その戸田が、今、自分の体のことを気遣ってくれていることを思うと、熱いものが・・・ | くにゆきのブログ

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今、自分が感動したこと、また知っていただきたいことを、主に記していこうと思います。

     (『人間革命』第11巻より編集)

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         〈裁判〉 2

 

 当時、山本伸一は、師の病状に、日々、心を痛めながら、総本山の理境坊に泊まり込み、戸田のもとで、総登山の一切の運営にあたっていた。

 

 伸一は、全国から集った会員のために心を砕き、戸田の手となり足となって、盛儀の成功に挺身していたのである。

 

 伸一は、今、片時たりとも、戸田の側を離れたくはなかった。裁判のことを、戸田に伝えることさえ心苦しく、総本山をあとにすることは、後ろ髪を引かれる思いであった。

 

 その伸一も、あの逮捕以来、体調は悪化の一途をたどり、熱に悩まされる日々が続いていた。

 

 三月五日、伸一は、戸田のいる理境坊の二階に行き、裁判のために大阪に行くことを告げた

 

 戸田は、布団の上に身を起こしながら言った。

 

 「おお、そうだったな」

 

 「大切な戦いの最中に不在になってしまい、まことに申し訳ありません」

 

 戸田は、こう語る伸一の顔を、じっと見つめていたが、手を伸ばすと、伸一の腕を握った。

 

 「伸一、疲れているな。体の方は大丈夫か」

 

 戸田の顔には、疲弊の色がにじみ出ていた。

 

 その戸田が、今、自分の体を気遣ってくれていることを思うと、伸一は、熱いものが込み上げてきてならなかった。

 

 「先生、私は大丈夫です。先生こそ、ご無理をなさっているだけに・・・」

 

 「君の戦いは長いのだ。代われるものなら、私が代わってやりたい。伸・・・、君は罪を一身に背負うとした。本当に人の良い男だな。

 

 でも、だからこそ安心だな、学会も

 

 戸田は、つぶやくように言うと、嬉しそうに笑った。そして、伸一に向かって、毅然として言った。

 

 

 

 

 

 

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