よだーん。とある店で、初めてお会いした方から「お仕事は?」と聞かれることがよくあるのですが、こちらが答えようとする前に、その店主が
「Excite 翻 訳 家 です」 と代わりに答えてくれます (ってをい)。
もちろん違います。わたし Excite 翻訳は使ったことはありません。Google 翻訳なら・・・って違うって。
まあ確かに、
過去に Google 翻訳も使いよう ってなこと書きましたが、これはあくまで特殊な事例で、当然んなもん実務では使いません。
・・・ちとここで (また) 余談なんですが、翻訳料金を下げようとして、こういうマシンツールを使って「これを編集しろ」などと言ってくる海外のお客さんはよくいます。
しかしわたしは引き受けたことはありません。「どうしても、というなら正規のレート取るよ」といいますから。
なぜかというと、英語 <-> 日本語の場合は、そんなもんかけたら必ずぐしゃぐしゃな日本語が出来上がるのはわかっていますから。要は「かえって思考のさまたげになる」んです。
普通に人力でやった翻訳を校閲するのだって足りないオツムを使っているのに。
みなさんも、海外のサイトなんかに行くとたまに「あ、これはマシンツール使ってるな」と、「あからさま」にわかるところがあるでしょう。
ある程度、英語がわかっていれば、辞書を引き引き英語を読んだ方がいいんじゃないか、なんてことを思う方もいらっしゃるかと。
・・・余談おはり。ただ、産業翻訳に携わっている方は必ずと言っていいほど
CAT tool (Computer Aided Translation Tool: コンピュータ支援翻訳ツール、などと言いますが) というものを使います。
いわゆるマシンツールとの違いは、翻訳者の方はどんなものかはよくご存知なので、わざわざ説明するまでもないのですが、ごくごく簡単に触れます。
よく使われる翻訳対象は取説なんかが多いですね。コンピュータのソフトやハードを始めとして多くの場面で必要になります。
まあ簡単な例として、AAA という内容の、かつ人力で翻訳したソフトウェアの取説があったとします。
アップグレードはよくあることですが、この内容が AAB というようにアップグレードされたとします。
となると、最初の AA の部分は「流用」、つまりそのまま使える (メモリー) ので、翻訳者は AA の部分を訳す必要がありません (実際には完全にそうも言えないケースがあるのですが)。
などと書くと、楽だな、と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、こちらは「商売」でやっているのですから、収入はその分減ります。
けれど、高いお金を払ってこういうものを持っておかないと、門前払い、ということが多々あります。
収入は減るは高いソフトを買わなければならないは、踏んだり蹴ったりなわけです。
もちろんまったく新製品で、最初から翻訳して丸儲けということもありますが、問題はその訳文だけではなく、そのメモリーまで翻訳会社に召し上げられてしまう点です。
そしてその AAA という翻訳は、そのバージョンアップなどの場合に会社から他人に渡される、または自分に戻ってきて、AA の部分の翻訳は要らないと。
相手が特に翻訳会社などでなく、そのようなツールの存在を知らなければ、逆にそのメモリーをがめて、AAA が AAB に変わろうが何だろうが、後者の料金も丸取り、かつ楽ができるというわけなのですが、なかなかそういうわけにはいかないのが現実です。
要は、この翻訳メモリーツールによる翻訳は、マシンツールとは違って人力で翻訳はしています。しかも依頼元は上記に述べたように「経費節減」ができる、と、お客さんにとっては都合がいいのです。
で、だれだこんなもん考えだしやがったのは、と今さら言っても仕方ないので、多少は建設的に・・・ただで使える翻訳メモリーツールなどをいじくっております (をいをい)。
おそらく、一番有名な翻訳メモリーツールと言えば、「
Trados (トラドス) 」というもので、これを持っているか、使えるか、と聞かれる場合が多いはずです。
わたしも一応持っているのですが、バージョンアップのタイミングを逃した上、この会社も他社と合併したりで、まっさらな新品を買わなくなければならなくなってしまいました。
もう一つの問題は・・・これはわたしが単に
ば ー か だっただけだったのですが、その古いバージョンを買ったときもドングル (要するにそのソフトを使うための鍵みたいなものです) は USB 接続タイプとパラレル (要するにプリンタポートですね) 接続タイプがあったのですが、その前に翻訳会社から借りていたのがパラレル接続タイプだったので、なんとなくそちらを選んでしまったのです。
ご存知の通り、今どきプリンタポートの付いた PC なんて、非力な中古で見つかるかどうか。
ただ、一応はこれでも Trados は貴重な財産なので (まあ、今のところはなんとかなっていますし)。
しかし馬鹿馬鹿しいことに、新しいバージョンではそんなもの使わずに、普通のソフトキー、つまりライセンス番号を打ち込むだけで済むようになってしまったのです。
要するに、本来なら強力な PC と新しいバージョンの「SDL Trados」まで買わなければならない状態なのですが、「設備投資」という言葉が「ゴキブリ」という単語の次に嫌いなわたくしは、先に述べたように「無料の」翻訳メモリーソフトに慣れようとしております。「Trados」以外のものを指定してくるお客さんもいないことはないので。
とりあえずは、元 IBM 製で、「
TM2 」 というやつなのですが、現在はソースが公開されているようで、これをまず。
というか、以前これを使っていた名古屋のお客さんがいて、打ち合わせに出張費を頂戴して出向いたこともあるのですが、すーっかり忘れてしまってまた最初から覚え直し。
あと、これもかなり有名な翻訳メモリーソフトなのですが、「
WordFast 」というもの。
もちろん、有料なのですが、オンラインで利用できる「WordFast Anywhere」というやつがなぜか無料なのです。
実はほかにも無料のものはいろいろあるのですが、とりあえずこのあたりは覚えておこうかな、と。
ちなみに、
こちらの Microsoft のサイト にいろいろなモノがありますので、これから翻訳者を目指しておられる方は、ざっと読んでおくのもよろしいかと思います。
ツールを実際にお使いの方にも、それぞれの使いごこちをお伺いしたいものです。
今日の曲。Google をまた出したので、スペイン語の題名が付いたインストルメンタルを。「
Ritmo De La Noche (Rhythm Of The Night・・・だそうです。Google 先生によれば。もっとも、日本語でもあっさり出ましたけどね、「夜のリズム」って) - Al di Meola」
なんか「刑事モノ」のドラマに出てきそうな感じがしてます。
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