、メタノールや苦みの元となるコゴジョ(アガベの芯)の部分が取り除かれます。

※2011年11月に撮影(当時は撮影許可がおりました)
※2011年11月に撮影(当時は撮影許可がおりました)この頃と、工程は変わらず。
若干、現在の方が皮の部分が多めな印象でした。

ちなみに、ドン・フリオもトレスマゲイヤスも、もちろん1942やレアルも、全て同じアガベからつくられているので、ブランドによって原材料の選別は一切しません。

 

その後、72時間かけてゆっくり蒸し焼きにして、5段階のシュレッダーで搾汁して発酵の過程へ。
ちなみに、シュレッダーの後に残ったバガス(アガベの搾りかす)はリサイクルせずに破棄しているとのこと。
最近では、自社でリサイクル設備をもち、肥料や燃料にして再利用するとこもあるのですが、ドン・フリオはまだリサイクルの取り組みまでは進んでいないとのこと(マイナス意見ではありません)。

 

その後、39年前から使っている自家製酵母を加え24時間で7%にまで発酵させます。(加熱時間に比べると、発酵時間はやや短いかなぁ…という印象)。ゆっくり蒸し焼きにして、より糖度の高いアガベジュースを絞ることを重要視しているのでしょう。


酵母は、テキーラの味を左右するとても大事なものなので、ドン・フリオでも自社のラボで研究を重て開発し、長年同じ酵母を使用しています。
ちなみに、ドン・フリオのラボはCRT(テキーラ規制委員会)の研究機関としても使われているそうで、見学することはできませんでしたが、素晴らしい機能があるラボなのだと思います

 

蒸留器は銅製のものが19台+1942とレアル用の小型のものが1台。
5時間で1回の蒸留が終了し、1回目で30度、2回目で78~55度となります。

 

創業当時から使用している機械のパーツを1つだけ蒸留器に取り付けて使用しているのですが(その部分だけツギハギで色が違う)、フリオ・ゴンザレスさんのこだわりで、それを見た時に昔を思い出すことで、歴史や今までの人生を忘れないようにずっと古いものを使い続けているそう。
蒸留器が壊れた時も、かならずそのパーツは別の蒸留器に取り付けています。
フリオさんのテキーラづくりへの思い入れや愛情を感じます

 

樽熟成とボトリングは、同じ場所に大量のアルコールを貯めておくのが良くないという理由で、別の施設で行っているため蒸留所見学はここまで。

写真がなく説明だけでわかりにくいかもしれませんが、うまく伝えられずごめんなさい

蒸留所見学の後、撮影許可が下りたので、テイスティングルームに入る前に、以前使用していたトラックや、壁画の前で記念撮影をさせていただきました。

古い蒸留器も発見

2014年に訪問した際には、この壁画はなかったので、リニューアル後に描かれたもの。メキシコ人アーティストによる作品で、カラフルな色合いがとても素敵。

 



尚、オレンジのベストは安全管理のため蒸溜所内での着用が義務づけられています。
ブーツ👢も、貸し出していただいたものをずっと着用。
こちらのトラックは中に入ったり、荷台に乗って撮影もオッケー👌


長くなりましたので、テイスティングと、ランチの様子は後篇でご紹介させていただきます。

 

ドン・フリオの誕生秘話や歴史については、以前記事を書いていますので、ぜひこちらをチェックしてみてください。

こちら