♠A
「ありがとう、相葉ちゃん。でも、やめとくよ。
俺、結構、部屋の使い方汚いからさ。
床に塗料とかこぼすし、立体の材料だと壁まで飛ばすこともあるし。
画材とか結構匂いキツイのもあるしさ。
相葉ちゃんと住んだら、きっと楽しいと思うんだけど・・・・
やっぱ、気兼ねしながらだと、長続きしないと思うから」
「そっかー残念!
おおちゃんと一緒にごはん作ったりとか楽しそうなのになぁ。
じゃあさ・・・時々でいいから、うち来てよね!
一緒にごはん作って食べよう!?
それ、約束してくれるなら、一緒に住むのは諦めるから!」
それくらいなら・・と、頷くと。
「おっしゃー!おおちゃん約束だからね!」
両手を握られて、ぶんぶん振り回す勢い。
これは・・・針千本どころか、一億本くらい飲まされそうな勢い。
「絶対の絶対だからね!」
勢いが怖くて、コクコクと何度も頷いた。
それでやっと納得してくれたのか?
相葉ちゃんは俺の手を離した。
「でも、行くとこ決まんなかったら、いつでも待ってるから!」
と、言い残して、ちょっと名残惜しそうな顔して手を振りながら帰って行った。
でもなぁ・・・実際のところ。
この先どうすんのか?
全然決まってない。
何件か紹介はしてもらったけど・・・なんかこう・・ピン!
と、くる物件がないんだよなぁ。
問題は、自分でピン!とくる条件が分かってないことなんだよ。
どういうところに住みたいのか・
どういうのが嫌なのか?
好みっつーか。
そういうのがない。
逆に言えば、どこでも住んじゃえば、それなりって思うんだよなぁ。
ストローくわえながらぼーっとしてたら。
聞き覚えのある声で話しかけられた。
「大野さん?こんなとこでどうしたの?」
「あれ?松潤?あー今、不動産屋巡りした後の休憩中」
「あぁ、そういえば、引っ越すとか言ってたもんね。
いい物件あった?」
「あーそれがさぁ。
ピンとくる物件なくて。
ってか・・・どういう物件がいいのか、分かんなくてさ・・・
松潤は、今のとこ、どうやって決めた?」
「俺?そうだなぁ・・・クローゼットの広さかな。
それでも足りなくて、結局、一部屋洋服とかの部屋になっちゃってるけど。
それをある程度見越して、部屋数も選んだんだけどね。
なるほどなぁ・・・
悩んでるのがバレたのか?
松潤が自分のとこの使いかたを説明してくれた。
「リーダーは?俺の場合は洋服とかから考えたけどさ。
絵描いたり、フィギュア作ったりしてるんだから・・・
そのための部屋を確保するとかは?」
あーそっか。
今はリビングの一部がそういうもので占領されてるもんな。
でも、俺は絵を描いたら、描きかけのを眺めつつ酒飲むしなぁ・・・
物置部屋は欲しいかも・・・?
「あーどうすっかなぁ・・・・」
ベチャっとテーブルの上に顔を伏せた。
カランとコップの中の氷が音を立てた。
そっちの方を見たら、松潤が俺の顔をじーっと見てた。
「大野さん・・・」
やけに顔をキリッとさせて、いつにもましてイケメン。
しかも真剣な目付きでイケボ。
なんか、すっごい大事なポイントでもレクチャーしれくれんのか?
って、思ったら・・・・
a頬を撫でられる
b手を握られる
Writing by 凪 Special Thanks!