(『人間革命』第11巻より編集)
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〈転機〉 25
組座談会に明け、折伏に終わった十二月も、二十一日に本部幹部会を迎えた。
果たして折伏の成果の発表となると、五万八千六百九十四世帯と、数字が読み上げられた。
本年の目標五十万世帯を、悠々と達成したのである。幹部たちは、師走の空に一斉に歓声をあげながら、拍手をもって祝福し合った。
戸田城聖は、責任を果たした人びとをねぎらいながら語った。
「学会の底力、また、皆様が真面目に組座談会を遂行した効果が表れ、五万ハ千世帯・・・、さぞかし日蓮大聖人様もお喜びのことと思っております。
・・・ 今年は、遺憾なく戦い切ることができただろうと思います。来年も同じく、自分たちの信仰のうえに立って、凡夫に褒められるのではなくて、仏様に褒められる境涯になろうではありませんか」
戸田は、このあと、幹部の信心について、特に注意を促した。
「幹部として、心得るべきことがあります。信心といっても、勤行と折伏の行の実践がないところに、信心はありません。
いかに教学に精通して、教義を重んじるような顔をしていても、自分が受持した御本尊様さえ念頭になく、行の実践を欠いていては、もう、日蓮大聖人の仏法ではない。
こうなると、いつか驕慢になり、先輩や学会さえ批判するようになって、・・・結局は、大聖人の怨敵となっていくことに気づかない。
信心の基本を忘却した幹部ほど、哀れなものはありません。気づいた時には、自分がとんでもないところへ、来てしまっていることを知るでありましょう。
私も長い信心です。多くの同志のなかには、このような幹部も、一人ならずおりました。見かけは有能に見えても、信心の基本を欠いたら、信心は即座に崩れ去るのです。来年は・・・」