アナフィラキシーについてまとめてみます。
歯科医師のみなさん、ちゃんと勉強しましょう。
わたしの知っている医療知識では不十分かも
しれないので、各々で復習してくださいね。
前回書いたアナフィラキシーの患者さんは、治療
中の歯を診察すると、右上PMのisthmus region
に1.5mm径のperforationが認められ、JGによ
るintracanal medication。
治療された先生のお話だと、FCによるintracanal
medication後に不快症状が現れたので、JGに変
更したとのことでした。ただ残念なのは、バイタル
は全く見ていなかったそうで、意識レベルも一桁く
らいだったと想像されます。
つまり、使用薬物は、局麻剤キシロカインとFCと
JGということになります。
局所麻酔は何度も治療経験があるので、可能性
は低いと思うので、準備万端にして、ブリックテスト
にて調べてみました。
一応、陰性所見でしたが、安心とはいえませんが、
perforationへの通法治療に局麻が必要なので、
同じく準備万端の元、無事処置完了しました。
となると、原因の可能性は、「FC」ということになり
ます。
FCも何度も使用経験があるはずなのですが、一般
的にFCは根管内にその成分はとどまることが多い
といわれています。
今回は、perforationの存在がFC成分を根管外へ
漏出させる原因となり、FC成分による蛋白変性を
生じた物質がアナフィラキシーの原因になったので
しょう。以前皮膚科の学会でFCが原因のアナフィラ
キシ―の報告を読んだことがあります。
最も大切なことは、アナフィラキシーへの対応もそ
うなのですが、原因を突き止めて、その原因となっ
た薬物などを患者さんに知らせることです。
救急の先生がわかる訳がありませんよね~。
ちゃんと紙にアナフィラキシーの原因薬物として書
いてお渡ししたのは当然のことです。
患者さんがとても喜んでみえたので、その理由を
聞くと、内科医からアナフィラキシーの原因を教え
てくれない歯科医の治療方針はちょっとおかしい
ので、わたしの歯科医院を紹介されたそうで、まさ
かわたしから、原因薬剤を特定してもらえるとは
思ってもいなかったそうです。
さて、アナフィラキシーについてまとめてみましょう。
アナフィラキシーというのは簡単にいうと、IgEを介
して、抗原と肥満細胞抗体が結合して始まる反応
です。
原因物質としては、食べ物(そば、ピーナッツ、など
が有名)、蜂(刺されて)、薬剤、ラテックス(医療関
係者に多いです)などが挙げられます。
一方、アナフィラクトイド リアクションは御存知でし
ょうか?
これもアナフィラキシーと全く同じ症状なんですが、
生体反応がちょっと違うんです。
アナフィラキシーと違って、IgEを介さないで生じる
反応です。有名な原因には、造影剤がありますね。
アナフィラキシーの診断ですが、バイタルの急変、
つまりプレショックバイタルが見られたら蕁麻疹の
有無や顔の発赤も注意しましょう。
患者さんが息苦しいと訴えたり、嗄声が認められ
たら喉頭浮腫、口蓋垂浮腫が生じている可能性
大です。
アナフィラキシーでは、蕁麻疹が現れることが多い
ので、これ認めたらすぐ処置に移りましょう。
歯科医院では処置に限界があるので、まず
エピネフリン0.3~0.5mgを大腿四頭筋外側広
筋か、中臀筋に筋注します。
10分後位で効果判定を行い、改善が認められない
ようなら、エピネフリン同量を再投与です。
アナフィラキシーと診断して処置に移ると同時に救
急要請しているはずなので、このあたりで救急にバ
トンタッチとなりそうです。
βーブロッカーやAEC阻害薬を常用されてみえる
患者さんは、エピネフリンの効果が表れにくくなるこ
とがあります。
その場合は、グルカゴンを1mg投与して、効果を
見て効果なければ、再投与といった治療手順にな
ります。
教科書的にはグルカゴン投与なのですが、臨床で
は、なにはともあれれまずはエピネフリン投与で
よいといわれています。
なので、グルカゴンは結構高価故開業医では、常
備の必要はないと思います。
アナフィラキシーに対してエピネフリン投与が遅れ
るとそれは患者さんの心停止につながるので、一
刻も早く筋注することが重要となります。
某大学の麻酔科の先生の、アナフィラキシーの講
演でアナフィラキシーの第一選択薬はステロイドで、
喉頭浮腫が認められたら、直接同部にエピネフリン
を噴霧する処置が良いといわれていました。
これはちょっとおかしい内容ですよね。
エピネフリンを直接噴霧も可能なのでしょうが、相
当量を噴霧してもあまり効果はないというのが常識
のはずですが、いかがなものでしょう?
わたしの勉強した限りでは、アナフィラキシーの場
合は、
まず、エピネフリン0.3~0.5mg
を筋注。
そして、輸液。
その後、抗ヒスタミン薬とステロイ
ドの投与。
このような治療手順だと思います。
治療経験の豊富?な麻酔科では、違うのでしょう
か?
講演中質問してみましたが、ステロイドで充分です
とおっしゃるのみでした。
ちなみに、エピネフリンはβ2受容体に直接作用し
て、肥満細胞や好塩基球からのヒスタミン産生を
抑制するので、最も確実で、スピーディな効果が見
られるといわれています。
まあ、開業医では、抗ヒスタミンやステロイド投与は
わたしは必要ないと思っています。
また、アナフィラキシーで注意を要することとして、
5~20パーセントに二峰性が認められるということ
です。
つまりアナフィラキシー症状が治まっても、数時間
後にまた再発することがありますよ!ということで
す。
医科のほうでは、6~8時間は経過観察するそうで
つまり、症状が治まったからと言って帰宅させない
そうです。
重症な症状の患者さんは入院下で、1日様子観察
されているみたいです。
ステロイドはこういった二峰性の発症を抑える役目
といわれているはずなんですが。。。。
じゃ、昨日書いたような歯科医院での軽度アナフィ
ラキシ―の場合はどういしたらよいのでしょう?
以前これも某大学の教授の講演で質問したので
すが、うちの場合はすぐに同じ病院内の救急に移
すので、開業医さんがどうするのがよいかはわかり
ません、という回答でした。
うーん、難題です。
それにしても、今の歯科大学病院はどうなってしま
ったのでしょう。開業医への的確な情報提供すら
出来ない大学も多いようですね。
口腔医療に必要な臨床検査
デンタルダイヤモンド社
内容が乏しくお勧めできませんね。