(『新・人間革命』第8巻より編集)
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〈布陣〉 20
山本伸一は、広宣流布の活動において、なぜ、勝利を収めなければならないかを、今度は、個人に即して語っていった。
「折伏にせよ、あるいは会合の結集にせよ、勝とうと思えば、目標を立て、決意を定め、真剣に唱題に励むことから始めなければならない。
さらに、知恵を絞って、勇気をもって挑戦し、粘り強く行動していく以外にありません。
そして、一つ一つの課題に勝利していくならば、それは、大きな功徳、福運となっていきます。
また、何よりも、それが人生に勝つための方程式を習得していくことになる。
さらに、活動を通してつかんだ信仰への大確信は、人生のいかなる困難をも切り開いていく力となります。
御書には『仏法と申すは、勝負を先とし』と仰せです。
それは、広宣流布とは、第六天の魔王という生命破壊の魔性との戦いであり、さらには、人間が生きるということ自体、人生そのものが戦いであるからです。
人間の幸福といっても、自分の臆病や怠惰などの弱さと戦い、勝つことから始まります。
人間革命とは、自己自身に勝利していくことであり、そのための、いわば道場が、学会活動の場であるともいえます。
私は、その時々の折伏の成果など、問題にしておりません。
大事なことは、皆さまが強盛な信心に励み、大功徳を受け、生活も豊かになり、幸福に満ち満ちた悠々たる大境涯になっていくことです。
そのための布教であり、学会活動であることを、銘記していただきたいのであります」
伸一は、この日から、東京・関東の各本部の幹部会に相次いで出席し、全精根を注いで、激励にあたった。