♥K
まずいまずいまずい!
こんな時に目が合っちゃまずいだろ!
サッと視線を外そうとしたけど、翔君の大きな瞳が俺を捉えて離さない。
やべぇ!どうしよう!!
見つめ合う俺たち……?
翔君も全然目を逸らそうとしない。
ほら、やっぱり。
若干柔らかさを感じるのは、俺の気のせい?
それが見つめ合ってるうちにだんだん視線が強くなってくる。
逸らせない……。
そんな風に見られたら、逸らせないじゃん!
これはもしかして……逸らした方が負けなのか!?
じっと翔君を見る俺。
じっと俺を見る翔君。
「なになに?どうしたの?」
視線を逸らせない俺たちを見て、相葉ちゃんがやってくる。
「この距離でにらめっこ?俺も混ぜて~!」
三人でにらめっこってどうやってすんだよ!
それでも相葉ちゃんは俺と翔君を交互に見て睨む。
睨む……睨む……睨む……。
睨むんだけど……どんどん相葉ちゃんの目が細くなっていく。
「んんっ、ん、んっ……んぷぷぷぷ!あはははは、もうダメっ!俺の負け!」
一人で始めて一人で負ける相葉ちゃん。
さすがとして言いようがない!
「んぷっ。相葉ちゃん、すげっ。」
釣られて俺も笑うと、翔君も呪縛を解かれたように笑う。
「俺、ダメなんだよ~、ニノとやってもいっつも負けちゃう。」
ニノといつもやってんの?
この歳で、にらめっこやるってだけですげぇけど?
そう言えば、みんなでいるとよくいろんなゲームしたっけな。
マジカルバナナとか、ん~1!とか?
あれ、今だに、なんて言うんだかわかんないけど。
「ニノ、つえぇもんね。」
「んね?強いよね~。あ~、止めてよ?『にらめっこ嵐』とか!
俺、負け確実!」
「ババ嵐の次?」
笑いながら、翔君が入って来る。
「そうそう、一瞬で負けが決まる!」
笑う相葉ちゃんは想像が止まらない。
「尺撮れないじゃん。」
翔君と顔を見合わせて笑うけど、相葉ちゃんの想像は広がって行く。
「その分、回数多いよ?ゲストと一対一対決!
やるかやられるかの真剣勝負!アップで映るし、一人一人クローズアップされる!」
相葉ちゃんが、俺と翔君を被写体にカメラを構えるポーズを取る。
そうされると、乗らないわけにいかない俺たち。
翔君を睨みつけると、翔君も睨み返して来る。
顔が近づいて行く。
翔君のイケメンが、後数センチのところで左右に振られ、
チンピラみたいにメンチを切る。
俺だって負けてないよ。
ポケットに両手を突っ込み、メンチを切り返す!
「いいねいいね~、いいよいいよっ!」
相葉ちゃんが、下から横から、片目をつぶってカメラを動かすポーズを繰り返す。
さらに近づく翔君のイケメン。
綺麗な顔にドキッとする。
ああ、翔君、いい顔なんだよなぁ。
これぞイケメンって顔だよね。
俺、やっぱ翔君の顔好きだわぁ。
「何?キスシーンの練習?」
言われてハッとする俺と翔君。
確かに口と口はわずか3㎝くらいの距離。
顔を左右に振ってるから、そう言われればそう見えなくもないかも……。
サッと体を離し、顔を逸らす俺たちを見て、声を掛けて来た松潤が笑う。
「今度は初恋の練習?」
その言葉に相葉ちゃんが笑う。
「ひゃひゃひゃ、ほんと、そんな感じ!わかる!めっちゃ可愛い!」
「おっさん同士で?」
「だから余計に可愛いんじゃん!」
うっせぇよ。お前らだって同じおっさんだかんな?
笑い続ける相葉ちゃんと松潤にちょっとムッとしてきた頃、
ちょっと離れて見ていたニノが大声で呼ぶ。
「いつまでも遊んでないで、やることやっちゃって。」
「「「「は~い!」」」」
四人で声をそろえ、打ち合わせに戻る。
でもやっぱり翔君の視線が気になる。
家にいても、仕事でも翔君が気になるなんて……。
ええい!無視だ無視!
翔君のことは考えない!翔君の視線も気にしない!
俺も……翔君を見ない!!
そう、決意も新たに一人うなずく。
そんな俺に気付いてたのは……。
a ニノに声を掛けられる
b 松潤に声を掛けられる
(ニノの家に行ったことのある人は、bを選択)